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夜会の準備
王都に戻ってきてから少し経った頃、旦那様から夜会の話をされる。
「来月、国王陛下の誕生日を祝う夜会がある。
実は陛下と王妃殿下はずっとアリエルのことを心配して下さっていて、ずっと君に会いたいと言っていたんだ。
アリエルさえよければ、夜会に参加してみないか?
ただ、アリエルの体調が心配だから無理はしなくていい。夜会はまたあるから、参加するのは今回じゃなくてもいいと思うんだ」
「旦那様、その夜会に参加させていただきますわ。
公爵夫人としていつまでも社交をしないわけにはいきませんから。
体調も大丈夫です。心配なのはダンスでしょうか。ここに嫁ぐ前に侯爵家で習ってきましたが、ずっと踊ってなかったので、体が動いてくれるのかが不安です。
きっと訳ありの私が夜会に出席したら、好奇の目に晒されるでしょう。粗相は出来ませんので、ダンスのレッスンを受けさせてもらえませんか?」
私が参加したいと言ったことが意外であったようで、旦那様の目が見開かれる。
「アリエル、いいのか?
もしかしたら会いたくない人物に会うかもしれないし、心無いことを言われるかもしれない」
「ええ。社交する以上はそんなことは沢山あるでしょうね。
でも、ヴィーにされたことと比べたら大したことはないので大丈夫です。
それに今の私は、記憶を失っているので知らない人ばかりです。何かあれば、公爵である旦那様に頼らせていただきますわ」
旦那様は私の話を聞いて、フッと優しく微笑む。
「分かった。その日はずっとアリエルの側にいて私が君を守る。
では、急ぎでダンス講師を呼ぶ手配をしよう。
ドレスやアクセサリーの準備もする必要があるな。
アリエルの美しさを引き立ててくれる最高のドレスを注文しよう!」
ドレスやアクセサリーは売るほど沢山あるから必要ないことを話したのだが、旦那様は新しい物をプレゼントしたいと言って聞いてくれなかった。
ダンス講師はすぐに呼んでくれたので、翌日から練習する日々が始まる。
ダンスの練習は思った以上に体力を使うので、レッスンが終わるとグッタリしてしまい、夜はぐっすり眠れるようになっていた。
ダンスで体を動かす日々を送っていたら、食事も美味しく食べられるようになり、体調が前よりも良くなった気がする。
「奥様。ダンスの練習をされるようになったら、前よりも血色が良くなって、さらに美しくなられましたわ!
私達メイドで話をしていたのですが、夜会に向けて、髪の毛のトリートメントや体のマッサージなどのお手入れを毎日やらせて頂きたいのです。
よろしいでしょうか?」
「アンナ、毎日やる必要はないと思うけど……」
「毎日やった方がいいのです!
私達にやらせて下さい。お願いします!」
アンナと公爵家のメイド達は、強い意志のこもった目で私を見ている……
そんな目を向けられたらダメとは言えなかった。
「分かったわ。貴女たちにお願いするわね」
「「はい」」
公爵家の執務とダンスレッスン、時々息抜きで孤児院に行く毎日を送っていたら、夜会の日を迎える。
「奥様、淡いラベンダーのドレスがとてもお似合いです」
「レッドスピネルのネックレスも素敵ですわ!
公爵様の瞳の色ですわね。お似合いです」
「ドレスもアクセサリーも、全て公爵様が選んだのですよね?
さすが公爵様ですわ! 奥様にお似合いの物をよく知っておられるのですね」
あの旦那様がドレスやアクセサリーを真剣に選ぶ姿を見た時、私はかなり驚いたことを覚えている。
しかしメイド長が後で教えてくれたことによると、私が結婚式で着たウェディングドレスも旦那様がデザイナーと打ち合わせをして選んだドレスらしい。
旦那様はドレスやアクセサリーに強いこだわりがある方なのね……
アンナ達のおかげで、見た目だけは人並みの貴婦人になれた。
髪の毛は艶々に輝いているし、お肌もスベスベで化粧ノリがいいと褒められたことが嬉しかった。
仕上がりに満足した私が、鏡で自分の姿をチェックしていると旦那様が部屋にやって来る。
「アリエル……、準備が終わったと聞いたから来てみたのだが……」
私をジッと見つめたまま、旦那様が固まっている。
「……旦那様?」
「……綺麗だ」
「旦那様が贈って下さったドレスやアクセサリーのセンスが良かったからでしょう。
それに、私を磨いてくれたメイド達のおかげです。
旦那様も素敵な衣装ですね。今日はよろしくお願いします」
「アリエル、こちらこそ今日はよろしく頼む」
長身の美丈夫である旦那様の黒の礼装姿はとても美しい。夜会では夫人や令嬢たちから熱い視線を向けらそうだ。
私なんかが妻で申し訳ない気持ちになるけれど、だからこそ旦那様の恥にならないように今日はしっかりやらなければ……
「来月、国王陛下の誕生日を祝う夜会がある。
実は陛下と王妃殿下はずっとアリエルのことを心配して下さっていて、ずっと君に会いたいと言っていたんだ。
アリエルさえよければ、夜会に参加してみないか?
ただ、アリエルの体調が心配だから無理はしなくていい。夜会はまたあるから、参加するのは今回じゃなくてもいいと思うんだ」
「旦那様、その夜会に参加させていただきますわ。
公爵夫人としていつまでも社交をしないわけにはいきませんから。
体調も大丈夫です。心配なのはダンスでしょうか。ここに嫁ぐ前に侯爵家で習ってきましたが、ずっと踊ってなかったので、体が動いてくれるのかが不安です。
きっと訳ありの私が夜会に出席したら、好奇の目に晒されるでしょう。粗相は出来ませんので、ダンスのレッスンを受けさせてもらえませんか?」
私が参加したいと言ったことが意外であったようで、旦那様の目が見開かれる。
「アリエル、いいのか?
もしかしたら会いたくない人物に会うかもしれないし、心無いことを言われるかもしれない」
「ええ。社交する以上はそんなことは沢山あるでしょうね。
でも、ヴィーにされたことと比べたら大したことはないので大丈夫です。
それに今の私は、記憶を失っているので知らない人ばかりです。何かあれば、公爵である旦那様に頼らせていただきますわ」
旦那様は私の話を聞いて、フッと優しく微笑む。
「分かった。その日はずっとアリエルの側にいて私が君を守る。
では、急ぎでダンス講師を呼ぶ手配をしよう。
ドレスやアクセサリーの準備もする必要があるな。
アリエルの美しさを引き立ててくれる最高のドレスを注文しよう!」
ドレスやアクセサリーは売るほど沢山あるから必要ないことを話したのだが、旦那様は新しい物をプレゼントしたいと言って聞いてくれなかった。
ダンス講師はすぐに呼んでくれたので、翌日から練習する日々が始まる。
ダンスの練習は思った以上に体力を使うので、レッスンが終わるとグッタリしてしまい、夜はぐっすり眠れるようになっていた。
ダンスで体を動かす日々を送っていたら、食事も美味しく食べられるようになり、体調が前よりも良くなった気がする。
「奥様。ダンスの練習をされるようになったら、前よりも血色が良くなって、さらに美しくなられましたわ!
私達メイドで話をしていたのですが、夜会に向けて、髪の毛のトリートメントや体のマッサージなどのお手入れを毎日やらせて頂きたいのです。
よろしいでしょうか?」
「アンナ、毎日やる必要はないと思うけど……」
「毎日やった方がいいのです!
私達にやらせて下さい。お願いします!」
アンナと公爵家のメイド達は、強い意志のこもった目で私を見ている……
そんな目を向けられたらダメとは言えなかった。
「分かったわ。貴女たちにお願いするわね」
「「はい」」
公爵家の執務とダンスレッスン、時々息抜きで孤児院に行く毎日を送っていたら、夜会の日を迎える。
「奥様、淡いラベンダーのドレスがとてもお似合いです」
「レッドスピネルのネックレスも素敵ですわ!
公爵様の瞳の色ですわね。お似合いです」
「ドレスもアクセサリーも、全て公爵様が選んだのですよね?
さすが公爵様ですわ! 奥様にお似合いの物をよく知っておられるのですね」
あの旦那様がドレスやアクセサリーを真剣に選ぶ姿を見た時、私はかなり驚いたことを覚えている。
しかしメイド長が後で教えてくれたことによると、私が結婚式で着たウェディングドレスも旦那様がデザイナーと打ち合わせをして選んだドレスらしい。
旦那様はドレスやアクセサリーに強いこだわりがある方なのね……
アンナ達のおかげで、見た目だけは人並みの貴婦人になれた。
髪の毛は艶々に輝いているし、お肌もスベスベで化粧ノリがいいと褒められたことが嬉しかった。
仕上がりに満足した私が、鏡で自分の姿をチェックしていると旦那様が部屋にやって来る。
「アリエル……、準備が終わったと聞いたから来てみたのだが……」
私をジッと見つめたまま、旦那様が固まっている。
「……旦那様?」
「……綺麗だ」
「旦那様が贈って下さったドレスやアクセサリーのセンスが良かったからでしょう。
それに、私を磨いてくれたメイド達のおかげです。
旦那様も素敵な衣装ですね。今日はよろしくお願いします」
「アリエル、こちらこそ今日はよろしく頼む」
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