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距離が縮まる
旦那様が私の兄の幼馴染とは聞いていたけど、記憶喪失になる前の私は旦那様を信頼するほど親しい間柄だったなんて信じられない。
旦那様はそのことを一言も話していなかったもの。
「知らなかったわ……」
「王太子殿下の婚約者って色々な令嬢に僻まれるから、あの頃のアリエルは苦労していたわね。
殿下が一緒にいる時は何もないけど、殿下のいない時はネチネチ絡んでくる方は沢山いたのよ。
そんな時シールズ公爵様は、サッとやって来てアリエルに絡む令嬢達を撃退してくれていたわ。
アリエルは色々あったけど、今の公爵様との結婚生活が幸せなら、それで良かったかもしれないわね」
ライリーも旦那様のことを穏やかな口調で話している。
私の友人達は旦那様をいい人だと思っているのね。
そんな旦那様が少し前まで私を冷遇していたなんてとても言えないわ……
「ところで、バトラー侯爵家について聞きたいのだけど、私は家族と仲が良かったのかしら?」
「普通に仲は良さそうだったけど……
仲が悪いと聞いたことはなかったわよ。アリエルのお兄様も貴女を可愛がっていたように見えたわ」
スカーレットには仲の良さそうな家族に見えていたらしい。
あの兄が私を可愛がっていたなんて。何もなければ、今も仲良くしていたのかもしれない。
「仲は良さそうだったけど、あの女が侯爵閣下や夫人、令息にべったりだったのが気になったことはあったわね。
養子だから、必死に媚を売っているのだと思って見ていたわ」
「私もそう思ったことがあるわ!
上手く侯爵家の人に取り入って、自分の居場所でも作りたかったのかもしれないわね」
ライリーとクレアはヴィーのそのような本性を見抜いていたようだ。
友人達とはその後も色々な話をすることが出来た。
驚くことは沢山あったけど、彼女達に会えたことは良かった。
また会う約束をして、今日はお開きとなる。
皆が帰った後、私は一人で執務室にこもっている。
友人達まで、私と殿下の仲が良かったと言うとは思わなかった。
何だかショックだった……
殿下は、仲が良かった婚約者が愛のない結婚をしていることが許せないのかもしれない。だから無理にでも取り戻そうとしている?
殿下が好きだった記憶がないから、今の殿下の執着が恐ろしくてたまらない。
すると、ドアがノックされて旦那様が入ってくる。
「アリエルの友人達が帰ったと聞いたから気になって来てしまった。今、話は出来るか?」
旦那様からは緊張感が漂っていて、私が気になって恐る恐るやって来たように見えた。
「旦那様の執務が終わる頃、私から報告に伺うつもりでしたのに、申し訳ありませんでした」
「いいんだ。それより話を聞くことは出来たか?」
「ええ。色々なことを教えて頂きました。友人達に会えて良かったと思っています。
旦那様のお陰ですわ」
「……そうか」
旦那様の目が不安に揺れている。
心配してくれたのね……
「私が家族と仲が良さそうにしていたことや、ヴィーが殿下に恋をしていたことに私が気付いていたことなども教えてもらえました。
それに、私は殿下と仲が良かったことも聞きました。愛し合っていたことも……」
「アリエル……、殿下のところに戻りたくなったか?」
旦那様は私が過去を知ることで、殿下のところに戻りたいと言い出すのではないかと不安に感じていたようだ。
それにも関わらず、私が過去の自分を知れるようにと親しかった友人達を呼んでくれた。旦那様は私のことを一番に考えてくれたのだと思う。
これ以上、旦那様を不安にさせたくない。
「今の殿下には恐怖心のようなものを感じていたので、少し……ショックを受けてしまいましたわ。
過去を知っても、私は旦那様の妻でいたいです。
旦那様を不安にさせてしまって申し訳ありませんでした。こんな私ですが、これからもお側に置いて下さいませ」
その瞬間、私は旦那様の腕の中に閉じ込められていた。
「アリエル……、私も君とずっと一緒にいたい。
私は君と絶対に離縁はしない」
「はい……」
その日以降、旦那様とはまた距離が縮まった気がする。
それから少しして、穏やかな毎日を送っていた私の元に、王宮に滞在しているアシュベリー国のイザベラ王女殿下からお茶会の招待状が届くのであった。
旦那様はそのことを一言も話していなかったもの。
「知らなかったわ……」
「王太子殿下の婚約者って色々な令嬢に僻まれるから、あの頃のアリエルは苦労していたわね。
殿下が一緒にいる時は何もないけど、殿下のいない時はネチネチ絡んでくる方は沢山いたのよ。
そんな時シールズ公爵様は、サッとやって来てアリエルに絡む令嬢達を撃退してくれていたわ。
アリエルは色々あったけど、今の公爵様との結婚生活が幸せなら、それで良かったかもしれないわね」
ライリーも旦那様のことを穏やかな口調で話している。
私の友人達は旦那様をいい人だと思っているのね。
そんな旦那様が少し前まで私を冷遇していたなんてとても言えないわ……
「ところで、バトラー侯爵家について聞きたいのだけど、私は家族と仲が良かったのかしら?」
「普通に仲は良さそうだったけど……
仲が悪いと聞いたことはなかったわよ。アリエルのお兄様も貴女を可愛がっていたように見えたわ」
スカーレットには仲の良さそうな家族に見えていたらしい。
あの兄が私を可愛がっていたなんて。何もなければ、今も仲良くしていたのかもしれない。
「仲は良さそうだったけど、あの女が侯爵閣下や夫人、令息にべったりだったのが気になったことはあったわね。
養子だから、必死に媚を売っているのだと思って見ていたわ」
「私もそう思ったことがあるわ!
上手く侯爵家の人に取り入って、自分の居場所でも作りたかったのかもしれないわね」
ライリーとクレアはヴィーのそのような本性を見抜いていたようだ。
友人達とはその後も色々な話をすることが出来た。
驚くことは沢山あったけど、彼女達に会えたことは良かった。
また会う約束をして、今日はお開きとなる。
皆が帰った後、私は一人で執務室にこもっている。
友人達まで、私と殿下の仲が良かったと言うとは思わなかった。
何だかショックだった……
殿下は、仲が良かった婚約者が愛のない結婚をしていることが許せないのかもしれない。だから無理にでも取り戻そうとしている?
殿下が好きだった記憶がないから、今の殿下の執着が恐ろしくてたまらない。
すると、ドアがノックされて旦那様が入ってくる。
「アリエルの友人達が帰ったと聞いたから気になって来てしまった。今、話は出来るか?」
旦那様からは緊張感が漂っていて、私が気になって恐る恐るやって来たように見えた。
「旦那様の執務が終わる頃、私から報告に伺うつもりでしたのに、申し訳ありませんでした」
「いいんだ。それより話を聞くことは出来たか?」
「ええ。色々なことを教えて頂きました。友人達に会えて良かったと思っています。
旦那様のお陰ですわ」
「……そうか」
旦那様の目が不安に揺れている。
心配してくれたのね……
「私が家族と仲が良さそうにしていたことや、ヴィーが殿下に恋をしていたことに私が気付いていたことなども教えてもらえました。
それに、私は殿下と仲が良かったことも聞きました。愛し合っていたことも……」
「アリエル……、殿下のところに戻りたくなったか?」
旦那様は私が過去を知ることで、殿下のところに戻りたいと言い出すのではないかと不安に感じていたようだ。
それにも関わらず、私が過去の自分を知れるようにと親しかった友人達を呼んでくれた。旦那様は私のことを一番に考えてくれたのだと思う。
これ以上、旦那様を不安にさせたくない。
「今の殿下には恐怖心のようなものを感じていたので、少し……ショックを受けてしまいましたわ。
過去を知っても、私は旦那様の妻でいたいです。
旦那様を不安にさせてしまって申し訳ありませんでした。こんな私ですが、これからもお側に置いて下さいませ」
その瞬間、私は旦那様の腕の中に閉じ込められていた。
「アリエル……、私も君とずっと一緒にいたい。
私は君と絶対に離縁はしない」
「はい……」
その日以降、旦那様とはまた距離が縮まった気がする。
それから少しして、穏やかな毎日を送っていた私の元に、王宮に滞在しているアシュベリー国のイザベラ王女殿下からお茶会の招待状が届くのであった。
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