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王女殿下
「シールズ公爵夫人、本日は来て下さってありがとう。夫人に会えることを楽しみにしておりましたのよ」
イザベラ王女殿下は、可憐に微笑んで私に挨拶をしてくれる。
可愛らしい方だわ。でも、今日も目は笑っていないのね。何をお考えになっているのかしら?
無意識に警戒してしまう。
「王女殿下、本日はご招待頂きましてありがとうございます」
私以外にも高位貴族の夫人や令嬢を招待していると思っていたのだけど、お茶会には私一人しかいなかった。
「王太子殿下から、シールズ公爵夫人と仲良くするようにと言われたの。
私も夫人と仲良くなりたいと思っていたから、お茶会に招待させてもらったのよ」
王太子殿下は余計なことを……
王女殿下は私と殿下の過去をどこまで知っているのかしら?
ますます警戒してしまうわ。王太子殿下の言うことなんて無視して下さいとは言えないし。
「私は王太子殿下と未来の王太子妃である王女殿下のお二人を、臣下の一人としてお支えしたいと思っております。ですから、このような場に招待して頂き大変光栄ですわ」
「まあ! それは嬉しいわ」
その後、当たり障りのない話が続く。腹の探り合いをしているようで、あまり気分の良いものではなかった。
「シールズ公爵夫人は、私に蔑むような目を向けないのね……
婚約パーティーの時なんて、殿下をお慕いしている御令嬢やそのご両親、我が国の関係者までもが私をぞんざいに扱ったのに」
和かな表情をしていた王女殿下が、真剣な顔つきになっている。
話の本題に入るようだ。
「私の謝罪ごときで王女殿下の心の傷は癒えないことは分かっておりますが、王女殿下に無礼な態度をとった者達に変わって謝罪させて頂きます。
大変申し訳ありませんでした」
「シールズ公爵夫人。私は謝罪をして欲しい訳ではないのよ。
でも貴女がいい人だということか知れて良かったと思っているわ。
私は殿下との白い結婚を受け入れる代わりに、静かで安全な生活を保障してもらうことになっているのは知っているわよね?
殿下から貴女の話は聞いているわ。公爵様とはいつ離縁するのかしら?」
やはり殿下から色々と話を聞いているのね。
「王女殿下。私は今の生活が幸せですから離縁は致しませんわ。殿下にもそのことはお伝えしてあります。
これからも夫と一緒に生きていくつもりです。」
「パーティーの時の公爵様と貴女を見て、とても離縁を考えるような夫婦には見えないと思っていたけど……。でも殿下は諦めないと思うわ。
私としても、敵意丸出しで見下したような態度をとってくる令嬢より、貴女のような落ち着いた人に側妃になってもらいたいと思っているのよ。
殿下が安全な生活を保障すると言ってくれても、側妃から命を狙われる可能性はあるでしょう?
特に母国から捨てられたような扱いをされ、この国で何の後ろ盾もない私なんかは、簡単に消されてしまうわ。
だから、私自身も貴女を側妃に希望しているということを忘れないで欲しいの」
またお茶に誘うわねと言われて、その日のお茶会はお開きとなった。
その言葉の通り、その後も王女殿下からは何度もお茶会の誘いを受けることになる。
私の立場では断ることも出来ず、お茶会には行くようにしていたが、王女殿下の真意がよく分からず、楽しいお茶会とは言えないものだった。
王女殿下は王太子殿下に言われて、仕方なく私をお茶に誘っているのではとも思ってしまう。
「アリエル。今日も王女殿下とのお茶会があるのか?
毎週のようにアリエルを呼び出して、あの王女殿下は何を考えているのかよく分からないな」
「旦那様。私にもよく分からないのです。
二人きりでお茶会をしているのに、特に私と仲良くなりたいという感じはしませんし、王太子殿下に言われて仕方なく私に接触しているかのように思えます。
王女殿下が何を考えているのかが分からないので、不安ですわ」
「気をつけた方がいいな。私も探りを入れてみる」
「分かりました。気をつけるようにします」
その日の王女殿下とのお茶会も特別な話をする訳でもなく、時間だけが過ぎていく感じだった。
「シールズ公爵夫人は、まだ気持ちは決まらない?
早く離縁して欲しいのだけど……」
この言葉を聞いてピンときた。王女殿下は王太子殿下から私に離縁の話をするように命令されていて、その為にお茶会という名目で私を呼び出している。
「王女殿下。前にもお話ししましたが、私は夫と離縁はしませんわ。
私にとって夫は大切な人なのです」
「……そう。それは残念だわ。
シールズ公爵様も夫人を愛しているようだし、夫人が離縁したいと言っても離してくれないでしょうね。
ところで、愛されるって幸せ……?」
「私は愛というものがよく分かりませんが、夫と一緒にいる今の生活が幸せだと思っていますわ」
「……羨ましいわ」
その時、王女殿下は笑顔で私を見つめていたが、その目には憎悪が込められていることに気付いてしまった。
あの目は、ヴィーがシールズ公爵家にやって来た時に私に向けていた目と同じ……
ガシャン!
「も、申し訳ありません。お茶をこぼしてしまいましたわ。ドレスを汚してしまったので、今日はこれで失礼させて頂きます」
「残念だけど、また近いうちにお茶にお誘いするわね。
また来て下さったら嬉しいわ」
「申し訳ありませんでした。
またお会い出来ることを楽しみにしておりますわ」
私は急いでその場を離れることにした。
イザベラ王女殿下は、可憐に微笑んで私に挨拶をしてくれる。
可愛らしい方だわ。でも、今日も目は笑っていないのね。何をお考えになっているのかしら?
無意識に警戒してしまう。
「王女殿下、本日はご招待頂きましてありがとうございます」
私以外にも高位貴族の夫人や令嬢を招待していると思っていたのだけど、お茶会には私一人しかいなかった。
「王太子殿下から、シールズ公爵夫人と仲良くするようにと言われたの。
私も夫人と仲良くなりたいと思っていたから、お茶会に招待させてもらったのよ」
王太子殿下は余計なことを……
王女殿下は私と殿下の過去をどこまで知っているのかしら?
ますます警戒してしまうわ。王太子殿下の言うことなんて無視して下さいとは言えないし。
「私は王太子殿下と未来の王太子妃である王女殿下のお二人を、臣下の一人としてお支えしたいと思っております。ですから、このような場に招待して頂き大変光栄ですわ」
「まあ! それは嬉しいわ」
その後、当たり障りのない話が続く。腹の探り合いをしているようで、あまり気分の良いものではなかった。
「シールズ公爵夫人は、私に蔑むような目を向けないのね……
婚約パーティーの時なんて、殿下をお慕いしている御令嬢やそのご両親、我が国の関係者までもが私をぞんざいに扱ったのに」
和かな表情をしていた王女殿下が、真剣な顔つきになっている。
話の本題に入るようだ。
「私の謝罪ごときで王女殿下の心の傷は癒えないことは分かっておりますが、王女殿下に無礼な態度をとった者達に変わって謝罪させて頂きます。
大変申し訳ありませんでした」
「シールズ公爵夫人。私は謝罪をして欲しい訳ではないのよ。
でも貴女がいい人だということか知れて良かったと思っているわ。
私は殿下との白い結婚を受け入れる代わりに、静かで安全な生活を保障してもらうことになっているのは知っているわよね?
殿下から貴女の話は聞いているわ。公爵様とはいつ離縁するのかしら?」
やはり殿下から色々と話を聞いているのね。
「王女殿下。私は今の生活が幸せですから離縁は致しませんわ。殿下にもそのことはお伝えしてあります。
これからも夫と一緒に生きていくつもりです。」
「パーティーの時の公爵様と貴女を見て、とても離縁を考えるような夫婦には見えないと思っていたけど……。でも殿下は諦めないと思うわ。
私としても、敵意丸出しで見下したような態度をとってくる令嬢より、貴女のような落ち着いた人に側妃になってもらいたいと思っているのよ。
殿下が安全な生活を保障すると言ってくれても、側妃から命を狙われる可能性はあるでしょう?
特に母国から捨てられたような扱いをされ、この国で何の後ろ盾もない私なんかは、簡単に消されてしまうわ。
だから、私自身も貴女を側妃に希望しているということを忘れないで欲しいの」
またお茶に誘うわねと言われて、その日のお茶会はお開きとなった。
その言葉の通り、その後も王女殿下からは何度もお茶会の誘いを受けることになる。
私の立場では断ることも出来ず、お茶会には行くようにしていたが、王女殿下の真意がよく分からず、楽しいお茶会とは言えないものだった。
王女殿下は王太子殿下に言われて、仕方なく私をお茶に誘っているのではとも思ってしまう。
「アリエル。今日も王女殿下とのお茶会があるのか?
毎週のようにアリエルを呼び出して、あの王女殿下は何を考えているのかよく分からないな」
「旦那様。私にもよく分からないのです。
二人きりでお茶会をしているのに、特に私と仲良くなりたいという感じはしませんし、王太子殿下に言われて仕方なく私に接触しているかのように思えます。
王女殿下が何を考えているのかが分からないので、不安ですわ」
「気をつけた方がいいな。私も探りを入れてみる」
「分かりました。気をつけるようにします」
その日の王女殿下とのお茶会も特別な話をする訳でもなく、時間だけが過ぎていく感じだった。
「シールズ公爵夫人は、まだ気持ちは決まらない?
早く離縁して欲しいのだけど……」
この言葉を聞いてピンときた。王女殿下は王太子殿下から私に離縁の話をするように命令されていて、その為にお茶会という名目で私を呼び出している。
「王女殿下。前にもお話ししましたが、私は夫と離縁はしませんわ。
私にとって夫は大切な人なのです」
「……そう。それは残念だわ。
シールズ公爵様も夫人を愛しているようだし、夫人が離縁したいと言っても離してくれないでしょうね。
ところで、愛されるって幸せ……?」
「私は愛というものがよく分かりませんが、夫と一緒にいる今の生活が幸せだと思っていますわ」
「……羨ましいわ」
その時、王女殿下は笑顔で私を見つめていたが、その目には憎悪が込められていることに気付いてしまった。
あの目は、ヴィーがシールズ公爵家にやって来た時に私に向けていた目と同じ……
ガシャン!
「も、申し訳ありません。お茶をこぼしてしまいましたわ。ドレスを汚してしまったので、今日はこれで失礼させて頂きます」
「残念だけど、また近いうちにお茶にお誘いするわね。
また来て下さったら嬉しいわ」
「申し訳ありませんでした。
またお会い出来ることを楽しみにしておりますわ」
私は急いでその場を離れることにした。
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