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謝罪
領地に帰る前、国王陛下と王妃殿下から旦那様と一緒にお茶会に誘われる。
旦那様は、王宮で毒を盛られてまだ塞ぎ込んでいるとか適当に理由をつけて断ろうかと言ってくれたが、陛下と王妃殿下から少しでいいから会いたいと言われたら断ることは出来なかった。
陛下と王妃殿下、私達二人だけのお茶会は今回の騒動の謝罪から始まる。更に、私が今回の事件に目をつぶってくれたことで助けられたと、感謝の言葉も掛けて下さった。
「色々あったけど、アリエルとオーウェンが、仲良くしているようで良かったわ。
オーウェンも欲しかったものが手に入って良かったわね。ずーっと、何年もアリエルを目で追っていたもの。
可愛い甥っ子はこのまま結婚しないのかと心配していたけど上手くやったわね。そして我が息子の方はこの先どうなるのか心配よ……」
「叔母上! 余計なことは話さなくていいのです」
「怖いわねぇ。アリエル、これがオーウェンの本性よ……」
非公式な場であるため、旦那様と王妃殿下は叔母と甥らしく親しげに話をしている。
「王妃殿下。夫の怒る姿も冷たい態度も、今まで沢山見てきたので私は驚きませんわ」
「まあ! オーウェンは何をしたの?」
「アリエル、それは……」
冗談のつもりだったのに、王妃殿下は思った以上に驚いているし、旦那様は気まずそうにしている。
その二人の姿を見た陛下は吹き出していた。
「くっ、くっ……。オーウェンは夫人の尻に敷かれているようだな。
これからシールズ公爵家に何かを頼む時は、先に夫人の機嫌を伺ってからにしよう!」
その後も楽しく会話をしていたら、あっという間に時間が過ぎていた。
「夫人、今回のことを王太子が直接謝罪したいと言っている。
茶会の後に話を聞いてやってくれないか? 今まで散々、夫人に迷惑を掛けたことは知っている。本当に申し訳ない……
最後に夫人と二人きりで話をさせてもらいたいらしいのだ」
今、陛下は〝最後〟と言っていた。
私があのお方と二人きりで話をするのはこれで終わりということかしら?
「アリエル、何度もごめんなさいね。
今回のことで、あの子はやっと貴女を諦めることに決めたみたいなのよ……」
王妃殿下は申し訳なさそうにしている。今は国母というよりも、殿下の母として話をしているようだ。
最後にきちんと話をして欲しいということらしい。
私は無意識に旦那様を見つめていた。
「アリエル。私は近くで待つよ。
本当は他の男と二人で話なんてして欲しくないが、私は君を信じているし、殿下の気持ちも分からなくはないんだ」
「分かりました」
「アリエル、ありがとう。本当に感謝しているわ……」
国王陛下と王妃殿下、旦那様が退室した部屋で待つこと数分、王太子殿下が来て下さった。
「アリー、急に悪かったな……」
「いえ。私は大丈夫です」
王太子殿下は罰の悪そうな顔をしていた。
「イザベラが申し訳なかった。
祖国から捨てられたようにやってきた彼女に対して、私は無意識に沢山傷付けていたようだ。イザベラが追い詰められたのは私が原因だ。そのせいで、何も悪くないアリーが命を狙われたんだ……」
「殿下、王女殿下にきちんと向き合って下さったのですね。
冷遇されてきた王女殿下にだって心はあるのです。王女殿下がアシュベリー国でどんな扱いをされ、周りからどのように言われていたのかは知りませんが、噂話などに惑わされず、きちんとご自身の目で判断して欲しいと思っていますわ」
「その通りだ……。私がこんな性格だから、あの時もあの女の言うことを鵜呑みにし、アリーが私を裏切ったと思い込んで、君が苦しんでいるのに助けられなかった。
非常に悔しいが、私よりもシールズ公爵の方がアリーに相応しいようだな……
それなのに君に離縁を勧めてすまなかった」
吹っ切れたように話す殿下は、どことなく寂しげに見えた。
「謝罪を受け入れますわ。
殿下も幸せになって下さいませ」
「ありがとう。しかし、今は自分の幸せよりも優先すべきことは沢山あるな。
アリーが私とシールズ公爵の関係や、我が国とアシュベリー国の関係を憂慮していると聞いて目が覚めたよ。
これからも、臣下として私達を支えてくれたら嬉しい」
「勿論ですわ。夫と共に殿下をお支えしていきたいと思っております」
「君は記憶を失くしていても、私が愛していたアリーに変わりない。信じてもらえないかもしれないが、私は本当に君を愛していたんだ。
シールズ公爵夫人。どうか……、幸せになってくれ……」
「……はい」
元婚約者である殿下とは、これできちんと終わらせることが出来たと思う。
殿下を愛していた記憶は戻っていないが、胸の奥がチクチクするような、ホッとしているような、心の中がよく分からない不思議な気持ちになっていた。
「アリエル、話が終わったと聞いた。
明日は領地に出発するのだから、今日はもう帰ろう」
殿下が部屋を出て行ってすぐ、旦那様が私を呼びに来てくれる。
この声を聞くと安心するのは気のせいではないと思う。
「はい。行きましょうか」
旦那様は、王宮で毒を盛られてまだ塞ぎ込んでいるとか適当に理由をつけて断ろうかと言ってくれたが、陛下と王妃殿下から少しでいいから会いたいと言われたら断ることは出来なかった。
陛下と王妃殿下、私達二人だけのお茶会は今回の騒動の謝罪から始まる。更に、私が今回の事件に目をつぶってくれたことで助けられたと、感謝の言葉も掛けて下さった。
「色々あったけど、アリエルとオーウェンが、仲良くしているようで良かったわ。
オーウェンも欲しかったものが手に入って良かったわね。ずーっと、何年もアリエルを目で追っていたもの。
可愛い甥っ子はこのまま結婚しないのかと心配していたけど上手くやったわね。そして我が息子の方はこの先どうなるのか心配よ……」
「叔母上! 余計なことは話さなくていいのです」
「怖いわねぇ。アリエル、これがオーウェンの本性よ……」
非公式な場であるため、旦那様と王妃殿下は叔母と甥らしく親しげに話をしている。
「王妃殿下。夫の怒る姿も冷たい態度も、今まで沢山見てきたので私は驚きませんわ」
「まあ! オーウェンは何をしたの?」
「アリエル、それは……」
冗談のつもりだったのに、王妃殿下は思った以上に驚いているし、旦那様は気まずそうにしている。
その二人の姿を見た陛下は吹き出していた。
「くっ、くっ……。オーウェンは夫人の尻に敷かれているようだな。
これからシールズ公爵家に何かを頼む時は、先に夫人の機嫌を伺ってからにしよう!」
その後も楽しく会話をしていたら、あっという間に時間が過ぎていた。
「夫人、今回のことを王太子が直接謝罪したいと言っている。
茶会の後に話を聞いてやってくれないか? 今まで散々、夫人に迷惑を掛けたことは知っている。本当に申し訳ない……
最後に夫人と二人きりで話をさせてもらいたいらしいのだ」
今、陛下は〝最後〟と言っていた。
私があのお方と二人きりで話をするのはこれで終わりということかしら?
「アリエル、何度もごめんなさいね。
今回のことで、あの子はやっと貴女を諦めることに決めたみたいなのよ……」
王妃殿下は申し訳なさそうにしている。今は国母というよりも、殿下の母として話をしているようだ。
最後にきちんと話をして欲しいということらしい。
私は無意識に旦那様を見つめていた。
「アリエル。私は近くで待つよ。
本当は他の男と二人で話なんてして欲しくないが、私は君を信じているし、殿下の気持ちも分からなくはないんだ」
「分かりました」
「アリエル、ありがとう。本当に感謝しているわ……」
国王陛下と王妃殿下、旦那様が退室した部屋で待つこと数分、王太子殿下が来て下さった。
「アリー、急に悪かったな……」
「いえ。私は大丈夫です」
王太子殿下は罰の悪そうな顔をしていた。
「イザベラが申し訳なかった。
祖国から捨てられたようにやってきた彼女に対して、私は無意識に沢山傷付けていたようだ。イザベラが追い詰められたのは私が原因だ。そのせいで、何も悪くないアリーが命を狙われたんだ……」
「殿下、王女殿下にきちんと向き合って下さったのですね。
冷遇されてきた王女殿下にだって心はあるのです。王女殿下がアシュベリー国でどんな扱いをされ、周りからどのように言われていたのかは知りませんが、噂話などに惑わされず、きちんとご自身の目で判断して欲しいと思っていますわ」
「その通りだ……。私がこんな性格だから、あの時もあの女の言うことを鵜呑みにし、アリーが私を裏切ったと思い込んで、君が苦しんでいるのに助けられなかった。
非常に悔しいが、私よりもシールズ公爵の方がアリーに相応しいようだな……
それなのに君に離縁を勧めてすまなかった」
吹っ切れたように話す殿下は、どことなく寂しげに見えた。
「謝罪を受け入れますわ。
殿下も幸せになって下さいませ」
「ありがとう。しかし、今は自分の幸せよりも優先すべきことは沢山あるな。
アリーが私とシールズ公爵の関係や、我が国とアシュベリー国の関係を憂慮していると聞いて目が覚めたよ。
これからも、臣下として私達を支えてくれたら嬉しい」
「勿論ですわ。夫と共に殿下をお支えしていきたいと思っております」
「君は記憶を失くしていても、私が愛していたアリーに変わりない。信じてもらえないかもしれないが、私は本当に君を愛していたんだ。
シールズ公爵夫人。どうか……、幸せになってくれ……」
「……はい」
元婚約者である殿下とは、これできちんと終わらせることが出来たと思う。
殿下を愛していた記憶は戻っていないが、胸の奥がチクチクするような、ホッとしているような、心の中がよく分からない不思議な気持ちになっていた。
「アリエル、話が終わったと聞いた。
明日は領地に出発するのだから、今日はもう帰ろう」
殿下が部屋を出て行ってすぐ、旦那様が私を呼びに来てくれる。
この声を聞くと安心するのは気のせいではないと思う。
「はい。行きましょうか」
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