君を愛するつもりはないと言われた私は、鬼嫁になることにした

せいめ

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愛なんていらない

 この伯爵様はなぜこのタイミングで、私に愛を囁いているのでしょうか?

①  鬼嫁への機嫌取り
②  金蔓を逃さないためのリップサービス
③  機嫌のいい伯爵が何となく言っているだけ

 答えは…… ②

 金蔓を逃さないためのリップサービスだね。それ以外にあり得ない。
 詐欺師に騙されたエレノアはもういないのよ。残念でした。


「エレノア…?」

「伯爵様、私にそのような言葉は必要ありませんわ。私達に愛などは存在しないのですから。」

「……君が私を愛していないのは分かっている。
 それでも私はエレノアを愛しているんだ。この気持ちに嘘偽りはない。」


 そういえば…、私達は夫婦だとか愛してるとか、そう言ったことを最近やたら言ってくるよね。
 誰かに何かを吹き込まれているのかしら?


「伯爵様が言ったのですよ。〝愛されたいとも思うな〟と。
 ですから私は、愛されたいという考えは捨てました。どうか伯爵様も自分が言っていたことを曲げたりしないでください。」


 伯爵様がまた泣きそうな顔になっている。


「本当に悪かった…。あの時の私はどうかしていた。
 エレノアに嫌われてから気付いたのだが、私は君を愛していたようだ。
 だから、結婚初夜の日にあんなことを言って君を傷つけてしまったことを今も後悔している。」


 私に嫌われてから、愛していたことに気づいたって言った?
 嫌われてから愛に気付くなんて、変態ってこと?うわー…。というか、もうアンタには騙されない。


「伯爵様から愛の言葉は聞きたくありませんわ。」

「エレノア、本当にすまない。
 それと、君にお願いしたいこともあって来たんだ。」

「お願いですか?」


 図々しくお願い事するのかい!


「今年の結婚記念日は、エレノアと一緒にお祝いがしたい。
 頼む!」


 この伯爵様は何も分かってないのね…。


「伯爵様。私達の結婚記念日を一緒にお祝いしたいと言っていますが、私にとっての結婚記念日はお祝いすべき日ではありませんわ。
 私は結婚初日にこの結婚が間違いだと気付いたのです。あの日のことを思い出すと、怒りと悲しみしかありませんわ。そんな日をどうやって祝えというのです?
 私には無理ですわ!」

「……っ。すまない。」



 伯爵様は泣きそうになりながら、戻って行った。



 次の結婚記念日の日に出て行く計画なのだから、お祝いなんてする時間はないのよ!

 しかし、今更結婚記念日を一緒に祝いたいなどと言い出すなんて…。

 絶対に誰かに何かを言われたのだと思う。
 伯爵様の友人達か家令あたりかな?金蔓の機嫌取りをしっかりとやるようにとでも言われた?本当に迷惑だわ。


 イライラしていたら、2度目の結婚記念日まで、残り1週間になっていた。




 

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