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閑話 エドワーズ公爵 3
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ダイアナへの恋心を自覚した私であったが、特に何も変化なく、店に客として通っていたある日のことだった。
店に不釣り合いな貴族令嬢らしき人物がメイドらしき人物と入って来る。やたら派手で香水の臭い、品のない令嬢。私の嫌いなタイプの人間だ。あの雰囲気は下位の貴族令嬢っぽいな。
その令嬢はダイアナを見つけて、婚約者を誑かしたとか言ってダイアナを殴る。……何だあの女は!
我慢の出来なかった私は令嬢に話しかけていた。
公爵の私が名前を名乗ったことで驚いたらしい令嬢。身分が上の私が名前を名乗ったのに、自分の名前すら言えないようだった。…見苦しい、馬鹿な女だ。怒りを込めて私が名前を名乗ったことを伝えると
「…エマ・ヒューズと申します。」
なるほど、ヒューズ子爵家。
婚約者のレン様とは誰のことかも聞いてみると、友人のシモンズ伯爵家のレイモンドのことだった。
そういえばレイモンドは、一方的に付き纏って来て、勝手に婚約者だと言いふらす、大嫌いな従兄妹がいると言っていたので、そのことを話すと、令嬢は一瞬にして表情が険しくなってしまった。心当たりがあるようだな。
私の友人に暴力を振るったとヒューズ子爵には抗議させてもらうこと。今後は彼女に近づかないこと。また危害を加えたら、今度は社交界に居られなくしてやると厳しく話すと、令嬢は絶句していた。
ダイアナに危害を加える者は容赦なく排除してやる。
しかし令嬢はそこまで言われたのに、立ち去る間際に一瞬、ダイアナを睨んでいたように見えた。恐らく、あの女はダイアナに報復に来そうだ。しばらくは公爵家の影を店とダイアナに付けておいた方がよさそうだ。
友人のレイモンドにも事情を聞かなければ。
私にお礼を言うダイアナが愛しくてたまらない。ここが店ではなく2人きりの場所だったら、私はダイアナを抱きしめていたかもしれない。
後日。
レイモンドに店にエマ・ヒューズが来たことと、婚約者を誑かしたと言ってダイアナを殴っていたことを話すと、レイモンドは肩を震わせて怒っていた。昔からとにかく迷惑な存在らしい。そして、ダイアナの事は何度か店で見て可愛いと思っていたと話す。
…イライラする。他の男がダイアナを見ていることが許せない。
レイモンドは、エマ・ヒューズに、好きな人がいるから結婚出来ないと伝えた時に、最近よくあの店に行っていたことを調べられていたようで、ダイアナが好きだと勘違いされたのではと言う。
エマ・ヒューズを潰してよいと許可を得た私は、早速、ヒューズ子爵家に抗議する事にした。そして、エマ・ヒューズは今後は私の領地への立ち入りを禁止することも子爵に伝える。
子爵とエマ・ヒューズは焦っていた。なぜなら、ヒューズ子爵家の領地から王都や、大好きなレイモンドのいる伯爵家に行くには、私の広大な領地を通らないと行けないからだ。今後、社交をするにも不便だろう。しかし、私の領地の中にあるダイアナのいる店には近づけなくなるので、私からしたら安心なのである。
ヒューズ子爵は可愛い娘が不便だと思ったようで、それだけは許して欲しいと謝っていたが、ヒューズ子爵も立ち入りを禁止にされたいのかと聞くと、諦めたようだった。ヒューズ子爵家ごときどうなっても構わないのだ。
しばらくして、店とダイアナの護衛をさせていた影から、怪しい破落戸3人がいると知らせがあり、すぐに騎士達と拘束する。拷問を加えるとあっさりと、エマ・ヒューズに雇われたと口を割る。ダイアナを襲って殺せと命令されたようだ。……予想通りに動いてくれたな。
早速、ヒューズ子爵家に騎士団を連れて乗り込む。エドワーズ公爵家の領地に、暗殺者を送り込んで来たということは、公爵家に宣戦布告したようなものなのだ。
ヒューズ子爵家に騎士団と乗り込むと、顔を白くしたエマ・ヒューズがいた。捕らえた破落戸3人を見せると…
「…私は何もしてません。」
震えていた。ふん、馬鹿め!
暗殺者が、エマ・ヒューズに命令されて私の領地に来たことを知ったヒューズ子爵は、全てを諦めたようだった。没落したいか、娘を鉱山送りにしたいかを尋ねると、あっさり娘を差し出して来た。泣くエマ・ヒューズをそのまま拘束させ、すぐに鉱山に連れて行かせた。
ダイアナに害を成す者は、どんな者であっても許さない。
この後ヒューズ子爵家は、エドワーズ公爵家を敵に回したと社交界で噂になり、衰退していくことになる。
店に不釣り合いな貴族令嬢らしき人物がメイドらしき人物と入って来る。やたら派手で香水の臭い、品のない令嬢。私の嫌いなタイプの人間だ。あの雰囲気は下位の貴族令嬢っぽいな。
その令嬢はダイアナを見つけて、婚約者を誑かしたとか言ってダイアナを殴る。……何だあの女は!
我慢の出来なかった私は令嬢に話しかけていた。
公爵の私が名前を名乗ったことで驚いたらしい令嬢。身分が上の私が名前を名乗ったのに、自分の名前すら言えないようだった。…見苦しい、馬鹿な女だ。怒りを込めて私が名前を名乗ったことを伝えると
「…エマ・ヒューズと申します。」
なるほど、ヒューズ子爵家。
婚約者のレン様とは誰のことかも聞いてみると、友人のシモンズ伯爵家のレイモンドのことだった。
そういえばレイモンドは、一方的に付き纏って来て、勝手に婚約者だと言いふらす、大嫌いな従兄妹がいると言っていたので、そのことを話すと、令嬢は一瞬にして表情が険しくなってしまった。心当たりがあるようだな。
私の友人に暴力を振るったとヒューズ子爵には抗議させてもらうこと。今後は彼女に近づかないこと。また危害を加えたら、今度は社交界に居られなくしてやると厳しく話すと、令嬢は絶句していた。
ダイアナに危害を加える者は容赦なく排除してやる。
しかし令嬢はそこまで言われたのに、立ち去る間際に一瞬、ダイアナを睨んでいたように見えた。恐らく、あの女はダイアナに報復に来そうだ。しばらくは公爵家の影を店とダイアナに付けておいた方がよさそうだ。
友人のレイモンドにも事情を聞かなければ。
私にお礼を言うダイアナが愛しくてたまらない。ここが店ではなく2人きりの場所だったら、私はダイアナを抱きしめていたかもしれない。
後日。
レイモンドに店にエマ・ヒューズが来たことと、婚約者を誑かしたと言ってダイアナを殴っていたことを話すと、レイモンドは肩を震わせて怒っていた。昔からとにかく迷惑な存在らしい。そして、ダイアナの事は何度か店で見て可愛いと思っていたと話す。
…イライラする。他の男がダイアナを見ていることが許せない。
レイモンドは、エマ・ヒューズに、好きな人がいるから結婚出来ないと伝えた時に、最近よくあの店に行っていたことを調べられていたようで、ダイアナが好きだと勘違いされたのではと言う。
エマ・ヒューズを潰してよいと許可を得た私は、早速、ヒューズ子爵家に抗議する事にした。そして、エマ・ヒューズは今後は私の領地への立ち入りを禁止することも子爵に伝える。
子爵とエマ・ヒューズは焦っていた。なぜなら、ヒューズ子爵家の領地から王都や、大好きなレイモンドのいる伯爵家に行くには、私の広大な領地を通らないと行けないからだ。今後、社交をするにも不便だろう。しかし、私の領地の中にあるダイアナのいる店には近づけなくなるので、私からしたら安心なのである。
ヒューズ子爵は可愛い娘が不便だと思ったようで、それだけは許して欲しいと謝っていたが、ヒューズ子爵も立ち入りを禁止にされたいのかと聞くと、諦めたようだった。ヒューズ子爵家ごときどうなっても構わないのだ。
しばらくして、店とダイアナの護衛をさせていた影から、怪しい破落戸3人がいると知らせがあり、すぐに騎士達と拘束する。拷問を加えるとあっさりと、エマ・ヒューズに雇われたと口を割る。ダイアナを襲って殺せと命令されたようだ。……予想通りに動いてくれたな。
早速、ヒューズ子爵家に騎士団を連れて乗り込む。エドワーズ公爵家の領地に、暗殺者を送り込んで来たということは、公爵家に宣戦布告したようなものなのだ。
ヒューズ子爵家に騎士団と乗り込むと、顔を白くしたエマ・ヒューズがいた。捕らえた破落戸3人を見せると…
「…私は何もしてません。」
震えていた。ふん、馬鹿め!
暗殺者が、エマ・ヒューズに命令されて私の領地に来たことを知ったヒューズ子爵は、全てを諦めたようだった。没落したいか、娘を鉱山送りにしたいかを尋ねると、あっさり娘を差し出して来た。泣くエマ・ヒューズをそのまま拘束させ、すぐに鉱山に連れて行かせた。
ダイアナに害を成す者は、どんな者であっても許さない。
この後ヒューズ子爵家は、エドワーズ公爵家を敵に回したと社交界で噂になり、衰退していくことになる。
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