悪い魔女

底に

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全ては終わりのために

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『むかしむかし、あるところに悪い魔女がいました。その魔女は人々を呪い、惑わし、国を破滅の危機へと追いやりました。しかし、最後は王様によって処刑され、国は平和を取り戻しましたとさ。めでたしめでたし』

 一面に広がる黄緑の草原、その中に大きな樹が一つ。絵本の読み聞かせに寝てしまった一人の男の子。彼を膝に寝かせ、樹に寄りかかる一人のお婆さん。白髪でメガネで、腰も曲がっており、木漏れ日を眩しそうに見つめている。

 どこか遠い遠い方を見つめているような。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
タッタッタッタッタッタッ キュッ キキッ 騒がしい靴の音
ジュワァー カッカッカッカッ ピー!! 朝食のリズム

「ニナー!ニナー!」
黒髪でエプロン姿のお母さん

「なーに!!」
ヘアゴムを口にくわえ上手くしゃべれない。

「何朝から冗談いってんの!帽子被ったの!?ちゃんと髪は結んだの!?早くしないと入学早々遅刻しちゃうわよ!!」

「いや、そういう意味じゃないし、ニナの逆とかそういんじゃ…」

トン トトン カタカタッ 次々と揃う朝食たち

「私いらなーい。もう、、ぉぃしょっと、出ないとーー!」
深めの革ブーツをトントン 玄関のドアをガチャ

「待ちなさい!…気を付けるのよ。」
フランスパンみたいなモノを渡し微笑むお母さん

キィィィ トン タッタッ クルッ

「うん!」


私の名前はニナ、今年から魔法学校に入学する女の子!左は黄色、右は赤いヘアゴムをしているのが特徴!以上!以後お見知りおきを

「さてと、ノトール学園への行き方は、っと」 
私は巻かれた紙の紐をほどき パサリ

~ようこそ!ノトール学園へ!学園に行くには初級魔法書、22,018ページの乗り物獣の召還を行い、『アルファ・ト・ノトール』と告げると案内してくれるよ!君たちが来るのを楽しみに待っています!~

私はリュックから初級魔法、通称イエローブック(本が黄色いからだ)を取り出し

パラパラパラパラ ペチン パラパラ パラ

「あった、えーと、乗り獣の召還の仕方は」

~乗り物獣の召還。ヒト以外の生き物に対して催眠魔法、ソリエールを使う。ソリエールは両手の甲をくっつけ、隙間から『ソリエール』と唱えるとできる~

私は辺りを見回す。うーむ、おっ、あれは…

ピョンピョン コロコロ ピョン! ムシャムシャ

あれは野生のカラフルボージュ。カラフルなボールみたいな形の獣だ。あれにしよう。

「えいっ!」

ガシッ ジタバタ バタタ 

「それっ!」

真っ直ぐ上へ ポーーイ!
ちょうど目の前まで落ちると

『ソリエール!!』


ポン!! キュィ キュィッ ピカーン ドーン!

ボージュは木より大きくなった

『アルファ・ト・ノトール!!』

「私を学園に連れてって!」

ガタッ ガタガタガタガタガタガタッ シーン

「ん、んー?」

ニョキニョキニョキ!! パタパタパタ ピーン グルグルグル

カラフルボージュから突然出てきた白い布みたいなモノに包まれ、私は

「えっ、ええ!」 グイッ グッグッグッ 

グゥゥ ギュイーーン ピョーーーーーーーン!!!

空高く飛んだ、というか跳ねた。

「ちょ、ストップストップ!止めてー!」

私にお構い無しに進むボーギュ
そういえば止める魔法読んでいなかったっけ

ハァー ピョーーーン ピョーーーン ピョーーーーーーーン!

入学前に私は思った。

本は隅々まで読もう、と。
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