悪い魔女

底に

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第2章 学園生活は辛いよ!

オリエンテーションは辛いよ!

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モナイト草原。草原とは聞いていたが本当に草以外なにもない。

「ここで何をするんだろう」

「さあね」

私とネコ、そして他のみんなもこの空間をもて余していた。

ピカーーン スタッ バッサバッサ

先生が転移し、遅れて鳥も降りてきた。

「みなさん転移ありがとうございます。このクラス、ラ・スーメル第1学年は全員で15名います。みなさんはお互い切磋琢磨しあい、よきライバル、よき仲間になってもらいます」

「マース!マース!」

「これから先、授業や試験、各行事で『AP』アセスメントポイントを稼いでもらい、そのポイントによって将来、いい職場につけたり、『あの任務』のメンバーに選ばれたりします。みなさんのご健闘をお祈りします」

「マース!マース!」

「あのー、先生。それで結局今から何をするんですか?」

エリートぽい、襟がたっている生徒がしびれを切らし質問した。

「ああ、すみません。これからお互いの自己紹介も兼ねて、最初の試験を行います」

「マース!マーs」

「えー!いきなり試験!!!」

「俺の実力をさっそく見せる時がきたな」

「…この風向きは、、不幸の知らせ」

先生の頭の鳥が喋る前に、みんな一斉に騒ぎだした。それもそうだ。いきなり試験だなんて!

「えー、静かにー。試験と言ってもAPも低く、ま、軽いオリエンテーションだと思って下さい。今から試験の内容を発表します」

「試験は岩を多く砕く。これだけです。砕いた数だけAPが加算されます」

ニヤリ 先生が不適な笑みを浮かべた

「先生ー、でも岩なんてどこにもないですよ」

「そうだそうだ!どこにあるんだ!」

またみんな騒ぎだす。確かにどこにあるんだろ。

「フフフ。岩は、自分達で生み出すのです。中級魔法書、9241ページを開いてください。無機物の生成方法が書かれています。ただし、初級魔法と異なり、正確な材質、寸法まできっちりとしたものが作れます」

な、なるほど。岩さえも私たちで作るのか、でも、、

「せ、先生!作り方は教えてくれないのですか?詠唱の言葉しか書かれてないのですが。杖の振り方とか」

「杖の振り方などはありません。大切なのはイメージです。精密で、繊細で、また大胆な。みなさん、杖を出してください。今から言う岩を具体的に、想像し創造してください。そうすればおのずと杖が勝手に動きます」

また ニヤリ 頭の鳥も何故か喋らなくなっている。

私たちは杖を出し、構える。

「ではいきますよ、縦10.21m横9.38m高さ11.14m。材質はセルロス合金。以上。では始め!」

「あ、先生待って、もう一回いって!」

「フフフ。時間は今日の夕方、17時にキコカンが鳴くまでとする。では」

すると、先生の頭の上にのっていた、時計の形をした鳥が突然分離。巨大な時計がでてきた。そして鳥の足に捕まり、先生は遥か上の空へ行ってしまった。

カチッ カチッ カチッ カチッ

みんな静まり、静かに時計の針の音だけが響く。

「あのー、とりあえず、さっき先生が言った寸法と材質、メモしたので共有しますか?」

最初に口を開いたのは、さっき教室で話していた、フツーの女の子だ。

「エンピツで書いておいたので、みなさんどうぞ」

フツーの女の子は自分のメモリーブックを開く。メモリーブックとは自身が経験した記憶ではなく、エンピツにより書き与えられた記憶のことだ。他の人に見せることはできるが、他の人によって消されたり、書き加えられたりすることはない。

「えーっと、縦10.21m横9.38m高さ11.14m。材質はセルロス合金と。すごい正確だ」

みんな一斉に自分のメモリーブックに書き込んでいく。

「ん?上の方に書いてある、目指せ体重52kg以下っ!ってのは、、」

「ああ!!ダメです!そこは見てはいけません!!」

フツーの女の子は慌ててメモリーブックを閉じる。

いかにもフツーの女の子が書きそうなことだ。でも私に比べたら全然、、いや考えるのは止めよう。

「でも、正確な数値が分かっても、それを具体的に想像するのってどうすればいいんだ」

ドラゴン族の男の子が言った。

うーむ。みんな首をかしげ悩む。

「はいはーい!みんなとりあえず自己紹介すればいいと思うの!悩んだって仕方ないし!そうでしょ!そうでしょ!特技とかー、持ってる杖とか!言っていこー!」

タンポポみたいな目をした女の子がそう言った。

自己紹介、、みんな個性的だし気になっていた。でも私に特技なんてあったっけ。

ここで滑ったら5年間詰む。
そんな経験は無いが、何故か頭のなかでそう確信している自分がいるのであった。
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