悪い魔女

底に

文字の大きさ
87 / 119
第6章 確率は50%

進捗度は83%

しおりを挟む
リンゴンやザックロのいた絵から離れ、私達は次の行き先を考えていた。

「絵画から出れたのはいいけど、結局はまだ違う絵画の中なのよね」

「ホントに、しかもまだここの絵画から出ても美術館に戻るだけで、美術館もまた違う絵画の中に入っているという、なんともややこしい話だ」

「ネコと合流できたのはいいけど、マイちゃんもいないし、ピカンもどこに行ったのやら。全ての元凶のポーラも探してここから出して貰わないと」

「先に何から取りかかる?」

「そうね、、とりあえず美術館に戻るために、来た場所まで戻りましょ。あ、そういえばネコはどうやってこの絵画の中に来たの?」

「あー、まだ言ってなかったね。ニナ達と別れてすぐに、僕はあの有名なモナ・リサの絵の前へ行ったんだ。そしたらその中から声が聞こえて、で気がついたら吸い込まれてたんだ」

「そうなのね、、私は壁にもたれ掛かったら転がり落ちたんだけど、もしかしたら何か有名な絵画に吸い込まれたのかもしれないわ」

「そうなると、マイちゃんが吸い込まれた絵画も何か関係があるかも。ニナが来た所に行ってみよう」

私達は元来た道へ引き返した。

「えーっと、そうそうこの辺だわ。あ!この絵から来たのかも」

「何々?題名は【洗礼者ヨッハネ】?モナリサと同じ、レオナルト・タ・ヴィンチの作品じゃないか!」

「じゃあマイちゃんが恐らくいるとしたら同じ作者の作品ね」

「そうだね。それにこの絵達に関係するとしたら、、あれしかないだろうね」

「え、ネコは何か検討がついてるの?」

「まあね。よし、その絵のとこに行ってみよう!何か手がかりがあるかも」

私はネコのあとをついていった。

「…あった、、ここだ」

「わぁ、、大きな絵。。題名は、【聖アンーナと聖母子】か。確かにレオナルト・タ・ヴィンチが描いているけど、これは私達のと関係性があるの?」

「ああ、実はニナが来た【洗礼者ヨッハネ】、僕が来た【モナリサ】そしてこの【聖アンーナと聖母子】は実は生前、タヴィンチ
が最後まで手放さなかった三枚で、未だに何か関係性があるんじゃないかって言われているんだ」

「へぇー、そんなことが、、じゃあもしかしたらマイちゃんもこの絵に吸い込まれているのかも知れないのね。でも、、見当たらないわね」

「うん。マイちゃんも、もしかしたら何か果物に、、」

ネコがそう言いかけると

〖やあやあ!よく戻ってきたね!その様子だと、どうやらリンゴンとザックロはやられたらしいね〗

「っ!!?ポーラ!いつのまに!?」

この美術館の館長であり
私達をここに閉じ込めている
ポーラが後ろに立っていた。

〖うんうん。いいねいいね。そうでなくっちゃ。あの女の子みたいに簡単にやられて貰っては困るからね〗

「えっ、、もしかしてマイちゃんに何かしたの?マイちゃんはどこなの!」

〖うーん、どこにいるのかなあ。はそこにあるけど〗

ポーラはどこからともなくワインを出し、グラスをある絵画の方へ傾ける。

そこへ目を向けると

「ま、マイちゃん!?」

目から光を失ったマイちゃんが
絵の中に立っていたのだった。

「ポーラあなた!」

〖おー、落ち着いて下さい。彼女はただゲームに負けただけですよ。人間は動いているように見えて止まっているのです。ずっと星で、宇宙で生きているだけ。絵画と何ら変わらない〗

「そんな!全然違うわよ!ポーラを返して!」

〖クックッ、言わずともわかるでしょう。返してほしければ、、ね〗

「…ゲームに勝つしかない。でもあなたはこんなことして何のメリットがあるの?世界征服したいだけなんじゃないの?」

〖私の力だけでは、まだこの美術館くらいしか絵画の中に納められない。足りないのだよ、力が。芸術の力がね〗

「芸術の力…」

〖まあせいぜい頑張ってくれたまえ。私の為に、世界のために、そして芸術のために〗

スゥーーーー

「あっ!待って!!」

ポーラはまた違う絵画の中に吸い込まれて行った。

「どうやら、ゲームに勝つしかなさそうね」

「うん、、でも誰と戦えば…」

《僕とさ!》

ニョキィィ

どこかの絵画から声が聞こえる。

「あ、あなた?」

グラグラグラ ポトッ

一本の木から果実が落ちた。

そしてそのままそれは飛び出しきた。

《どうも。ブドウトゥです》

ブドウが出てきた。
どうやらまた果物と
戦わなくてならない私達であった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【12月末日公開終了】これは裏切りですか?

たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。 だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。 そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...