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第6章 確率は50%
現実は限りなく12%未満
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『次は【82】です』
美術館の案内ロボット、ランジェにより、ドンドンと数字が読み上げられていく。
「…変ね。ブドウトゥの方は全然揃ってないわね」
「まああくまでも確率だからね。このまま読まれずに僕たちが勝つこともあり得るよね」
「そうね、、でもなおさらなんで、ブドウトゥに誰も勝てなかったんだろう」
「スーパーラッキーだったとか?」
その後、私達の数字は順調に読まれていった。
「よし!5つ揃った!チンクイナだわ!これでブドウトゥの魔力も封じたわね」
「うん、そして向こうは一つも数字が読まれていない。あと2列読まれたら僕たちの勝ちだ」
「なんだか上手くいきすぎているような、、」
「そんなこと無いって!ニナは心配しすぎだよ。それより早く次の数字に行こう」
しかし私は杖をとりだし
「…『ル・ロース』」
ダバーーー
私は魔法で杖から水を出した。
「ん?どうしたんだい?いきなり水なんか出して」
ネコに疑問に思われたが
私は少し考える。
「魔法は使える…目も見えて、聞こえて、触っている感触もある、、けどどこか違和感がある」
「さっきから様子が変だぞニナ、大丈夫か?」
「…うん。気のせいならいいんだけどね。ちょっと試させて」
「一体何を…」
「はぁぁあああっっっっ!!!」
私は大きく飛び上がり
トンッ
ブドウトゥの側の盤に乗る。
「ニナ?何をするつもりなんだ?おーい!早くこっちに戻ってこい!早く!早く!!」
「サヨナラ」
ザスッ
私は杖をブドウトゥに刺した。
ウーーーーウーーーー
風景全体が赤くなり
サイレンが鳴り響く
『ルール違反の武力行使により、ニナチームの負けとします。よって魂がブドウトゥへ移ります』
「ニナ、、なんでこんな事を…」
「これでいいのよ。これで、、ね」
目の前が真っ赤に染まる。
ネコが悲しそうにコチラを見ている。
ああ、ごめんね。
でも私にはこれしかできないの。
魂が吸いとられていくのがわかる。
そして、、、
《お目覚めかな?》
「はっ!!ここは!?」
私は相変わらず、ランダムの数字が書かれてた盤の上にいた。
「私は、、何を」
《やれやれ全く。君が初めてだよ、こんなに早く目覚めたのは》
「じゃあやっぱりあれは現実では無かったのね」
《ああ、そうだよ。君達はここに来た時点で夢を見る魔法をかけられていたんだ。ルール説明を受けた後に、すぐに眠りにつくような、そんな魔法をね》
「一体いつそんな事を?」
《ここに来るとき僕の液体に身体が染まっただろう。あの時点でここは僕の世界になった訳だ。君らを眠らせ、夢を見させること事態造作もないんだ》
「つまり、夢の中で夢を見させられていた、みたいなことね」
《理解が早くて助かるよ。でもその夢を目覚めるのが早かったようだね。それには驚かされたよ》
「まあね。現実はそんなに甘くない、ってことを知っているからね」
《ふぅん。まあ、ここがまだ夢の中の夢かもしれないし、もしかしたらルール自体が全く違うのかもしれないし。それは怖くないのかな?》
「ええ、怖くはないわ。私は必勝法を思い付いたのだから」
《必勝法?ハッハッハッ!そんなものがあるわけ無いじゃないか!ここは僕の世界、僕がルールなんだぞ?》
「いいえ、もうさっきので分かったわ」
そう例えここが現実だろうと
ルールが本当であっても
私は勝てる。
「もし、ここが夢なら、さっきみたくあなたに直接武力行使すれば目が覚める。何故ならルール違反で魂がとられているのに、私自身は動き続けているからそこで矛盾が生じる。ここが夢だと分かってしまう」
私は続ける。
「そしてルールが違ったとしてもそれに私は納得してもないし、聞いてもいないならそれは芸術的でないし、さっき戦ったリンゴ達にもその辺はしっかりしていた。あなたもそのはずだわ」
そう、そして最後に
「もしルールが本当で、最後にルールを聞いた最初の夢にたどり着いたとしても。あなたの果実をぐちゃぐちゃにしたら、あなたが折角集めた魂達を解放することになる。あなたがそんなことを易々と受け入れるはずがないと思うから、そこで抵抗したらそこが最後の夢だと判断できるわ」
《なるほど、、どうやっても真実が分かるということか。しかしそれは全て憶測であり、自らの魂をかけている行動だ。何故そこまでできるのだ?》
「私は単純に、もっと正々堂々とゲームを楽しみたいだけよ。この駆け引きもゲームの一つでしょ」
《ククク、やはりリンゴンとザックロに勝っただけはあるな。分かった。本当に正々堂々とゲームを始めよう。ここが最初で最後の夢の場所だ》
パチン
ブドウトゥが合図を出したが
何も変わった気がしない。
「本当に元に戻ったの?」
《そこは安心して欲しい。大抵の者はあのまま眠ったままでゲームが終わってしまうのだが、一部の者は目を覚ます。トンボラのルール自体も変わってはいない》
ブドウトゥは続ける。
《しかし一つだけ、これにもタイムリミットがあり、全て揃ってトンボラとなっても、それを声に出して言わないと勝ちとはならない。揃って10分以内に言わなければ負けとなるのだ》
「そんなルールが!?だから眠ったままの人達はどんなに運が良くても負けていたのね」
《そういうことだ。だからここからが本当の勝負だ。正々堂々とやろうじゃないか》
「よし!そうね、ネコも早く起こしてちょうだい」
《ああ、いいとも。だが、少し君達は起きるのが遅すぎたようだ》
ニヤリ
ブドウトゥは笑っているように見せた。
私は自分の盤と相手の盤を見る。
「そ、そんな!?」
夢で見た光景とは真逆の
私達は全く揃っておらず
ブドウトゥはもうあと1列で
トンボラを完成させるまで来ていたのだった。
「何かの数字の能力?それともまたあなたの能力なの?」
《さあね。でももうこれは夢ではないよ。厳しい現実の始まりだ》
単純に確率だけなら勝負は五分五分
しかし数字や魔法が絡み合い
圧倒的劣勢は覆りそうになかったのだった。
美術館の案内ロボット、ランジェにより、ドンドンと数字が読み上げられていく。
「…変ね。ブドウトゥの方は全然揃ってないわね」
「まああくまでも確率だからね。このまま読まれずに僕たちが勝つこともあり得るよね」
「そうね、、でもなおさらなんで、ブドウトゥに誰も勝てなかったんだろう」
「スーパーラッキーだったとか?」
その後、私達の数字は順調に読まれていった。
「よし!5つ揃った!チンクイナだわ!これでブドウトゥの魔力も封じたわね」
「うん、そして向こうは一つも数字が読まれていない。あと2列読まれたら僕たちの勝ちだ」
「なんだか上手くいきすぎているような、、」
「そんなこと無いって!ニナは心配しすぎだよ。それより早く次の数字に行こう」
しかし私は杖をとりだし
「…『ル・ロース』」
ダバーーー
私は魔法で杖から水を出した。
「ん?どうしたんだい?いきなり水なんか出して」
ネコに疑問に思われたが
私は少し考える。
「魔法は使える…目も見えて、聞こえて、触っている感触もある、、けどどこか違和感がある」
「さっきから様子が変だぞニナ、大丈夫か?」
「…うん。気のせいならいいんだけどね。ちょっと試させて」
「一体何を…」
「はぁぁあああっっっっ!!!」
私は大きく飛び上がり
トンッ
ブドウトゥの側の盤に乗る。
「ニナ?何をするつもりなんだ?おーい!早くこっちに戻ってこい!早く!早く!!」
「サヨナラ」
ザスッ
私は杖をブドウトゥに刺した。
ウーーーーウーーーー
風景全体が赤くなり
サイレンが鳴り響く
『ルール違反の武力行使により、ニナチームの負けとします。よって魂がブドウトゥへ移ります』
「ニナ、、なんでこんな事を…」
「これでいいのよ。これで、、ね」
目の前が真っ赤に染まる。
ネコが悲しそうにコチラを見ている。
ああ、ごめんね。
でも私にはこれしかできないの。
魂が吸いとられていくのがわかる。
そして、、、
《お目覚めかな?》
「はっ!!ここは!?」
私は相変わらず、ランダムの数字が書かれてた盤の上にいた。
「私は、、何を」
《やれやれ全く。君が初めてだよ、こんなに早く目覚めたのは》
「じゃあやっぱりあれは現実では無かったのね」
《ああ、そうだよ。君達はここに来た時点で夢を見る魔法をかけられていたんだ。ルール説明を受けた後に、すぐに眠りにつくような、そんな魔法をね》
「一体いつそんな事を?」
《ここに来るとき僕の液体に身体が染まっただろう。あの時点でここは僕の世界になった訳だ。君らを眠らせ、夢を見させること事態造作もないんだ》
「つまり、夢の中で夢を見させられていた、みたいなことね」
《理解が早くて助かるよ。でもその夢を目覚めるのが早かったようだね。それには驚かされたよ》
「まあね。現実はそんなに甘くない、ってことを知っているからね」
《ふぅん。まあ、ここがまだ夢の中の夢かもしれないし、もしかしたらルール自体が全く違うのかもしれないし。それは怖くないのかな?》
「ええ、怖くはないわ。私は必勝法を思い付いたのだから」
《必勝法?ハッハッハッ!そんなものがあるわけ無いじゃないか!ここは僕の世界、僕がルールなんだぞ?》
「いいえ、もうさっきので分かったわ」
そう例えここが現実だろうと
ルールが本当であっても
私は勝てる。
「もし、ここが夢なら、さっきみたくあなたに直接武力行使すれば目が覚める。何故ならルール違反で魂がとられているのに、私自身は動き続けているからそこで矛盾が生じる。ここが夢だと分かってしまう」
私は続ける。
「そしてルールが違ったとしてもそれに私は納得してもないし、聞いてもいないならそれは芸術的でないし、さっき戦ったリンゴ達にもその辺はしっかりしていた。あなたもそのはずだわ」
そう、そして最後に
「もしルールが本当で、最後にルールを聞いた最初の夢にたどり着いたとしても。あなたの果実をぐちゃぐちゃにしたら、あなたが折角集めた魂達を解放することになる。あなたがそんなことを易々と受け入れるはずがないと思うから、そこで抵抗したらそこが最後の夢だと判断できるわ」
《なるほど、、どうやっても真実が分かるということか。しかしそれは全て憶測であり、自らの魂をかけている行動だ。何故そこまでできるのだ?》
「私は単純に、もっと正々堂々とゲームを楽しみたいだけよ。この駆け引きもゲームの一つでしょ」
《ククク、やはりリンゴンとザックロに勝っただけはあるな。分かった。本当に正々堂々とゲームを始めよう。ここが最初で最後の夢の場所だ》
パチン
ブドウトゥが合図を出したが
何も変わった気がしない。
「本当に元に戻ったの?」
《そこは安心して欲しい。大抵の者はあのまま眠ったままでゲームが終わってしまうのだが、一部の者は目を覚ます。トンボラのルール自体も変わってはいない》
ブドウトゥは続ける。
《しかし一つだけ、これにもタイムリミットがあり、全て揃ってトンボラとなっても、それを声に出して言わないと勝ちとはならない。揃って10分以内に言わなければ負けとなるのだ》
「そんなルールが!?だから眠ったままの人達はどんなに運が良くても負けていたのね」
《そういうことだ。だからここからが本当の勝負だ。正々堂々とやろうじゃないか》
「よし!そうね、ネコも早く起こしてちょうだい」
《ああ、いいとも。だが、少し君達は起きるのが遅すぎたようだ》
ニヤリ
ブドウトゥは笑っているように見せた。
私は自分の盤と相手の盤を見る。
「そ、そんな!?」
夢で見た光景とは真逆の
私達は全く揃っておらず
ブドウトゥはもうあと1列で
トンボラを完成させるまで来ていたのだった。
「何かの数字の能力?それともまたあなたの能力なの?」
《さあね。でももうこれは夢ではないよ。厳しい現実の始まりだ》
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圧倒的劣勢は覆りそうになかったのだった。
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