上 下
14 / 43

第14話 おはなし

しおりを挟む

シルキーsaido
朝、起きてから、風呂場に行き井戸から引いた水を桶に入れてそれで顔を洗い、
リビングでお婆ちゃんが作ってくれた朝食を食べ終えたら使った食器の片付けとか部屋の掃除などの手伝いをしたりする。
ちなみに今日のご飯はパンとソーセージみたいな料理に飲み物として牛乳
前世とは違って冷蔵庫がないから1日で全部飲まなきゃいけないのである。
大変だね。あと冬なら冷蔵庫の代わりに氷を木箱の中に敷き詰めて、その中で保存するらしいぞ。見たことないけど
「シルキーちゃん、ちょっといいかい?」
掃除中にお婆ちゃんに声をかけられた
「あっはい大丈夫ですよ?何かありましたか?」
なんだろう?アルカお婆ちゃんから声をかけてくるなんて珍しいですね
「この前ね、近所の人に旅行に行かないか?って誘われちゃったのよ」。
旅行ですか?良いじゃないですか?あまり出かけることはなかったですし
行ってみては?
「そうなんですね...行ってみては?」
「でもぉシルキーちゃんは一人になっちゃうから、やめようかなって思うの」

「そうですか?....でも大丈夫ですよ。作り置きさえしてくれれば、料理しに帰ってこなくて大丈夫ですし」
「そうだけど...やっぱり心配なのよねぇ」
まぁ小さい子を一人で置いておくのを心配するのはわかるけどなぁ
「そうですか....やっぱりダメですか...」
まぁ仕方ないかなぁ

「誰かにお願いすることはできないのでしょうか?」

「そうだねぇ...近所の人たちはみんな旅行に行くからねぇ」
あぁ..だから旅行するのやめようかなと言っていたのかぁ
なるほどねぇ
「預ける人はいない...か...」
まぁそうですよね...そんな簡単に見つかるわけないですよねぇ
「ほかに知り合いはいないんですか?」
ティアナさんとか騎士団の人とか
「居ないこともないけど...引き受けてくれるか分からないからねぇ」
あーなるほど、連絡を取ってないとか、あまり交流がない方達しか残って無いってことかな。
「この前シルキーちゃんが騎士団にお世話になった方達はどうかしら?」
あーティアナさんとかラインハルトさんとかですかね。
他の人だったらアルシェさんとか...あとは騎士団長、ロックさんとかかなぁ
「それは...ティアナさんなら暇でしょうけど...他の人達は多分忙しいと思います」
あの人ならいつも寝ているだろうから
一日二日一緒にいたって変わらないと思うけどなぁ
「そうよねぇ...それじゃあティアナさんにお願いしようかねぇ」
そうですね...それが良いと思います
あの人、そんな働かないしね。働いても真夜中だし
夜行性かよって話だ
「そうですねぇ、それがいいと思います」

「そうよねぇ...じゃあそういう事にしましょう」
そういえば、あの同僚の人、アルシェさんだっけ?
なーにか隠してそうな感じなんだよねぇ...何隠してんだろ
あとあの胡散臭い流浪の妖精...あの人もなにかある気がするが
まぁ関係ないと思いたいけど...
今は関係ないかなぁ
「そういえばなんですが、その誘ってくれた人はどんな人なんですか?」
気になるね。アルカお婆ちゃんの知り合い
「そうねぇ...古い友人って所かしらね」
古い友人...若い頃に出会ったのかなぁ
それともロイドお爺ちゃんと会った時に友人になったのかなぁ?
「へぇ...交友関係が広いんですねアルカお婆ちゃんは」

「そうね、あるキッカケがあってたくさんの友人に恵まれたのよねぇ...」
そう言いながら懐かしい思い出を思い浮かべてるのか目を細めるアルカお婆ちゃん。どんな青春時代を送っていたんでしょうか
「あっ今気づきましたが、身に付けてくれてるんですね。マフラー」
身につけるにはまだ早いと思いますが...
どうなんでしょう?この辺は涼しい気候なので些細な問題でしょうが
「え?あぁシルキーちゃんがくれたこれの事でしょ?」
そう言ってアルカお婆ちゃんは首にかけたマフラーを大事そうに握る
「はい。大切にしてくれて嬉しいです」

「そうね。この猫のデザインが気に入ってるのよね」
そうですか!気に入ってくれましたか!
良かったです。気に入ってくれて...本当によかった...

「泣いてるけど...そんなに嬉しいのかい?」
え?私が泣いてる?涙線が緩んだのかな...
前世じゃこんなに涙もろくないんだけどね
「はい。喜んでくれてるのが嬉しくて..」

「そうだ!良いものをあげようか」
良いもの?
「良いもの?ですか?」
 なんだろ?お金かな...それともお婆ちゃんがくれる物だからお菓子とか?
「そうよ...その良いものはこれ!」
そう言って取り出したのは... 小さな本とペンが紋章のように彫られた金色のペンダント。確か...これは...
「これは...あの時のペンダント?」
そうこの町の図書館の奥の部屋に入るためのあのペンダントだった。
でも何でこれ?確かに良いものだけど...!
「もしかして...これを?」


「そうね。貴方にあげるわ。」
くれるんですか!やったぁ!
「良いんですか!でもこれ大事なものなんじゃ?」

「いいのよ。大切にしてくれるだろうから...ね♪」
そう言ってアルカお婆ちゃんは私の首にペンダントをかけてくれた
「はい!大切にします!」

「そうかい....そりゃよかったねぇ...」
嬉しそうな表情で私の頭を撫でるアルカお婆ちゃん

「そういえばなんですが。このペンダントって何なんですか?」
ちょっと豪華な装飾が施してあるし材質も高級品だろうから
何かの記念品なのかな?
「それはねぇ....まだナイショ♪」
何でだよ...
「えー何でですか!」
そこは言う所でしょ
「いやーね、ちょっとまだナイショにしときたいのよねぇ」
明かせないのには何か理由があるのかな?
それなら仕方ないかなぁ
「驚かせたいからねぇ」
まぁ、悪い意味で驚かせたいんじゃないんだったら良いけどさぁ
「そうですか....じゃあ聞かないでおきますね」

「そうしてくれると嬉しいねぇ。ちょっと」

「じゃあ明日図書館で借りてくると良いわ」
図書館かぁ...お婆ちゃんは旅行に行くし何かの本を借りてくるか?
「そうですね...じゃあ今度借りてこようと思います」
「何を借りてくるか決めてるのかい?」
どんな本を気になったのか聞いてくるアルカお婆ちゃん
「そうですねぇ....借りるなら...」
そういうの考えてなかったなぁ...何借りるかなぁ...魔法関連のやつか物語でいいかなぁ。精巧な図鑑とかなさそうだしね...
そういえば気にしてなかったけどこの世界の文字とかって前世の英語とかと殆ど同じなんだよなぁ...何でだ?多分この国のモデルは多分イギリスだと思うけど
他にも家名とか料理とかの文化などに別の国の要素が加わってるんだよなぁ...ドイツとかフランスとか。なんかこの世界は初心者が書いた異世界小説みたいな感じがするなぁまぁ貶してる訳ではないけどさ。
もっとこう別世界!って感じの雰囲気があると思ったんだけど
この世界は意外と発展してるんだよねぇ...と言っても
せいぜい中世末期ぐらいの発展度だけどさ、あとは...言語、神様がオマケ的なのでわかるようにしてくれたのか、元々この体が持っていた知識なのかもしれないな
「とりあいず、行った時に考えます」
「そうか...それもいいわねぇ」
「はい...そうですね」
パンと両手をたたきこう言った
「それじゃ、今日も忙しいわよ!」
「はい!」


つづく
しおりを挟む
1 / 2

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪妻なので離縁を所望したけど、旦那様が離してくれません。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:31,907pt お気に入り:5,060

俺、女の子になれますか?

SF / 完結 24h.ポイント:532pt お気に入り:213

蚕と化け物と異世界と。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

異世界妖精蚕ちゃん

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

処理中です...