192 / 461
新人魔女の休職相談(8)
しおりを挟む
リゼは表情一つ変えずに告げた。リッカは、王宮での大賢者の仕事を初めて知った。そして、自分がこれまでどれだけ無知であったかを改めて思い知らされる。
そんな重要な役割を担いながらも、彼は日々魔法の研究に勤しみ、新たな魔法を作り出すことに没頭していたのだ。リッカは師匠の仕事を垣間見て小さなため息をついた。
「大賢者様って、大変だったのですね……」
リッカが呟くと、リゼは鼻をフンと鳴らした。
「どれも面倒なだけで、そう大変な作業ではない。それにこれからは助手が代わりにやってくれる」
リゼの言葉にリッカは一瞬固まったが、すぐに目を輝かせる。それから、瞬時にその事実に気づき、少し気まずそうに口を開いた。
「で、ですが、わたしが大賢者様のお仕事をしてもよろしいのでしょうか?」
「私が認めているのだ。構わないだろう」
リゼは、呆れたように肩を竦めた。しかし、その表情はどこか柔らかだった。
「では、これを頼む」
リゼがリッカへ空の魔石が入った袋を手渡す。リッカは大きく頷いた。
「はい、お任せください!」
その顔はいつになくやる気に満ちていた。それはそうだろう。本来は大賢者のみが行う仕事を任されたのだ。それはつまり、リゼは口では厳しい事を言いつつも、やはり自分を認めてくれているのだとリッカには感じられたからだ。
気合いに溢れたリッカの返事に、リゼは苦笑いを浮かべた。
「まぁ、ほどほどにやってくれ。無理はするな。余裕がなければこちらへ戻して構わない。あとは私がどうにかしよう」
リゼの言葉にリッカは首を横に振る。
(大賢者様の仕事を任せてもらえたのだもの。それも難しい事じゃない。わたしにも出来る仕事だ。絶対に終わらせてやるんだから!)
リッカはやる気に満ちていた。もちろん、貴族教育と両立しなければならないことは承知している。しかし今のリッカにとっては、師匠に頼まれた事を成し遂げることが何よりも重要に思えた。
リッカは受け取った袋を大事に胸に抱え、満面の笑みを見せる。
「わたし、絶対にやりますから!」
リゼはそんなリッカに、呆れ顔で言った。
「……分かった、分かった。但し、いいか。くれぐれも貴族教育を疎かにするな。君の出来次第では、君の将来どころかエルナさんの将来にも関わって来るのだからな。分かったか?」
何よりもエルナ優先の姿勢を崩さない師匠に今度は弟子が苦笑する。二人は自身の欲に忠実な似た者師弟だと、使い魔がこっそりと頭を振った。
そんな重要な役割を担いながらも、彼は日々魔法の研究に勤しみ、新たな魔法を作り出すことに没頭していたのだ。リッカは師匠の仕事を垣間見て小さなため息をついた。
「大賢者様って、大変だったのですね……」
リッカが呟くと、リゼは鼻をフンと鳴らした。
「どれも面倒なだけで、そう大変な作業ではない。それにこれからは助手が代わりにやってくれる」
リゼの言葉にリッカは一瞬固まったが、すぐに目を輝かせる。それから、瞬時にその事実に気づき、少し気まずそうに口を開いた。
「で、ですが、わたしが大賢者様のお仕事をしてもよろしいのでしょうか?」
「私が認めているのだ。構わないだろう」
リゼは、呆れたように肩を竦めた。しかし、その表情はどこか柔らかだった。
「では、これを頼む」
リゼがリッカへ空の魔石が入った袋を手渡す。リッカは大きく頷いた。
「はい、お任せください!」
その顔はいつになくやる気に満ちていた。それはそうだろう。本来は大賢者のみが行う仕事を任されたのだ。それはつまり、リゼは口では厳しい事を言いつつも、やはり自分を認めてくれているのだとリッカには感じられたからだ。
気合いに溢れたリッカの返事に、リゼは苦笑いを浮かべた。
「まぁ、ほどほどにやってくれ。無理はするな。余裕がなければこちらへ戻して構わない。あとは私がどうにかしよう」
リゼの言葉にリッカは首を横に振る。
(大賢者様の仕事を任せてもらえたのだもの。それも難しい事じゃない。わたしにも出来る仕事だ。絶対に終わらせてやるんだから!)
リッカはやる気に満ちていた。もちろん、貴族教育と両立しなければならないことは承知している。しかし今のリッカにとっては、師匠に頼まれた事を成し遂げることが何よりも重要に思えた。
リッカは受け取った袋を大事に胸に抱え、満面の笑みを見せる。
「わたし、絶対にやりますから!」
リゼはそんなリッカに、呆れ顔で言った。
「……分かった、分かった。但し、いいか。くれぐれも貴族教育を疎かにするな。君の出来次第では、君の将来どころかエルナさんの将来にも関わって来るのだからな。分かったか?」
何よりもエルナ優先の姿勢を崩さない師匠に今度は弟子が苦笑する。二人は自身の欲に忠実な似た者師弟だと、使い魔がこっそりと頭を振った。
2
あなたにおすすめの小説
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……
タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。
巻き込まれ召喚された賢者は追放メンツでパーティー組んで旅をする。
彩世幻夜
ファンタジー
2019年ファンタジー小説大賞 190位!
読者の皆様、ありがとうございました!
婚約破棄され家から追放された悪役令嬢が実は優秀な槍斧使いだったり。
実力不足と勇者パーティーを追放された魔物使いだったり。
鑑定で無職判定され村を追放された村人の少年が優秀な剣士だったり。
巻き込まれ召喚され捨てられたヒカルはそんな追放メンツとひょんな事からパーティー組み、チート街道まっしぐら。まずはお約束通りざまあを目指しましょう!
※4/30(火) 本編完結。
※6/7(金) 外伝完結。
※9/1(日)番外編 完結
小説大賞参加中
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる