新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!

田古みゆう

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新人魔女を巻き込んだ師匠の思惑(8)

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 リゼの言葉に興味深そうにリッカを見る者、訝しさの拭えない者。反応は様々だが、会場中の視線がリッカに注がれていることだけは確かだった。どうしてこんなことになったのだと顔を引き攣らせ、少しでも視線から逃れようとリゼの背中に隠れるリッカを、師は満面の笑みで衆目の前へ押し出す。

「私が言葉を尽くすよりも、実際に見ていただいた方が良いでしょう」

 リゼは笑みを浮かべてそう言った。その笑みには、拒否の言葉は認めないと書いてある。しかし、さすがに我慢ならずリッカは小さく抗議の声を上げた。

「ちょっとリゼさん。一体何なんですか? わたしが使い魔研究の第一人者? 冗談も大概にしてください!」

 リッカの抗議にリゼは笑みを張り付けたまま、リッカにだけ聞こえるように耳元に口を近づける。

「君は黙って私の言うことを聞いていればいい」

 リゼはリッカの抗議をピシャリと遮ると、「さあ」と言ってリッカの背中をポンと押した。リッカはこれまでの経験からこれ以上は何を言っても無駄だと察し、渋々といった様子で使い魔を呼び出した。

 フェンがリッカの影の中から姿を現すと、その姿に会場中が驚愕の声を発した。リゼは手を挙げて皆を静粛にさせる。そして、リッカの代わりにフェンの紹介を始めた。

「こちらが我が弟子の使い魔です。ご覧いただいたように使い魔は主の影に入ることができます。使役獣にはこんなことは出来ないでしょう?」

 リッカはまるで見世物にでもなったかのような居心地の悪さを感じていたが、リゼはそんなことはお構いなしにリッカに次々と要求を出す。フェンが魔法を繰り出す度に、会場にはどよめきが広がった。

「私は膨大な魔法の知識を有しておりますが、未だかつて使い魔が魔法を放つという記録を確認したことはありません。そんな使い魔を扱い、今なお自身も使い魔と共に研鑽を積む彼女をその分野の第一人者と認めることは当然と言えましょう。如何ですか、大使?」
「え? あぁ……そうですね……」

 ポカンとした様子でリゼの話を聞いていた使者は、声を掛けられるとハッとしたように小さく頷く。そんな使者の態度にリゼは満足げに微笑み、腕を広げ大演説でもするようにリッカのこれまでの研究成果を語り始めた。

「彼女の研究は使い魔のみならず、魔法全般に及びます。魔法薬然り、魔道具然り。自己研鑽に留まらず、社会の発展にその身を捧げようとする彼女こそ、我が国の次代を担うべき存在ではありませんか!」
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