新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!

田古みゆう

文字の大きさ
452 / 461

新人魔女に重く圧し掛かるもの(4)

しおりを挟む
「難しく考えることはねぇ。嬢ちゃんはこれまで通り仕事をただ一生懸命にやればいい。それが、リゼの期待に応えることにもなるし、俺たちの為にもなるんだ」

 ジャックスはそう言ってニカッと笑う。そんなジャックスに賛同するようにミーナも微笑んだ。

「そうよ。リッカちゃんが色々と頑張っているからこそ、うちの目玉商品も生まれたんだもの。リッカちゃんは、リッカちゃんのやりたいようにやればいいのよ」

 ミーナは「ね?」とウィンクした。その笑顔に、リッカの強張っていた顔からは力が少し抜ける。

「……はい」

 小さく頷くリッカに二人は満足気に頷いた。

「それにしても、あのスノードーム本当に人気なのよ」

 ミーナが言っているのは先日からリッカが作成していた魔道具のことである。夜会の最終日にリゼが婚約者であるエルナへ送ったことで、あっという間に貴族の間に広まったのだ。

 リゼからは相変わらずの無茶ぶりを受けたが、幸いにも魔道具はほとんど形になっていたので、リゼとエルナから水晶を回収しそれに精霊を付与してリッカは魔道具を完成させた。完成した魔道具をリゼに渡した際、エルナを驚かせたいので魔道具が完成したことは口外禁止だと固く口止めをされた。魔道具が完成間近であることは、もう既にエルナは知っているのだがと思いながらも、リッカはリゼの指示通りにエルナと顔を合わせても魔道具については何も口にはしなかった。

 そして最終日。夜会も終盤に差し掛かった頃に、多くの貴族の注目を浴びながらリゼはエルナに魔道具をプレゼントしたのだ。リゼがパチンと指を鳴らせば、会場の照明が落とされ、リゼとエルナにだけ光が当たる。リゼは「エルナさん、貴女にこれを」と恭しい態度で魔道具をエルナに差し出した。エルナは「まぁ」と驚いた声を上げながら、リゼから魔道具を受け取る。その光景はさながら、指輪か想いの篭った薔薇の花束を差し出しながら一世一代の愛の告白をしているようだった。

 会場からは感嘆のため息が漏れる。エルナも瞳を潤ませながら「とても嬉しいですわ」と頬を赤く染めた。

「それで、こちらは?」

 魔道具のことを知っているはずなのに、エルナはリゼの意を汲んでか素知らぬ顔でリゼにそう尋ねた。リゼがエルナに魔道具を起動させるよう促し、エルナがそれに応じる。エルナが魔道具を起動させると、瓶の中では雪が降り精霊によって映し出された二人の思い出が綺麗な絵画のように浮かんでは消えていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

巻き込まれ召喚された賢者は追放メンツでパーティー組んで旅をする。

彩世幻夜
ファンタジー
2019年ファンタジー小説大賞 190位! 読者の皆様、ありがとうございました! 婚約破棄され家から追放された悪役令嬢が実は優秀な槍斧使いだったり。 実力不足と勇者パーティーを追放された魔物使いだったり。 鑑定で無職判定され村を追放された村人の少年が優秀な剣士だったり。 巻き込まれ召喚され捨てられたヒカルはそんな追放メンツとひょんな事からパーティー組み、チート街道まっしぐら。まずはお約束通りざまあを目指しましょう! ※4/30(火) 本編完結。 ※6/7(金) 外伝完結。 ※9/1(日)番外編 完結 小説大賞参加中

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

処理中です...