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第55話 殺人鬼の定義
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運ばれてきたスープを飲みながら、再び思考の海に没する。
ストレングスの敵対は避けた方がいい。
その方針を決めた上で、今度は根本的な疑問が生じた。
殺人鬼とは、そもそも何なのか。
何気なく使ってきたが、実際は定義が曖昧である。
世界が狂う以前から存在していた言葉が、新たに誕生した存在にはめ込まれた形だった。
ネットでも漠然とした扱いであり、明確な線引きはされていなかった。
ただ、見聞きした情報により、殺人鬼の共通の特徴は判明している。
それは何かに執着し、狂気の領域に至っている点だ。
彼らは手段を選ばない。
だから平気で他者を殺して目的をやり遂げる。
結果として変容が進み、手が付けられない暴力と化する。
そうした行動が表沙汰となり、特に目立つ者がネット上で殺人鬼として扱われる。
殺人鬼を定義するなら、執着心の強さに触れねばならないだろう。
しかし、普通の人間と何の差があるのか。
誰でもこだわりや執着を持っているもので、その大小も個人差による。
殺人鬼との境界線を作るのは難しい。
結局は人間の延長にいる存在なのだろう。
何者だろうと向こう側に転ぶことはある。
現実逃避や自己保身、欲求解消……きっかけは様々だ。
とにかく限界を迎えた人々の一部が殺人鬼に至る。
その観点で考えると、コンビニのグループや軽トラックの二人組は殺人鬼ではなかった。
彼らには悪意と攻撃性があったが、まだ恐怖や理性が残っていた。
分類するなら人間狩りと呼ぶべきではないか。
きっと殺人鬼とは明確に異なる。
或いは発展途上なのかもしれないが、死んでしまったので確かめようがなかった。
今後、世界はどうなっていくのか。
弱肉強食が進行して、生き残るのは殺人鬼ばかりになってしまうのではないか。
各々が各々の執着心に従ってさらに殺し合うのだ。
元凶とも言えるモンスターはじきに狩り尽くされて、最終的には人類そのものが滅びるのだろう。
いや、それを阻止する善良な者が出てくるのかもしれない。
モンスターの出現を科学的に解明しようとする組織も出てきたという。
フェイクニュースの可能性もあるが、その糸口を掴んだ国もあるらしい。
もしモンスターの出入りを制御できるようになったら、世界は平穏になるのか。
さらなる混沌の幕開けにしかならない気がする。
その中で自分は生存できるのだろうか。
色々と想像しても狂った未来しか思い浮かばないが、悲観や絶望はない。
元より灰色だった人生に極彩色のペンキがぶちまけられただけだ。
今後もどうしようもない変化を楽しみたいものである。
ストレングスの敵対は避けた方がいい。
その方針を決めた上で、今度は根本的な疑問が生じた。
殺人鬼とは、そもそも何なのか。
何気なく使ってきたが、実際は定義が曖昧である。
世界が狂う以前から存在していた言葉が、新たに誕生した存在にはめ込まれた形だった。
ネットでも漠然とした扱いであり、明確な線引きはされていなかった。
ただ、見聞きした情報により、殺人鬼の共通の特徴は判明している。
それは何かに執着し、狂気の領域に至っている点だ。
彼らは手段を選ばない。
だから平気で他者を殺して目的をやり遂げる。
結果として変容が進み、手が付けられない暴力と化する。
そうした行動が表沙汰となり、特に目立つ者がネット上で殺人鬼として扱われる。
殺人鬼を定義するなら、執着心の強さに触れねばならないだろう。
しかし、普通の人間と何の差があるのか。
誰でもこだわりや執着を持っているもので、その大小も個人差による。
殺人鬼との境界線を作るのは難しい。
結局は人間の延長にいる存在なのだろう。
何者だろうと向こう側に転ぶことはある。
現実逃避や自己保身、欲求解消……きっかけは様々だ。
とにかく限界を迎えた人々の一部が殺人鬼に至る。
その観点で考えると、コンビニのグループや軽トラックの二人組は殺人鬼ではなかった。
彼らには悪意と攻撃性があったが、まだ恐怖や理性が残っていた。
分類するなら人間狩りと呼ぶべきではないか。
きっと殺人鬼とは明確に異なる。
或いは発展途上なのかもしれないが、死んでしまったので確かめようがなかった。
今後、世界はどうなっていくのか。
弱肉強食が進行して、生き残るのは殺人鬼ばかりになってしまうのではないか。
各々が各々の執着心に従ってさらに殺し合うのだ。
元凶とも言えるモンスターはじきに狩り尽くされて、最終的には人類そのものが滅びるのだろう。
いや、それを阻止する善良な者が出てくるのかもしれない。
モンスターの出現を科学的に解明しようとする組織も出てきたという。
フェイクニュースの可能性もあるが、その糸口を掴んだ国もあるらしい。
もしモンスターの出入りを制御できるようになったら、世界は平穏になるのか。
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その中で自分は生存できるのだろうか。
色々と想像しても狂った未来しか思い浮かばないが、悲観や絶望はない。
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今後もどうしようもない変化を楽しみたいものである。
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