62 / 100
第62話 感動的な告白
しおりを挟む
イリエとナベは全速力で廊下を走る。
背後から接近するナラクが咆哮を上げた。
響き渡る声に二人は動転する。
「ど、どうするのこれっ!?」
「知るか! とにかく逃げるしかねえ!」
二人は上り階段を発見するも、そこは密集する住人で埋まっていた。
我先にと逃げようとする者が押し合って進めなくなっている。
躊躇うイリエとナベだったが、意を決してその中に飛び込んだ。
彼らはなんとか次の階を目指すものの、押し返されてなかなか上がることができない。
踊り場まで来た段階で端に追いやられてしまった。
「くそ! 全然進まねえぞ!」
「ねえ、早くしないとまずいよ!」
「駄目だ、引き返せッ!」
来た道を戻ろうとしたナベは、跳びかかってくるナラクを目撃した。
ナラクが住人を押し潰しながら階段に着地する。
その瞬間、重量に耐え切れなかった階段に亀裂が走り、一気に崩壊した。
巻き込まれたイリエは落下中に気を失う。
次に彼女が目覚めたのは、全身の痛みが原因だった。
一帯に土煙が舞い上がる中、イリエはどうにか起き上がって状況を確認する。
イリエの手足には痣や細かい切り傷が付いていた。
軽い出血もあるが、動けないほどではない。
彼女の足元は死体で埋め尽くされていた。
同じく崩壊に巻き込まれたビルの住人である。
彼らがクッションになったことで、イリエは軽傷で済んだのだった。
イリエは頭上を確認する。
天井はなく、崩落した穴が吹き抜けのように開いていた。
目視できる範囲で、少なくとも三階分は落下したようだった。
(これで大した怪我じゃなかったのはラッキーかも)
けたたましい銃声にイリエは驚く。
少し離れた場所で、ナベが怪物ナラクと戦っていた。
ナベは肩の機関銃で絶え間なく攻撃している。
対するナラクは銃撃を受けながらも突進し、無数の手で彼を殴り飛ばす。
倒れたナベは機関銃を撃とうとするも、弾が出てこない。
弾切れか、或いは故障か。
彼が次の武装に切り替える前に、ナラクから二本の逞しい太い腕が生えた。
腕がナベの胴体を掴み、圧倒的な握力で砕く。
上を向いたナベが噴水のように吐血した。
絶望的な光景にイリエが呼びかける。
「ナベ! 待ってて、すぐ助けるから!」
「無理だ! もう手遅れだから一人で逃げてくれっ!」
掴まれたままのナベが大声で応じる。
彼は口端から血を垂らしながらも笑顔を作った。
「お、俺は大丈夫っ! 先生の手術で痛覚が麻痺してるんだ! 全然、苦しくないんだ! はははっ!」
「ナベ……」
「ほんと、色々ごめん! こんな所、来なきゃ、よかったよな! うん、後悔してる! ごめんな!」
「き、気にしないで! 私こそちゃんと止めなくてごめん!」
イリエは涙を流して謝る。
彼女の顔を見たナベは、晴れやかな笑みで告白した。
「実は、お前のこと好きだった! 付き合いたかったけど言えなかったんだ! だから、飲み会でイリエが酔い潰れた時、こっそり胸とか尻を揉んでた! キスもしたし、それでも起きないから――」
ナラクの握力が一気に強まり、ナベが爆散した。
背後から接近するナラクが咆哮を上げた。
響き渡る声に二人は動転する。
「ど、どうするのこれっ!?」
「知るか! とにかく逃げるしかねえ!」
二人は上り階段を発見するも、そこは密集する住人で埋まっていた。
我先にと逃げようとする者が押し合って進めなくなっている。
躊躇うイリエとナベだったが、意を決してその中に飛び込んだ。
彼らはなんとか次の階を目指すものの、押し返されてなかなか上がることができない。
踊り場まで来た段階で端に追いやられてしまった。
「くそ! 全然進まねえぞ!」
「ねえ、早くしないとまずいよ!」
「駄目だ、引き返せッ!」
来た道を戻ろうとしたナベは、跳びかかってくるナラクを目撃した。
ナラクが住人を押し潰しながら階段に着地する。
その瞬間、重量に耐え切れなかった階段に亀裂が走り、一気に崩壊した。
巻き込まれたイリエは落下中に気を失う。
次に彼女が目覚めたのは、全身の痛みが原因だった。
一帯に土煙が舞い上がる中、イリエはどうにか起き上がって状況を確認する。
イリエの手足には痣や細かい切り傷が付いていた。
軽い出血もあるが、動けないほどではない。
彼女の足元は死体で埋め尽くされていた。
同じく崩壊に巻き込まれたビルの住人である。
彼らがクッションになったことで、イリエは軽傷で済んだのだった。
イリエは頭上を確認する。
天井はなく、崩落した穴が吹き抜けのように開いていた。
目視できる範囲で、少なくとも三階分は落下したようだった。
(これで大した怪我じゃなかったのはラッキーかも)
けたたましい銃声にイリエは驚く。
少し離れた場所で、ナベが怪物ナラクと戦っていた。
ナベは肩の機関銃で絶え間なく攻撃している。
対するナラクは銃撃を受けながらも突進し、無数の手で彼を殴り飛ばす。
倒れたナベは機関銃を撃とうとするも、弾が出てこない。
弾切れか、或いは故障か。
彼が次の武装に切り替える前に、ナラクから二本の逞しい太い腕が生えた。
腕がナベの胴体を掴み、圧倒的な握力で砕く。
上を向いたナベが噴水のように吐血した。
絶望的な光景にイリエが呼びかける。
「ナベ! 待ってて、すぐ助けるから!」
「無理だ! もう手遅れだから一人で逃げてくれっ!」
掴まれたままのナベが大声で応じる。
彼は口端から血を垂らしながらも笑顔を作った。
「お、俺は大丈夫っ! 先生の手術で痛覚が麻痺してるんだ! 全然、苦しくないんだ! はははっ!」
「ナベ……」
「ほんと、色々ごめん! こんな所、来なきゃ、よかったよな! うん、後悔してる! ごめんな!」
「き、気にしないで! 私こそちゃんと止めなくてごめん!」
イリエは涙を流して謝る。
彼女の顔を見たナベは、晴れやかな笑みで告白した。
「実は、お前のこと好きだった! 付き合いたかったけど言えなかったんだ! だから、飲み会でイリエが酔い潰れた時、こっそり胸とか尻を揉んでた! キスもしたし、それでも起きないから――」
ナラクの握力が一気に強まり、ナベが爆散した。
10
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
(ほぼ)1分で読める怖い話
涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話!
【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】
1分で読めないのもあるけどね
主人公はそれぞれ別という設定です
フィクションの話やノンフィクションの話も…。
サクサク読めて楽しい!(矛盾してる)
⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません
⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/20:『ものおと』の章を追加。2026/1/27の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/19:『みずのおと』の章を追加。2026/1/26の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/18:『あまなつ』の章を追加。2026/1/25の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/17:『えれべーたー』の章を追加。2026/1/24の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/15:『しばふ』の章を追加。2026/1/22の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
【1分読書】意味が分かると怖いおとぎばなし
響ぴあの
ホラー
【1分読書】
意味が分かるとこわいおとぎ話。
意外な事実や知らなかった裏話。
浦島太郎は神になった。桃太郎の闇。本当に怖いかちかち山。かぐや姫は宇宙人。白雪姫の王子の誤算。舌切りすずめは三角関係の話。早く人間になりたい人魚姫。本当は怖い眠り姫、シンデレラ、さるかに合戦、はなさかじいさん、犬の呪いなどなど面白い雑学と創作短編をお楽しみください。
どこから読んでも大丈夫です。1話完結ショートショート。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる