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第83話 秩序崩壊
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撮影チームの紅一点であり、現在は唯一の生き残ったメンバーのイリエは、黙々と階段を上がっていた。
彼女の隣にはホームレスの男カトウ、朽津間クリニック院長の葛城がいる。
カトウはイリエの握る拳銃を一瞥し、それから声をかけた。
「なあ」
「何ですか」
「ビルの管理者に復讐する気だろ」
カトウの問いかけにイリエは唇を噛む。
彼女はゆっくりと頷き、己の心境を正直に吐露した。
「そう、ですね……アサバとナベを殺されたので、その仕返しをしたいです。ここの管理者が元凶だと思うので」
「成功するか分からんぞ」
「分かってます。でも二人のためにもやり遂げるつもりです」
イリエの双眸は覚悟の強さを物語っていた。
憎悪とまではいかないものの、まだ見ぬ管理者への殺意に満ちている。
復讐するのが当然である、と彼女は結論付けていた。
イリエの気持ちを知った葛城は、拍手をして賞賛する。
「素晴らしい動機じゃないか。私は応援しているよ」
「あ、ありがとうございます」
「お前は楽しんでいるだけだろ」
「どうだろうね」
カトウに指摘に対し、葛城は涼しい笑みを浮かべるだけだった。
移動中、三人を襲う者はいない。
そもそもどこのフロアももぬけの殻だった。
代わりに上階から絶えず銃声と爆発音が響いてくる。
カトウは指で耳をほじってぼやく。
「安全すぎると却って不気味だな」
「移動が楽でいいじゃないか。皆、スペシャルイベントに釣られて二十四階に集まっているようだね」
「まだ始まってもいねえのにお祭り騒ぎだがな」
「待ち切れなかったらしいね」
二十三階に辿り着いた時、イリエは強烈な血の臭いを嗅ぎ取った。
周囲には死体がちらほらと転がっている。
カトウは死体からライフル銃を拝借し、弾の確認しつつ笑った。
「へへっ、派手にやってるじゃねえか」
「おや。嬉しそうだね」
「暗い顔してても得しねえだろ。だったら開き直って楽しむ方がいい」
「なるほど、ポジティブな狂気だ」
死体で埋まった階段を這い上がり、三人は二十四階のフロアを慎重に覗き込む。
そこでは数百人の人間が壮絶な殺し合いを繰り広げていた。
鈍器や刃物、銃器、或いは素手で見境なく攻撃している。
あちこちで爆発が起きて、火だるまになって走り回る者もいた。
辛うじて保たれていたビルの秩序は、完全に崩壊していた。
彼女の隣にはホームレスの男カトウ、朽津間クリニック院長の葛城がいる。
カトウはイリエの握る拳銃を一瞥し、それから声をかけた。
「なあ」
「何ですか」
「ビルの管理者に復讐する気だろ」
カトウの問いかけにイリエは唇を噛む。
彼女はゆっくりと頷き、己の心境を正直に吐露した。
「そう、ですね……アサバとナベを殺されたので、その仕返しをしたいです。ここの管理者が元凶だと思うので」
「成功するか分からんぞ」
「分かってます。でも二人のためにもやり遂げるつもりです」
イリエの双眸は覚悟の強さを物語っていた。
憎悪とまではいかないものの、まだ見ぬ管理者への殺意に満ちている。
復讐するのが当然である、と彼女は結論付けていた。
イリエの気持ちを知った葛城は、拍手をして賞賛する。
「素晴らしい動機じゃないか。私は応援しているよ」
「あ、ありがとうございます」
「お前は楽しんでいるだけだろ」
「どうだろうね」
カトウに指摘に対し、葛城は涼しい笑みを浮かべるだけだった。
移動中、三人を襲う者はいない。
そもそもどこのフロアももぬけの殻だった。
代わりに上階から絶えず銃声と爆発音が響いてくる。
カトウは指で耳をほじってぼやく。
「安全すぎると却って不気味だな」
「移動が楽でいいじゃないか。皆、スペシャルイベントに釣られて二十四階に集まっているようだね」
「まだ始まってもいねえのにお祭り騒ぎだがな」
「待ち切れなかったらしいね」
二十三階に辿り着いた時、イリエは強烈な血の臭いを嗅ぎ取った。
周囲には死体がちらほらと転がっている。
カトウは死体からライフル銃を拝借し、弾の確認しつつ笑った。
「へへっ、派手にやってるじゃねえか」
「おや。嬉しそうだね」
「暗い顔してても得しねえだろ。だったら開き直って楽しむ方がいい」
「なるほど、ポジティブな狂気だ」
死体で埋まった階段を這い上がり、三人は二十四階のフロアを慎重に覗き込む。
そこでは数百人の人間が壮絶な殺し合いを繰り広げていた。
鈍器や刃物、銃器、或いは素手で見境なく攻撃している。
あちこちで爆発が起きて、火だるまになって走り回る者もいた。
辛うじて保たれていたビルの秩序は、完全に崩壊していた。
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