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第19話 特殊なアイテムを入手してみた
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砂漠の只中に下り階段を見つけた。
次の階層への道だ。
ここはやたらと歩きづらいので助かった。
俺は階段を進みながらビビに尋ねる。
「まだいけそうか? 疲れがあれば休息を取るが」
「平気」
「よし、じゃあもう少し進むか」
「うん」
階段を下りた先には一本の通路があった。
古臭い石造りなので遺跡型の階層だ。
かなりありふれた雰囲気なのでそこに気になる点はない。
ただし、前方に宝箱が置かれていた。
とても不自然な位置にあり、まるで開けてくれと言わんばかりである。
ビビが不思議そうに指を差した。
「宝箱だよ」
「油断するな。魔物が擬態している可能性がある」
典型的なのがミミックだ。
宝箱に擬態し、気を抜いて近付いた冒険者を食い殺すのである。
蓋の部分にびっしりと牙が生えており、死ぬ時は壮絶な苦痛を伴うらしい。
死ぬ前に救助されたとしても重傷は確実だった。
前方の宝箱がミミックなら迂回すべきだろう。
下手に触れない方がいい。
しかし、本物の宝箱という可能性がある。
俺は試しに蟻の甲殻を投げ付けた。
回転する甲殻が宝箱に当たって音を立てる。
特に何も起こらない。
宝箱はその場に鎮座していた。
「反応がない。たぶん魔物ではないな」
「私も攻撃してみる?」
「頼む」
ビビの素早さなら、ミミックの攻撃を躱すことも可能だろう。
彼女は慎重に忍び寄ると、剣で宝箱を切り付けた。
そして瞬時に後退して様子を窺う。
蓋の部分に切れ目が入った宝箱は、やはり動かなかった。
もしミミックなら激怒しているはずだ。
ビビは安堵の息を吐いて結論付ける。
「やっぱり魔物じゃない」
「そのようだな。開けてみるか」
俺は宝箱に近付くと、罠の有無を確認する。
それから開錠用の道具で鍵を外し、ゆっくりと蓋部分を開いた。
中には十数枚の金貨と、青い木の実が入っていた。
まずは大金に喜ぶべきなのだろうが、俺はそっと木の実を手に取る。
見たこともない種類だった。
ビビが木の実を見て呟く。
「それは何?」
「特殊な実だと思うが、ちょっと分からないな。ギルドに戻ったら鑑定してもらおう」
その後、俺達は探索を止めて帰還した。
まとまった金が手に入ったのと、木の実の正体が気になったからだ。
迷宮の宝箱に入っていたのだから、ただの実とは思えない。
俺達は帰還したその足で冒険者ギルドへと向かった。
次の階層への道だ。
ここはやたらと歩きづらいので助かった。
俺は階段を進みながらビビに尋ねる。
「まだいけそうか? 疲れがあれば休息を取るが」
「平気」
「よし、じゃあもう少し進むか」
「うん」
階段を下りた先には一本の通路があった。
古臭い石造りなので遺跡型の階層だ。
かなりありふれた雰囲気なのでそこに気になる点はない。
ただし、前方に宝箱が置かれていた。
とても不自然な位置にあり、まるで開けてくれと言わんばかりである。
ビビが不思議そうに指を差した。
「宝箱だよ」
「油断するな。魔物が擬態している可能性がある」
典型的なのがミミックだ。
宝箱に擬態し、気を抜いて近付いた冒険者を食い殺すのである。
蓋の部分にびっしりと牙が生えており、死ぬ時は壮絶な苦痛を伴うらしい。
死ぬ前に救助されたとしても重傷は確実だった。
前方の宝箱がミミックなら迂回すべきだろう。
下手に触れない方がいい。
しかし、本物の宝箱という可能性がある。
俺は試しに蟻の甲殻を投げ付けた。
回転する甲殻が宝箱に当たって音を立てる。
特に何も起こらない。
宝箱はその場に鎮座していた。
「反応がない。たぶん魔物ではないな」
「私も攻撃してみる?」
「頼む」
ビビの素早さなら、ミミックの攻撃を躱すことも可能だろう。
彼女は慎重に忍び寄ると、剣で宝箱を切り付けた。
そして瞬時に後退して様子を窺う。
蓋の部分に切れ目が入った宝箱は、やはり動かなかった。
もしミミックなら激怒しているはずだ。
ビビは安堵の息を吐いて結論付ける。
「やっぱり魔物じゃない」
「そのようだな。開けてみるか」
俺は宝箱に近付くと、罠の有無を確認する。
それから開錠用の道具で鍵を外し、ゆっくりと蓋部分を開いた。
中には十数枚の金貨と、青い木の実が入っていた。
まずは大金に喜ぶべきなのだろうが、俺はそっと木の実を手に取る。
見たこともない種類だった。
ビビが木の実を見て呟く。
「それは何?」
「特殊な実だと思うが、ちょっと分からないな。ギルドに戻ったら鑑定してもらおう」
その後、俺達は探索を止めて帰還した。
まとまった金が手に入ったのと、木の実の正体が気になったからだ。
迷宮の宝箱に入っていたのだから、ただの実とは思えない。
俺達は帰還したその足で冒険者ギルドへと向かった。
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