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第18話 技能を伝授してみた

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 さっそく俺はビビに解体の手順を教える。
 基本的にはざっくりで大丈夫だ。
 今回の蟻に関しては、酸袋を破かないように気を付けるだけでいい。

 当然ながら魔物ごとに手順が異なるため、解体には豊富な知識が必要だ。
 その辺りの処置が面倒だから、死体を放置する冒険者も多い。
 解体するとしても、簡単な部分だけに留めておく場合がほとんどであった。

 ビビは集中してナイフを動かす。
 途中で何度か苦戦しつつも、無事に蟻の解体に成功した。
 彼女は慎重に酸袋を持ち上げながら微笑む。

「できた」

「器用だな。初めてだとは思えない」

「がんばった」

 ビビは嬉しそうに言う。
 せっかく解体してくれたので、甲殻と酸袋はしっかり回収した。
 肉は持ち切れないので置いていく。
 鋭い嗅覚を持つビビは、蟻肉の臭いに顔を顰めていた。
 冗談半分で食べてみるか聞いたが、即答で断られてしまった。
 さすがにそこまで無謀ではないようだ。

 必要な素材を手に入れた俺達は、砂漠の階層を進んでいく。
 新たな蟻が現れる気配はない。
 途中、ビビが俺の指輪を見て述べる。

「その魔道具、便利だね」

「まったくだ。これだけで戦略の幅が大きく広がるぞ」

 俺は指輪を撫でる。
 有用性は察していたが、実際に使ってみると想像以上だった。
 頑丈な防壁は瞬時に展開できるため、咄嗟の守りとして扱いやすい。
 よほどのことがない限り、防壁を突破されることはなさそうだ。
 長時間に渡って連続で攻撃されたら分からないが、瞬間的な防御だけに着目しても優秀すぎる。

 事前に魔力を充填することで、手軽に発動できる点もいい。
 おかげで俺みたいに魔術師の適性を持たない人間でも簡単に使えるのだ。
 日頃からこまめに魔力を注いでおけば、戦闘中に使い切ることもないだろう。

 これをくれた客引きの男には、改めて礼を言わなければいけない。
 高い食事くらいは奢ってやるべきだろう。
 命を守ってくれる道具が増えたのだから、俺としては感謝し切れない状態である。
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