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第101話 困難を乗り越えてみた
大げさに嘆息した職員は、少し声を落として述べる。
「それにしても、散々な戦い方でしたね。結果的に勝てたものの、泥沼の展開に持ち込んだら駄目っすよ」
「……すまない」
「もっと楽に勝てる策はありました。問答無用でやれば、押し切ることもできた場面も多かったです。それをあえて選ばなかったのは、聖騎士を殺したくなかったからですね?」
鋭い指摘だった。
何の気もなさそうな目付きとは裏腹に、誤魔化しが通用しない雰囲気を醸し出している。
彼女の言う通りだ。
俺は聖騎士を殺さずに決闘で勝とうとした。
途中で降参する猶予も与えたのだが、結局は力を尽くした戦いとなった。
手加減したわけではない。
しかし、殺害を視野に入れれば別の戦略が取れたのも事実である。
そこを職員は見抜いてきたのだった。
「別にぶっ殺しても良かったんですよ。何か問題が起きれば揉み消すつもりでしたから。あなたが今、死にかけているのは自分の甘さによる代償です」
「…………」
「まあ、そんなあなただからこそ、周りから好かれるんでしょうけどね」
職員がそう言った直後、駆け寄ってきたビビが抱き着いてきた。
かなりの勢いだったので衝撃が身体に響く。
俺は呻き声を気合で抑えて、ビビをなんとか受け止めた。
ビビは目に涙を浮かべて呟く。
「ご主人……無事でよかった」
「無事とも言えない状態だがな」
「生きてたら大丈夫。すぐに治してもらえるから」
ビビが指差す先には治療術師が立っていた。
彼女は誇らしそうに拳を構える。
「即治療可能」
「いや、しばらくこのままでいい。半端な戦い方をした自分への戒めだ」
俺がそう返すと、職員が脇腹を肘で突いてきた。
「満身創痍がいいなんて、ちょっと変態っすね」
「ご主人が変態でも受け入れるよ?」
ビビの無自覚な追撃を受けて、俺は苦笑交じりに息を吐く。
そして、そのまま意識を手放した。
「それにしても、散々な戦い方でしたね。結果的に勝てたものの、泥沼の展開に持ち込んだら駄目っすよ」
「……すまない」
「もっと楽に勝てる策はありました。問答無用でやれば、押し切ることもできた場面も多かったです。それをあえて選ばなかったのは、聖騎士を殺したくなかったからですね?」
鋭い指摘だった。
何の気もなさそうな目付きとは裏腹に、誤魔化しが通用しない雰囲気を醸し出している。
彼女の言う通りだ。
俺は聖騎士を殺さずに決闘で勝とうとした。
途中で降参する猶予も与えたのだが、結局は力を尽くした戦いとなった。
手加減したわけではない。
しかし、殺害を視野に入れれば別の戦略が取れたのも事実である。
そこを職員は見抜いてきたのだった。
「別にぶっ殺しても良かったんですよ。何か問題が起きれば揉み消すつもりでしたから。あなたが今、死にかけているのは自分の甘さによる代償です」
「…………」
「まあ、そんなあなただからこそ、周りから好かれるんでしょうけどね」
職員がそう言った直後、駆け寄ってきたビビが抱き着いてきた。
かなりの勢いだったので衝撃が身体に響く。
俺は呻き声を気合で抑えて、ビビをなんとか受け止めた。
ビビは目に涙を浮かべて呟く。
「ご主人……無事でよかった」
「無事とも言えない状態だがな」
「生きてたら大丈夫。すぐに治してもらえるから」
ビビが指差す先には治療術師が立っていた。
彼女は誇らしそうに拳を構える。
「即治療可能」
「いや、しばらくこのままでいい。半端な戦い方をした自分への戒めだ」
俺がそう返すと、職員が脇腹を肘で突いてきた。
「満身創痍がいいなんて、ちょっと変態っすね」
「ご主人が変態でも受け入れるよ?」
ビビの無自覚な追撃を受けて、俺は苦笑交じりに息を吐く。
そして、そのまま意識を手放した。
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