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読み切り単発
【変形童話】配役のおかしい「赤ずきん」
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昔むかしあるところに、それはそれは可愛い赤い頭巾を被った子がおりました。
お母さんは赤ずきんに言います。
森に住むおばあちゃんにお薬とパイを届けておくれと。
赤ずきんはおばあちゃんが大好きです。
二つ返事で了承すると、得意げに籠を咥えて森に繰り出しました。
足取りも軽くるんるんと森を歩く赤ずきん。
ふさふさの毛がゆらゆら揺れて可愛らしいです。
すると……。
「やめてくれッス!何も取って得をする様な物はないッス!!」
どこからか情けない声が聞こえます。
「………………。」
聞かなかった事にしよう。
赤ずきんはそう思って歩き出しました。
しかし……。
「あ~!!赤ずきんちゃん!!なんで見捨てるッスか?!」
「……うむ……厄介なのに見つかってしまった……。」
「た~す~け~て~!!」
真っ赤な頭巾が仇となり、赤ずきんは見つかってしまいました。
名指しで半泣きで助けを求められ、流石に無視する訳にもいきません。
赤ずきんは仕方なく方向転換して、その声に近づきました。
「赤ずきんちゃん!!」
「……情けないヤツだな、それでも狼か?!」
「俺はお座敷狼ッス!室外行動には不向きッス!!」
「……狼の癖に。」
赤ずきんは大きくため息をつくと、狼を取り囲んでいる小さな虫たち……ではなく、見た目は美しい小さな飛び回る者たちに声をかけました。
「やめろ、シンマ。こんな情けない狼に絡んでどうする?」
『あんまりにも情けないから、ちょっと鍛えてあげようと思っただけよ。』
『そうそう~。』
少しも悪びれる事なく、シンマたちは口々にそう言ってくすくす笑う。
飛び回る羽根はさまざまな色に光り、まるで春風に漂う花ふぶきのようです。
「だとしても、こいつからたいした対価など取れぬぞ?わかっているだろうが。」
『いいのよ~。おばあちゃんの家への入り方を教えてくれれば~♪』
その言葉に赤ずきんはカッと目を釣り上げました。
おばあちゃんの家の周辺は、危険を遠ざけるように赤ずきんが手を回してあるのです。
なのでいたずら好きなシンマたちは入り込めないのです。
「はぁ?!それが狙いか?!」
『ヤダ怖い~。』
『赤ずきんが怒ったわ~。』
『ぬぬ……赤ずきんがいない間にマヌケが森に来て……やっとおばあちゃんに会えると思ったのに~っ!!』
「散れ!シンマ!悪さしようとするなら森から追い出すぞ!!」
『悪さなんかしないわよ!!どうしておばあちゃんに会ったら駄目なのよ!!ズルいじゃない!!』
赤ずきんの怒号に他のシンマは去ったのに、一人のシンマだけはその場に残り、赤ずきんに食ってかかります。
ぷうっと頬を膨らませ、赤ずきんを睨んでいます。
ほぼ空気の狼は睨み合う二人にオロオロするばかり……。
「あ、あのぉ~、俺が言うのもなんスけど……喧嘩はやめるッス~。」
『はぁ?!アンタがさっさとおばあちゃん家に案内しないからでしょう?!』
「元はと言えばおぬしが情けないのが悪いのではないか!!」
「ひ~!ごめんなさい~!!」
藪蛇とはまさにこの事。
声をかけた事で二人の矛先が自分に向かって狼は耳をペタンと伏せて涙目になっています。
その情けない姿に赤ずきんとシンマは毒気を抜かれました。
「……まぁ……いい……。それより狼、お前は何故ここにいるんだ?」
「えっとッスね?まず、おばあちゃんに今月の特許使用料を届けるのと……ハートの女王様からのお手紙を届けるよう頼まれて~。」
「……なるほど?」
「シンマ怖いッス!!赤ずきんちゃん!一緒に行って欲しいッス!!」
「まぁ……我もそこに行くところだから構わぬが……。」
赤ずきんはそう言いながら内心がっかりしてしまいました。
こう見えて赤ずきんは体裁を気にするので、他の者がいるとおばあちゃんに思いきり甘える事ができないのです。
『私も行く~!!行くったら行くの~!!』
赤ずきんの頭巾の周りをシンマは飛び回り、甲高い声で騒ぎ立てます。
赤ずきんはうんざりしてきました。
「わかったわかった!!今回は特別、我の監視の上で会わせてやる!だから耳元でキンキン喚くな!!」
『ウッソ!?マジ?!やった~!!』
「いいか?!今回だけだぞ?!それから妙な真似をしたら食ってしまうからな?!」
しかし喜びで飛び回るシンマは聞いていません。
こうして仕方なく、赤ずきんは半泣きの狼と浮かれポンチのシンマを連れておばあちゃん家に向かいました。
すったもんだしながらおばあちゃんの家に着きました。
赤ずきんを見たおばあちゃんは大喜びです。
テンションが上がりすぎてエラい事になっています。
「あああぁぁ!!よく来たね!赤ずきん~!!」
「うわっ!落ち着け!!」
赤ずきんを見るやいなや、強烈なハグが炸裂します。
抱き上げ、有無を言わさず顔をぐりぐり。
そして落ち着いたかと思いきや、もふもふの中に顔を埋めてスーハーしています。
「……相変わらず強烈……もふもふへの愛が重いッス……。」
止める間もなく繰り広げられるもふもふタイム。
狼もシンマも遠い目をしています。
「うう……ここのところ激務だったから……癒やされる……。」
「まぁ……それは大変だったな……落ち着いたか?」
「多少……。」
「それより体調は大丈夫なのか?!」
「あ~、あんまり眠れてなかったのと忙しくてちゃんと食べてないだけだから……。」
「大丈夫ではないだろう?!それは?!食べなければ死んでしまうだろう?!」
「はは、そんな大げさな~。」
「何を言っているんだ?!ほら!パイを持ってきたからちゃんと食べろ!!」
おばあちゃんがきちんと食事をしていないと聞き、赤ずきんは大慌てです。
寝不足と栄養不足で若干フラフラしているおばあちゃんを椅子に座らせ、小さな体で甲斐甲斐しく世話を始めます。
「狼!突っ立ってないでお茶を入れてくれ!!」
「あ、わかったッス。」
「赤ずきんは大袈裟だなぁ~。狼くん、ごめんね~。」
「いいッスよ~。ていうか、赤ずきんちゃんの言う通り、ちゃんと食べて寝なきゃ駄目ッスよ~?!」
「ごめんごめん~。」
バタバタ周りが動いているのを、頭に血が行っていないおばあちゃんはぼんやり眺めています。
その周りをキラキラとシンマが舞いました。
『アンタ……また、限界まで働いてたの?!バッカみたい!!』
「あはは。皆の顔を見たら気が抜けちゃって……。」
自分でも気づかぬうちに無理をしていたおばあちゃんは、皆に囲まれて安心したのか体の力が抜けてしまったようです。
そんな自分を苦笑している顔を見つめ、シンマは珍しく真面目な顔で呟きます。
『……赤ずきんの結界がなければアタシがずっと一緒にいてあげるのに……。』
「はは、ありがとう。その気持ちだけ受け取っておくよ。」
『何よ!知られてないけどシンマは義理堅いんだからね!もっと信用しなさいよ!!』
「信用してない訳じゃないけど、花畑の守りをサボってここに居てもらったら森の精に怒られちゃうだろ?!」
『平気よ。シンマが一人いなくなってるなんて気づかないわよ。……多分。』
そんな話をしているおばあちゃんとシンマの間に、ムスッとした赤ずきん代わり込みます。
「オイ、シンマ……。」
『何よ!』
「我よりも小さいシンマのお前が一人、ここにいたところで何ができると言うのだ。」
『そうねぇ……。話し相手?!』
「いや、それだとマシンガントークすぎて仕事にならないから……。」
『何よ何よ!アタシだって心配してるのにぃ~!!』
「ごめんごめん。ありがとな。」
「おばあちゃんには我がいるのだから気にするな。」
「俺もいるッス!!」
そう言いながら、赤ずきんと狼はおばあちゃんの前にお茶とパイを並べます。
お礼を言いながら食べ始めるおばあちゃん。
久しぶりにまともな物を口にして涙を浮かべています。
「うぅ……美味しい……そして温かい……。」
「ちゃんと食べなきゃ駄目ッスよ?おばあちゃん。」
「そうだぞ?!ちょっと目を離すとこれだから、我が足繁く通わねばならないのだぞ?!」
「ごめんごめん。」
『だ~か~ら~!アタシがいてあげるってば!!』
「いや、大丈夫だよ。ありがとね。」
『もう!!こんなに可愛いアタシが側にいてあげるって言ってるのに!何が不満なのよぉ?!』
「う~ん?……もふもふ感??」
おばあちゃんがそう言った時でした。
「もふもふでしたら!あっしも加えて下さいな!!おばあちゃん!!」
バーンとばかりにドアが開き、ハイテンションな声が響く。
その場にいた全員、呆気に取られます。
「……あ、こんにちは、狩人さ……。」
おばあちゃんが驚きつつも挨拶しようとした瞬間、ドアがバタン!と閉められました。
しかし閉められたドアが騒々しくまた開きます。
「閉めるとは酷いではねぇですか?!赤ずきんちゃん!!」
「ええい!煩い!煩いぞ!!狩人!!」
「まだ何も言ってねぇですよ!!」
「存在が煩いのだ!!お主は!!」
「そんなの酷すぎではねぇですか~!赤ずきんちゃん~!!」
入り口で繰り広げられるドタバタ。
おばあちゃんと狼とシンマはぽかんと眺めていたのでした。
何だかんだで遅くなり、赤ずきんはおばあちゃん家に泊まっていくことになりました。
騒々しい狩人とシンマも、ちょっと間の抜けた狼も帰った家は静かでまったりとしています。
赤ずきんはベットに入り、おばあちゃんがそのお腹をとんとん叩いて寝かしつけます。
色々と騒がしい一日。
赤ずきんはうとうとし始めていました。
「赤ずきんの耳は大きくて可愛いねぇ~。」
「……そうか??」
「赤ずきんの耳はどうしてそんなに大きいのかな?」
「……おばあちゃんの小さな声も聞き逃さないようにだ。」
「ふふっ。じゃあ、赤ずきんの口が大きいのは?」
「…………おばあちゃんと……たくさん話せるように……。」
「そうなんだ?」
「うん……。」
赤ずきんのふわふわな毛を撫でおばあちゃんはとても幸せそうです。
何だか騒がしい1日だった。
でもおばあちゃんに会えてよかった。
その顔を見上げ、赤ずきんも幸せな気持ちで眠りに落ちたのでした。
~ Happy END? ~
【おかしな配役】
赤ずきん→ネル(ネストル影子ver.)
おばあちゃん→コーバー
狼→ノース
花畑・花→シンマ・トレス
狩人→ラッチャル
お母さんは赤ずきんに言います。
森に住むおばあちゃんにお薬とパイを届けておくれと。
赤ずきんはおばあちゃんが大好きです。
二つ返事で了承すると、得意げに籠を咥えて森に繰り出しました。
足取りも軽くるんるんと森を歩く赤ずきん。
ふさふさの毛がゆらゆら揺れて可愛らしいです。
すると……。
「やめてくれッス!何も取って得をする様な物はないッス!!」
どこからか情けない声が聞こえます。
「………………。」
聞かなかった事にしよう。
赤ずきんはそう思って歩き出しました。
しかし……。
「あ~!!赤ずきんちゃん!!なんで見捨てるッスか?!」
「……うむ……厄介なのに見つかってしまった……。」
「た~す~け~て~!!」
真っ赤な頭巾が仇となり、赤ずきんは見つかってしまいました。
名指しで半泣きで助けを求められ、流石に無視する訳にもいきません。
赤ずきんは仕方なく方向転換して、その声に近づきました。
「赤ずきんちゃん!!」
「……情けないヤツだな、それでも狼か?!」
「俺はお座敷狼ッス!室外行動には不向きッス!!」
「……狼の癖に。」
赤ずきんは大きくため息をつくと、狼を取り囲んでいる小さな虫たち……ではなく、見た目は美しい小さな飛び回る者たちに声をかけました。
「やめろ、シンマ。こんな情けない狼に絡んでどうする?」
『あんまりにも情けないから、ちょっと鍛えてあげようと思っただけよ。』
『そうそう~。』
少しも悪びれる事なく、シンマたちは口々にそう言ってくすくす笑う。
飛び回る羽根はさまざまな色に光り、まるで春風に漂う花ふぶきのようです。
「だとしても、こいつからたいした対価など取れぬぞ?わかっているだろうが。」
『いいのよ~。おばあちゃんの家への入り方を教えてくれれば~♪』
その言葉に赤ずきんはカッと目を釣り上げました。
おばあちゃんの家の周辺は、危険を遠ざけるように赤ずきんが手を回してあるのです。
なのでいたずら好きなシンマたちは入り込めないのです。
「はぁ?!それが狙いか?!」
『ヤダ怖い~。』
『赤ずきんが怒ったわ~。』
『ぬぬ……赤ずきんがいない間にマヌケが森に来て……やっとおばあちゃんに会えると思ったのに~っ!!』
「散れ!シンマ!悪さしようとするなら森から追い出すぞ!!」
『悪さなんかしないわよ!!どうしておばあちゃんに会ったら駄目なのよ!!ズルいじゃない!!』
赤ずきんの怒号に他のシンマは去ったのに、一人のシンマだけはその場に残り、赤ずきんに食ってかかります。
ぷうっと頬を膨らませ、赤ずきんを睨んでいます。
ほぼ空気の狼は睨み合う二人にオロオロするばかり……。
「あ、あのぉ~、俺が言うのもなんスけど……喧嘩はやめるッス~。」
『はぁ?!アンタがさっさとおばあちゃん家に案内しないからでしょう?!』
「元はと言えばおぬしが情けないのが悪いのではないか!!」
「ひ~!ごめんなさい~!!」
藪蛇とはまさにこの事。
声をかけた事で二人の矛先が自分に向かって狼は耳をペタンと伏せて涙目になっています。
その情けない姿に赤ずきんとシンマは毒気を抜かれました。
「……まぁ……いい……。それより狼、お前は何故ここにいるんだ?」
「えっとッスね?まず、おばあちゃんに今月の特許使用料を届けるのと……ハートの女王様からのお手紙を届けるよう頼まれて~。」
「……なるほど?」
「シンマ怖いッス!!赤ずきんちゃん!一緒に行って欲しいッス!!」
「まぁ……我もそこに行くところだから構わぬが……。」
赤ずきんはそう言いながら内心がっかりしてしまいました。
こう見えて赤ずきんは体裁を気にするので、他の者がいるとおばあちゃんに思いきり甘える事ができないのです。
『私も行く~!!行くったら行くの~!!』
赤ずきんの頭巾の周りをシンマは飛び回り、甲高い声で騒ぎ立てます。
赤ずきんはうんざりしてきました。
「わかったわかった!!今回は特別、我の監視の上で会わせてやる!だから耳元でキンキン喚くな!!」
『ウッソ!?マジ?!やった~!!』
「いいか?!今回だけだぞ?!それから妙な真似をしたら食ってしまうからな?!」
しかし喜びで飛び回るシンマは聞いていません。
こうして仕方なく、赤ずきんは半泣きの狼と浮かれポンチのシンマを連れておばあちゃん家に向かいました。
すったもんだしながらおばあちゃんの家に着きました。
赤ずきんを見たおばあちゃんは大喜びです。
テンションが上がりすぎてエラい事になっています。
「あああぁぁ!!よく来たね!赤ずきん~!!」
「うわっ!落ち着け!!」
赤ずきんを見るやいなや、強烈なハグが炸裂します。
抱き上げ、有無を言わさず顔をぐりぐり。
そして落ち着いたかと思いきや、もふもふの中に顔を埋めてスーハーしています。
「……相変わらず強烈……もふもふへの愛が重いッス……。」
止める間もなく繰り広げられるもふもふタイム。
狼もシンマも遠い目をしています。
「うう……ここのところ激務だったから……癒やされる……。」
「まぁ……それは大変だったな……落ち着いたか?」
「多少……。」
「それより体調は大丈夫なのか?!」
「あ~、あんまり眠れてなかったのと忙しくてちゃんと食べてないだけだから……。」
「大丈夫ではないだろう?!それは?!食べなければ死んでしまうだろう?!」
「はは、そんな大げさな~。」
「何を言っているんだ?!ほら!パイを持ってきたからちゃんと食べろ!!」
おばあちゃんがきちんと食事をしていないと聞き、赤ずきんは大慌てです。
寝不足と栄養不足で若干フラフラしているおばあちゃんを椅子に座らせ、小さな体で甲斐甲斐しく世話を始めます。
「狼!突っ立ってないでお茶を入れてくれ!!」
「あ、わかったッス。」
「赤ずきんは大袈裟だなぁ~。狼くん、ごめんね~。」
「いいッスよ~。ていうか、赤ずきんちゃんの言う通り、ちゃんと食べて寝なきゃ駄目ッスよ~?!」
「ごめんごめん~。」
バタバタ周りが動いているのを、頭に血が行っていないおばあちゃんはぼんやり眺めています。
その周りをキラキラとシンマが舞いました。
『アンタ……また、限界まで働いてたの?!バッカみたい!!』
「あはは。皆の顔を見たら気が抜けちゃって……。」
自分でも気づかぬうちに無理をしていたおばあちゃんは、皆に囲まれて安心したのか体の力が抜けてしまったようです。
そんな自分を苦笑している顔を見つめ、シンマは珍しく真面目な顔で呟きます。
『……赤ずきんの結界がなければアタシがずっと一緒にいてあげるのに……。』
「はは、ありがとう。その気持ちだけ受け取っておくよ。」
『何よ!知られてないけどシンマは義理堅いんだからね!もっと信用しなさいよ!!』
「信用してない訳じゃないけど、花畑の守りをサボってここに居てもらったら森の精に怒られちゃうだろ?!」
『平気よ。シンマが一人いなくなってるなんて気づかないわよ。……多分。』
そんな話をしているおばあちゃんとシンマの間に、ムスッとした赤ずきん代わり込みます。
「オイ、シンマ……。」
『何よ!』
「我よりも小さいシンマのお前が一人、ここにいたところで何ができると言うのだ。」
『そうねぇ……。話し相手?!』
「いや、それだとマシンガントークすぎて仕事にならないから……。」
『何よ何よ!アタシだって心配してるのにぃ~!!』
「ごめんごめん。ありがとな。」
「おばあちゃんには我がいるのだから気にするな。」
「俺もいるッス!!」
そう言いながら、赤ずきんと狼はおばあちゃんの前にお茶とパイを並べます。
お礼を言いながら食べ始めるおばあちゃん。
久しぶりにまともな物を口にして涙を浮かべています。
「うぅ……美味しい……そして温かい……。」
「ちゃんと食べなきゃ駄目ッスよ?おばあちゃん。」
「そうだぞ?!ちょっと目を離すとこれだから、我が足繁く通わねばならないのだぞ?!」
「ごめんごめん。」
『だ~か~ら~!アタシがいてあげるってば!!』
「いや、大丈夫だよ。ありがとね。」
『もう!!こんなに可愛いアタシが側にいてあげるって言ってるのに!何が不満なのよぉ?!』
「う~ん?……もふもふ感??」
おばあちゃんがそう言った時でした。
「もふもふでしたら!あっしも加えて下さいな!!おばあちゃん!!」
バーンとばかりにドアが開き、ハイテンションな声が響く。
その場にいた全員、呆気に取られます。
「……あ、こんにちは、狩人さ……。」
おばあちゃんが驚きつつも挨拶しようとした瞬間、ドアがバタン!と閉められました。
しかし閉められたドアが騒々しくまた開きます。
「閉めるとは酷いではねぇですか?!赤ずきんちゃん!!」
「ええい!煩い!煩いぞ!!狩人!!」
「まだ何も言ってねぇですよ!!」
「存在が煩いのだ!!お主は!!」
「そんなの酷すぎではねぇですか~!赤ずきんちゃん~!!」
入り口で繰り広げられるドタバタ。
おばあちゃんと狼とシンマはぽかんと眺めていたのでした。
何だかんだで遅くなり、赤ずきんはおばあちゃん家に泊まっていくことになりました。
騒々しい狩人とシンマも、ちょっと間の抜けた狼も帰った家は静かでまったりとしています。
赤ずきんはベットに入り、おばあちゃんがそのお腹をとんとん叩いて寝かしつけます。
色々と騒がしい一日。
赤ずきんはうとうとし始めていました。
「赤ずきんの耳は大きくて可愛いねぇ~。」
「……そうか??」
「赤ずきんの耳はどうしてそんなに大きいのかな?」
「……おばあちゃんの小さな声も聞き逃さないようにだ。」
「ふふっ。じゃあ、赤ずきんの口が大きいのは?」
「…………おばあちゃんと……たくさん話せるように……。」
「そうなんだ?」
「うん……。」
赤ずきんのふわふわな毛を撫でおばあちゃんはとても幸せそうです。
何だか騒がしい1日だった。
でもおばあちゃんに会えてよかった。
その顔を見上げ、赤ずきんも幸せな気持ちで眠りに落ちたのでした。
~ Happy END? ~
【おかしな配役】
赤ずきん→ネル(ネストル影子ver.)
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