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33.支援役ロベル 3聖女にプレゼントを贈る

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「聖女用の伝説の武器がなくても。これから俺が、伝説級の力を持った武器を作り出せばいい! それだけの話だ、ってな!」



「な、な、なるほどぉ! さすがお兄様! ナチュラルにとんでもないこと言ってる気がするけど!」



「発想の転換ですね! フツーの人には絶対ムリですけど!」



「恐るべきオリジナリティ」



「ははは。プロのクリエイターみたいにはムリだろうけどな。支援スキルを使えば、それなりにはやれるはずさ」



 そう。
 俺の支援スキル1,000個の中には、こんなヤツもある。




『マテリアル・コンポジット(アイテム合成)』




「試しにやってみるぞ? 準備運動代わりにな」



 俺はアイテム・ボックスからポーションを5個取り出す。



「アイテム合成スキル『マテリアル・コンポジット』発動! 対象は『ポーション5個』だ!」



 俺の宣言で。




 パアアアアアア!




 5つのポーションが光り輝き、合体して1つのハイ・ポーションになった。



「ま、こんなもんだ」



「おおーーーーー!」



「パチパチパチ!」



「お見事」



「これで手ごたえはつかめた。さっそく取り掛かるとするか!」



 俺の読みでは。
 最強クラスの武器に『あるもの』を合成すれば、世界にひとつだけの武器ができるはずだ。



「まずは、ベースになる武器をゲットしないとな」



 ここはいつも通り、あのスキルを使おう!



「『エンカウント操作・インスタント』、瞬殺の出番だ! ドロップ・アイテムで、最強のロッドを手に入れる!」



「待ってましたぁ!」



「それではさっそく!」



「えいっ」




 ぎゅっ! ぎゅむっ! ぎゅう!




 またしても3人が。



 いつも通りに?
 俺の両腕と背中に。
 ぎゅうっ! としがみついてくる。



「……念のため言うけど。今回も俺に触れてる必要はないぞ?」



「むぎゅーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」



「むぎゅうううううううううううううっっ」



「むぎゅむぎゅ」



「気にしないにしよっと」



 ……と、ともかく。



「スキル『モンスター・ライブラリ』発動! コンプリート・モンスター図鑑を表示!」



 表示されたモンスター・データを眺める。



「最強ロッドをドロップするのは、こいつか」




『ヴァンパイア・ロード:メイガス・ロッド(物理攻撃力10倍・魔法攻撃力10倍:ドロップ率 1/10000)』




「プラチナメタル・ブレスレットと同じドロップ率なら、性能はバッチリだろう!」



 それではさっそく!



「『エンカウント操作・インスタント』使用! 種類はヴァンパイア・ロード、数は40,000体、瞬殺するか? はイエスで!」




 ポンポンポンポンポンポンポンポンポンポン! 




 ヴァンパイアの大群が現れて。




 バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!




 一瞬でまとめて消し飛んだ。
 見なれた光景だ。




『500,000,000の経験値を手に入れました』



『500,000,000のスキルポイントを手に入れました』



『メイガス・ロッドを3本手に入れました』



『レベルアップ! ロベル・モリスのレベルが2,017になりました』




「オッケーだ! 3本ドロップしたな!」



 ……ついでに、レベルも2,000を超えてしまったが。
 まあいいや。



「すごいよお兄様! このロッド、伝説級の力を持ってるみたい! あたし、見ただけでわかったよ!」



「これだけでも十分。そんな気がしてしまいますけど」



「まだ続きがあるみたい」



 そう。
 ここからが重要なポイントだ。



「よし、みんな! この『メイガス・ロッド』の上に、みんなの『力の源』を置いてくれ!」



「ええっ?」



「えっ?」



「え?」



 ……おや?



「あれ? 俺、何か変なこと言ったか?」



「えーーーっとぉ。お兄様? ホントに『力の源』を、ロッドに置いていいんだよね?」



「ああ、そうだ! 頼むよ!」



「わかりました。あなた様からのお願いですものね」



「不可解だけど、了解」



「おう! それじゃあ頼む!」



「はーい! それじゃああたし、右足を持ちますね!」



 ……ん?



「それではわたしは左足を!」



「私は脇から腕を入れて支える」



 ……へ?



「いきますよアンリさん! トウナさん! せーの!」



「えいっ!」



「よいしょ」




 ガシッ!
 ガシッ!
 グイッ!




「……あの?」



 なぜか。



 3人は、俺の体を持ち上げると。



「オッケーです! アンリさんトウナさん、おろしますよー!」



「いいですよー!」



「了解」



 ぽすん、と。



 俺の体を、3本のロッドの上に乗っけた。



「……あの、どういうこと? 俺、こんなこと頼んでないけど?」



「えー? だってお兄様! あたしの『力の源」は、お兄様に決まってるじゃない!」




 ……はい?




「わたしもサミー様と同じです。『力の源」は、あなた様以外にあり得ないのですが」



「右に同じく。主様が私の『力の源』」



「ち、ちがう! そうじゃない! どうしてそうなるんだ!?」



 俺は頭を抱えた。



「みんながいつも身につけてるヤツだよ! 首に下げてるヤツ!」



「首に下げてる? あ! もしかして!」



「わたしたちのペンダントですか?」



「……はっ」



 ようやく気づいてくれたらしい。



「そうだよ! サミーの『太陽のペンダント』と、アンリの『光のペンダント』と、トウナの『月のペンダント』! 適合者に無限の魔力を与える、その伝説のペンダントを! 『メイガス・ロッド』の上に置いてくれ!」



「なーーーーんだ! そういうことかーー! お兄様が『力の源』なんていうから、カン違いしちゃった!」



「あなた様。先ほどの言い方ですと、みーーーんなまちがえると思いますよ?」



「正答率0パーセント問題」



「そんなバカな……やれやれ」



 そんなこんなで。



 みんながペンダントをロッドの上に置く。
 準備完了だ!



「アイテム合成スキル『マテリアル・コンポジット』発動! 対象1つ目は『メイガス・ロッド1本目と太陽のペンダント』! 対象2つ目は、『メイガス・ロッド2本目と光のペンダント』! 対象3つ目は、『メイガス・ロッド3本目と月のペンダント』だ!」



 俺が宣言すると。




 パアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!




 ロッドとペンダントをまばゆい光が包んだ。



 そして、光が消えたとき。



「できたぞ! 完成だ!」



 そこには先端にオレンジ、白、金の宝玉がはめ込まれた、3本の聖杖が産み出されていた。



「すごいよすごいよお兄様! さっきまでの『メイガス・ロッド』とは、比べ物にならないぐらいすごーーい魔力を感じるよ! 伝説級の伝説級の伝説級、ってカンジ!」



「これが、あなた様の愛の結晶なのですね! ステキです!」



「主様は天才アイテムクリエイター」



「素材が優秀だからな! さあ、俺からのプレゼントを受け取ってくれ!」



 俺はみんなに聖杖を渡していく。



「まずはサミーだ! 名前は『太陽の聖杖』ってとこかな」



「お兄様ありがとうううううううううう! あたしとっても! とーーーーーってもうれしいよーーーーーーーーーー!」



「次にアンリには、こっちの『光の聖杖』を」



「ありがとうございます、あなた様! こんなにステキな贈り物をいただけるなんて! わたしは本当にしあわせ者です! 一生大切にいたします!」



「最後にトウナには、『月の聖杖』だな」



「ありがとう主様。私にはもったいないぐらい。にこにこるんるん!」



「ははは。武器なんて、女の子へのプレゼントにはふさわしくないけどな。場合が場合だから許して――」



「あたし! 今日からお兄様のプレゼントと一緒に寝る! ぎゅーーーーーって抱きながら寝ちゃうんだから!」



「わたしはお風呂に持って入ります! いつでもあなた様を感じていたいので!」



「私はお手洗いにも持っていく。どんなときもいっしょ」



「……大げさすぎない?」



 まあ、でも。



「みんな喜んでくれたみたいだな! よかったよかった!」



 よし!



「これで3聖女の武器はそろった。あとは、天空の魔王城に乗り込む手段だな」



 手がかりはない。
 だけど。



「乗り込める。俺の支援スキルがあれば、空にだって行けるさ!」
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