悪役少女はひとりぼっち

第1章

3.転校生

「あああぁぁ！！やっべぇ！！」

机の上の書類の一つを手にした朝陽が目を見開いて叫ぶ。

「今日転校生来るって！案内役決めてねぇっ！」

「俺、眠いから、嫌だ。」

「僕も書類の山と戦うからパス。」

「会長の頼みとか嫌だからパ～ス。」

現在文化祭前の生徒会は、書類やら各クラスの出し物リストの点検やらに追われてかなり忙しい。

生徒会には授業免除という制度かあるものの、授業に出なければ勉強についていけない。

そのため、より焦るのだ。

そんな中見つかったどう考えも学校の雑用である、転校生の案内という仕事は是が非でも避けたい。

「晴～！」

だから朝陽の声も聞こえない。

何も聞こえない。

「晴～！！」

どんなに捨てられた子犬のような顔していても、どんなに同情を誘うような目をしていても、だ。

「晴～！！！」

「どうせはるちゃんの負けでしょ～。」

クスッと私に聞こえる声で、呟いてくる蓮翔は本当に性格が悪いと思う。

「はぁ・・・。わかった。それなん「本当か！？さすが晴だー！」・・・・うるさい。」

「はる、諦めた方が、いいと、思う。」

「そうね。朝陽はどうせ聞いてないだろうし。」

「ハル！この書類じゃない？」

そう言って優がつまみ上げている書類を受けるとる。

1番上に顔写真が付いており、下の書類に経歴書と思われるものがが付いている。

「これ、どう見ても理事長とかが持つべき書類でしょ。」

私の手の中の書類を覗き込みながら優が言う。

「まぁ、この学園だからね・・・。名前は・・・黒木芽美？女生徒ね。15:30に校門で対面予定、ふぅーん、っては？」

現在壁の時計の針は3時28分を指している。

「遅刻じゃないの！なんでこんな遅くにこの書類見つけたのよ！？」

「いやー、悪りぃ。書類の山に埋もれてて気づかなかったわー。」

「・・・はぁ。ちょっと出てくるわ。」

「いってらっしゃ～い。」

「いって、らっしゃい、すぅー」

やる気のない連翔とすでに眠りについた仁に見送られながら私は扉を開いて走った。