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序
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おにのはなし。それはこの国一帯の子供たちが親に教わる寝物語の一つである。
昔々そのまた昔、暗い暗闇、琥珀の巫女のおわす地のそのまた奥におにの姫がいた。
ある時、彼女は気まぐれに地上にやってきた。
人の姿にその身を変えていた彼女は、そこで一人の男と出会う。
一目で恋に落ちた姫は男を騙して嫁になった。
彼は姫と仲良く暮らしていたけれど、ある時彼は戦のさなか死んでしまった。
嘆き悲しんだ彼女はおにの姿に戻り、死んだ愛しい男の死肉を貪った。
人の肉を食べたおにの姫は狂い、今も夜な夜な人肉をもとめてさすらっている。
親は繰り返し子にそれを語り、夜に山に行ってはいけない、おに姫に見つかったら食べられてしまうよ、と念を押す。
伝承の鬼は、とても世にも美しい姿とまがまがしく鋭い二本の角と牙を持っているらしい。
寝物語に母からそれを聞いた真砂吾は思った。
そんなきれいなおにはいったいどんな色をしているのだろう。
きっとにんげんとはちがったいろに違いない。
紅か、蒼か、それとも、自分が知らないいろだろうか。
どんないろなんだろう。口には出さず、ただ思っていた。
昔々そのまた昔、暗い暗闇、琥珀の巫女のおわす地のそのまた奥におにの姫がいた。
ある時、彼女は気まぐれに地上にやってきた。
人の姿にその身を変えていた彼女は、そこで一人の男と出会う。
一目で恋に落ちた姫は男を騙して嫁になった。
彼は姫と仲良く暮らしていたけれど、ある時彼は戦のさなか死んでしまった。
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人の肉を食べたおにの姫は狂い、今も夜な夜な人肉をもとめてさすらっている。
親は繰り返し子にそれを語り、夜に山に行ってはいけない、おに姫に見つかったら食べられてしまうよ、と念を押す。
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そんなきれいなおにはいったいどんな色をしているのだろう。
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