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第4章 Aria展
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真っ暗闇の中、未来は手に持っていたノートに今見た光景を描いた。見えるわけではない。だから、文字は書けないが、絵だけは描ける。それが未来の能力だ。
「先輩、それが……?」
未来の目には見えない絵が美穂の目にはしっかりと写っているのだろう。
「実行犯は女。でも、裏で糸を引いてるのは男。……今、彼女は中にいるとは思うけど、どこにいるかは……」
こういう時に弥生がそばにいてくれたら、と切実に願う。彼女がいればピンポイントで見ることが出来るのに……。
「どのくらい寝てた?」
「三十分くらいです」
美穂も未来と同じように、周りに聞こえないようにボソボソと話しているが、その必要がないくらい周りが騒がしい。相変わらず電気が消えていて暗いが人の声が聞こえること、ポツポツと明かりがついていることで、さっきのような恐怖は誰も感じていないようだった。
「今は適当にグループ分けして、話しています。座談会みたいな感じです。ルールは、マイナス発言をしないことと、十分ごとにアプリを使う人を切り替えることです。私たちは輪に入っていないので、動けますが場所がわからないことには……」
きっとあの男性が仕切ってくれたのだろう。彼がいたことに感謝したい。そうでなければ、この場はもっと殺伐としたものになっていたに違いない。
「もう一度……」
寝てみる、と告げようとした言葉は背後からの嗄れた声に遮られた。
「その必要はない。外から連絡が入った。今すぐ君らを連れて、地下の電気制御室へ向かうように、と。詳細は歩きながら話す。……山内美穂、先導できるな?」
「はい。先輩、掴まってください」
未来は暗闇の中、美穂に手を引かれ、歩いた。今の喧騒の中では、未来たちに気づく人はほとんどいないだろう。
部屋を出てからは美穂が懐中電灯で下を照らしながら歩いた。
「君が佐川未来か?」
「はい。佐川未来です。夢見の能力を持っています」
「今回の事件の背景も見たのか?」
「はい」
「それで、君に聞け、か。では、情報交換といくとするかの。……儂は、麻原浩二。Aria関係者で、超聴力の能力を持っておる」
「先輩が眠った後で、声をかけられたんです。私たちの会話、全部聞かれていたみたいで。さっきの状況を作った時に、私を含めてAria関係者は輪に入らないように指示されたんです。……といっても、関係者は私たちの他は、受付にいた女性だけですけど」
「外でも、千里眼能力者が状況を視たらしいがの、同じ光景を視たであろうそなたに聞け、とのことだ。ただし、実行犯の女性は、地下の電気制御室付近にいるとだけ教えて貰った。……あやつの言っていた通り、それだけは見ておらんのか。……外には今、テレパシーの能力者がいて、状況を伝えてくれておる。儂らと、あの部屋に残った人間とのパイプ役もしてくれる。直接知り合いではない二人は話せないだろうがな。まず、今回の件について、説明してくれるか?」
「実行犯はスタッフの浅野千世子さんという女性ですが、裏で糸を引いているのは里中津軽という名の、心療内科医の男性です。……ただ、何でこんなことになったのか、さっぱり分からないんですが……」
そう、未来には疑問だった。なぜ、浅野千世子は爆弾を使った事件の計画にすぐに乗ったのだろうか。しかも、渡してきたのは、長い付き合いのある信頼できる人ではなく、いきなり声をかけてきた見知らぬ他人。普通の人だったら、いきなりそんな計画に乗ったりしない。なのに彼女には迷う素振りすらなかった。
「……まるで、操られたようだが……」
麻原が厳しい口調で呟く。もし、そうであれば、相手はAriaなのか、それとも、何か特別な道具でも使ったのだろうか。
「あ」
小さく呟いた美穂が立ち止まる。それに合わせ、麻原と未来も足を止める。
「山内さん?」
「階段の向こうに、人がいます。……その先は瓦礫にようですが……」
「人?」
光が届く先に人影は見えない。だが、美穂のは見えているのだろう。どうするか、というように麻原の顔を見た美穂に麻原が軽く頷く。
「電気は消そう。ギリギリまで気づかれたくない。……話は状況を見れる美穂がやってくれ。……ただし、危険と判断したらすぐにアプリを起動しなさい」
きっぱりとした命令口調に美穂が頷く。すぐに周囲が闇に包まれるが、右手に感じる温もりのせいか、恐怖は感じない。
「浅野千世子さん、ですか?」
隣から聞こえる美穂の声は若干震えている。一人じゃないことを伝えたくて軽く手を握ると、美穂の体から力が抜けた。
「……貴方が、ここを爆破したんですよね?なぜ……浅野さん⁉」
突然離れた温もりのと、バタバタと駆け下りるような音。美穂の切羽詰まった声。未来には何が起こっているのか見えなかった。
隣から淡い光が見え、階段の下を照らす。そこにはぐったりと倒れた浅野千世子と、その彼女を支えている美穂がいた。
「先輩、それが……?」
未来の目には見えない絵が美穂の目にはしっかりと写っているのだろう。
「実行犯は女。でも、裏で糸を引いてるのは男。……今、彼女は中にいるとは思うけど、どこにいるかは……」
こういう時に弥生がそばにいてくれたら、と切実に願う。彼女がいればピンポイントで見ることが出来るのに……。
「どのくらい寝てた?」
「三十分くらいです」
美穂も未来と同じように、周りに聞こえないようにボソボソと話しているが、その必要がないくらい周りが騒がしい。相変わらず電気が消えていて暗いが人の声が聞こえること、ポツポツと明かりがついていることで、さっきのような恐怖は誰も感じていないようだった。
「今は適当にグループ分けして、話しています。座談会みたいな感じです。ルールは、マイナス発言をしないことと、十分ごとにアプリを使う人を切り替えることです。私たちは輪に入っていないので、動けますが場所がわからないことには……」
きっとあの男性が仕切ってくれたのだろう。彼がいたことに感謝したい。そうでなければ、この場はもっと殺伐としたものになっていたに違いない。
「もう一度……」
寝てみる、と告げようとした言葉は背後からの嗄れた声に遮られた。
「その必要はない。外から連絡が入った。今すぐ君らを連れて、地下の電気制御室へ向かうように、と。詳細は歩きながら話す。……山内美穂、先導できるな?」
「はい。先輩、掴まってください」
未来は暗闇の中、美穂に手を引かれ、歩いた。今の喧騒の中では、未来たちに気づく人はほとんどいないだろう。
部屋を出てからは美穂が懐中電灯で下を照らしながら歩いた。
「君が佐川未来か?」
「はい。佐川未来です。夢見の能力を持っています」
「今回の事件の背景も見たのか?」
「はい」
「それで、君に聞け、か。では、情報交換といくとするかの。……儂は、麻原浩二。Aria関係者で、超聴力の能力を持っておる」
「先輩が眠った後で、声をかけられたんです。私たちの会話、全部聞かれていたみたいで。さっきの状況を作った時に、私を含めてAria関係者は輪に入らないように指示されたんです。……といっても、関係者は私たちの他は、受付にいた女性だけですけど」
「外でも、千里眼能力者が状況を視たらしいがの、同じ光景を視たであろうそなたに聞け、とのことだ。ただし、実行犯の女性は、地下の電気制御室付近にいるとだけ教えて貰った。……あやつの言っていた通り、それだけは見ておらんのか。……外には今、テレパシーの能力者がいて、状況を伝えてくれておる。儂らと、あの部屋に残った人間とのパイプ役もしてくれる。直接知り合いではない二人は話せないだろうがな。まず、今回の件について、説明してくれるか?」
「実行犯はスタッフの浅野千世子さんという女性ですが、裏で糸を引いているのは里中津軽という名の、心療内科医の男性です。……ただ、何でこんなことになったのか、さっぱり分からないんですが……」
そう、未来には疑問だった。なぜ、浅野千世子は爆弾を使った事件の計画にすぐに乗ったのだろうか。しかも、渡してきたのは、長い付き合いのある信頼できる人ではなく、いきなり声をかけてきた見知らぬ他人。普通の人だったら、いきなりそんな計画に乗ったりしない。なのに彼女には迷う素振りすらなかった。
「……まるで、操られたようだが……」
麻原が厳しい口調で呟く。もし、そうであれば、相手はAriaなのか、それとも、何か特別な道具でも使ったのだろうか。
「あ」
小さく呟いた美穂が立ち止まる。それに合わせ、麻原と未来も足を止める。
「山内さん?」
「階段の向こうに、人がいます。……その先は瓦礫にようですが……」
「人?」
光が届く先に人影は見えない。だが、美穂のは見えているのだろう。どうするか、というように麻原の顔を見た美穂に麻原が軽く頷く。
「電気は消そう。ギリギリまで気づかれたくない。……話は状況を見れる美穂がやってくれ。……ただし、危険と判断したらすぐにアプリを起動しなさい」
きっぱりとした命令口調に美穂が頷く。すぐに周囲が闇に包まれるが、右手に感じる温もりのせいか、恐怖は感じない。
「浅野千世子さん、ですか?」
隣から聞こえる美穂の声は若干震えている。一人じゃないことを伝えたくて軽く手を握ると、美穂の体から力が抜けた。
「……貴方が、ここを爆破したんですよね?なぜ……浅野さん⁉」
突然離れた温もりのと、バタバタと駆け下りるような音。美穂の切羽詰まった声。未来には何が起こっているのか見えなかった。
隣から淡い光が見え、階段の下を照らす。そこにはぐったりと倒れた浅野千世子と、その彼女を支えている美穂がいた。
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