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第4章 Aria展
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浅野千世子は、真っ暗な空間で目を閉じじっと息を殺していた。真横で広がっている瓦礫の山が見えないのがせめてもの救いだった。
なぜこんなことになったのだろう。千世子には自分の思考回路が全く理解できなかった。でも、あの時はそれが一番いい方法に思えたのだ。能力者、超能力を持っているか否か、たったそれだけが理由で、それ以外の要素を見ようとはしない。事実、Aria展は目を奪う作品、千世子が心から納得できる作品も多々あったが、それ以上に目についたのは明らかに自分より、いや、それどころか千世子が教えている生徒達よりも未熟な作品だった。超能力さえあれば、出展できる、でも、それがなければそんなに努力しても権利を与えられる事はない。そんな事は許せない、どす黒い何かが心の中に入り込んで来て、暴れた。気がついたら、自分んでさえ止めることができなくなっていた。まるで、心の中に怪物を飼っているかのようだった。
千世子は首筋に手を伸ばした。指先に小さな塊が触れる。今は真っ暗で見えないが、そこには小さな水晶玉で形作ったネックレスがある。あの日、里中津軽に与えられたお守りだった。迷った時、思わず握ってしまう。
あの日、Aria展に断られ、なら自分自身で納得できるようにスタッフとして入ることを望んだ。毎年通っていたために担当者とは顔見知りになっていた事もあるのだろう。スタッフにはあっけないほど簡単に決まった。
「あなたの作品、私も……、ここの代表者も、好きだから」
とはにかむように笑ったのは、ここ数年、Aria展で受付業務をしている#三河__みかわ__#園華という女性だった。ぬいぐるみ作家で、彼女の作品も毎年Aria展に出展されている。
好きなら、なぜ……そんな問いを口にする事はできなかった。理由を知っているかもしれないが、断られた相手にその理由を告げることなどない気がしたのだ。理由がわかった今、問わなくてよかった、とつくづく思う。聞いたところで適当にはぐらかされる気しかしない。
里中津軽に会ったのは、そんな時だった。心理カウンセラーをしているという彼は話を聞くのが上手だった。千世子はいつの間にか、誰にも話したことがない心の内を吐露していた。
話を最後まで聞いた津軽は、千世子に二つのプレゼントをくれた。一つがこのお守りだった。そしてもう一つは少し大きめの袋に入った木箱だった。
その中には数種類の爆弾と、今回の計画が書かれた紙が入っていた。読んだら即燃やすように、との指示もあった。あの時はなぜかそれに従わないといけないような気がした。
でも、今になってみると、なぜそう思ったのかわからない。
千世子は手があるであろう場所に目をやる。あの日から絵を描くことができなかった。人を殺してはいない、だが……千世子の手は汚れている。今までのような絵が描ける気がしなかった。
本当になぜ、こんなことになったのだろう……。
「浅野千世子さん、ですか?」
不意に聞こえてきた若干幼さを残す声に千世子が顔を上げる。でも、相手を見る事はできない。この暗闇では、何も見えない。
「……貴方が、ここを爆破したんですよね?なぜ……浅野さん⁉」
頭の中で、カチリ、と音がした。
頭から何かがこぼれ落ちる。それは決して無くしてはいけないもの。でも、千世子にはそれを止める術がない。
あの子は、誰?
ここは、どこ?
私は……誰?
千世子はもう、何も考えることが出来なくなっていた。意識が黒に塗りつぶされる。
いや……だ……、忘れたく、ない……。
なぜこんなことになったのだろう。千世子には自分の思考回路が全く理解できなかった。でも、あの時はそれが一番いい方法に思えたのだ。能力者、超能力を持っているか否か、たったそれだけが理由で、それ以外の要素を見ようとはしない。事実、Aria展は目を奪う作品、千世子が心から納得できる作品も多々あったが、それ以上に目についたのは明らかに自分より、いや、それどころか千世子が教えている生徒達よりも未熟な作品だった。超能力さえあれば、出展できる、でも、それがなければそんなに努力しても権利を与えられる事はない。そんな事は許せない、どす黒い何かが心の中に入り込んで来て、暴れた。気がついたら、自分んでさえ止めることができなくなっていた。まるで、心の中に怪物を飼っているかのようだった。
千世子は首筋に手を伸ばした。指先に小さな塊が触れる。今は真っ暗で見えないが、そこには小さな水晶玉で形作ったネックレスがある。あの日、里中津軽に与えられたお守りだった。迷った時、思わず握ってしまう。
あの日、Aria展に断られ、なら自分自身で納得できるようにスタッフとして入ることを望んだ。毎年通っていたために担当者とは顔見知りになっていた事もあるのだろう。スタッフにはあっけないほど簡単に決まった。
「あなたの作品、私も……、ここの代表者も、好きだから」
とはにかむように笑ったのは、ここ数年、Aria展で受付業務をしている#三河__みかわ__#園華という女性だった。ぬいぐるみ作家で、彼女の作品も毎年Aria展に出展されている。
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里中津軽に会ったのは、そんな時だった。心理カウンセラーをしているという彼は話を聞くのが上手だった。千世子はいつの間にか、誰にも話したことがない心の内を吐露していた。
話を最後まで聞いた津軽は、千世子に二つのプレゼントをくれた。一つがこのお守りだった。そしてもう一つは少し大きめの袋に入った木箱だった。
その中には数種類の爆弾と、今回の計画が書かれた紙が入っていた。読んだら即燃やすように、との指示もあった。あの時はなぜかそれに従わないといけないような気がした。
でも、今になってみると、なぜそう思ったのかわからない。
千世子は手があるであろう場所に目をやる。あの日から絵を描くことができなかった。人を殺してはいない、だが……千世子の手は汚れている。今までのような絵が描ける気がしなかった。
本当になぜ、こんなことになったのだろう……。
「浅野千世子さん、ですか?」
不意に聞こえてきた若干幼さを残す声に千世子が顔を上げる。でも、相手を見る事はできない。この暗闇では、何も見えない。
「……貴方が、ここを爆破したんですよね?なぜ……浅野さん⁉」
頭の中で、カチリ、と音がした。
頭から何かがこぼれ落ちる。それは決して無くしてはいけないもの。でも、千世子にはそれを止める術がない。
あの子は、誰?
ここは、どこ?
私は……誰?
千世子はもう、何も考えることが出来なくなっていた。意識が黒に塗りつぶされる。
いや……だ……、忘れたく、ない……。
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