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最終章 事件の連鎖
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呆然と三人組を見ていた未来の視界が暗転した。弥生と組むようになってからたまに起きなくても場面が切り替わることがあるが、そういう時は何となく弥生との繋がりを感じることがある。そう言えばこの間のAria展でリンクした時もそうだった。まだ実験ができていないからハッキリしたことは言えないが、もしそうだとすると今から見ることを弥生も目にする可能性がある。それは嫌だな、と感じる。普段は構わないが今日は嫌だ。もし、弥生に話すとしても自分で状況を整理してから、自分の意思で伝えたい。こんな風に強制的に知られるのは嫌だ。
強く願うと、突然夢の世界から弾かれた。気がついたら今見た光景のイラストをスケッチブックに書きなぐっていた。今日、調べるために、榊原にも見せられるように新しいスケッチブックを用意していたが、そのスケッチブックの数ページ埋まっている。
未来は再度スケッチブックを見て、顔を顰めた。
「里中津軽とあの男、安茂里圭が繋がってる?」
あれは、たまたま知人に会って挨拶をしているという雰囲気ではなかった。あの二人組は確実に津軽を待っていた。
「それに……」
過去に書いたスケッチブックを引っ張り出してきて、今日の絵と見比べる。あの時はもう少し近くで見ていたため今回の絵と比べると新たなことがわかる様な気がする。
今回の絵は、唯とその周囲を全体的に描いているため、ハッキリと顔は見えないが唯のすぐ近くにもう一人の男と似たような背格好の男がいる。中学の時に描いた絵には唯の周囲にいる人間の顔が何となくだがわかる。
「この男……」
絵自体は小さいが見間違えようもない。痴漢している男、それは今日津軽や安茂里と共にいた男だった。
「この男……何者……?それに、もし、安茂里圭と里中津軽に繋がりがあるのだとしたら、何で今動いたの……?」
未来は思いついたことを書く為に購入した小さなノートを開いて、一ページ目の頭に「里中津軽」、二ページ目の頭に「安茂里圭」、そして、三ページ目の頭に「第三の男?」と記入をする。
安茂里圭は今どうしてるんだろうか?あの時は無期懲役ではなかったはずだ。彼の罪は集団レイプ。その後唯が自殺しているため、実刑をくらってはいたが、直接手を下したわけではないからか、さほど長くはなかったはずだ。
慌ててパソコンを起動した未来はAriaのデータベースにアクセスした。警察の協力者は解決、未解決に関わらず、過去の事件のデータベースを見ることができる。
安茂里圭の名前はすぐに見つかった。その情報を読むうちに未来の表情が険しくなっていく。
『Aria能力者:催眠』『実刑:五年』『模範囚で、半年前に出所したが、Ariaでの監視を振り切り、一ヶ月前に逃亡した模様。その後の消息は不明』
必要情報を書きなぐると、未来は小さく息をついた。
消息不明。Aria能力での捜索を行っていてそれならば、結界のような能力の封印キーを持っている可能性もある。ただし、人を殺したわけでもないし、能力を使って犯罪を犯したわけでもない、ならば、そこまで本腰を入れていない可能性もある。捜索はしているが、時間が空いた人間がたまに動いているだけ、という気もする。後、探索系能力で力が強いのは弥生や未来だ。それがメインの能力者は多くはない。多分、未来に気を使って未来と親しい弥生を巻き込まなかった可能性もある。弥生を巻き込めば必然的に未来も巻き込まれることになるからだ。弥生が未来に隠し事をするのは難しい。それは逆も言えるが。
真っ暗な闇に包まれながら、未来は軽く嘆息する。今度はどんな真実を、夢を見せてくれるのかわからない。強く願うとその関係の夢が見れることはわかっているが、弥生のように完全にコントロール出来ないのが玉に瑕だ。
ゆっくりと闇が晴れてくると、見知らぬ家の中にいた。どうやらバスルームらしく、隣から絶え間なくシャワーの音が聞こえてくる。
人の入浴を覗く趣味はない、が、夢がこの場から始まることに意味がないとは思えなかった。
はぁ、と小さく息をついた未来は、バスルームの扉を開けた。実際に開けたわけではないが、そこは過去を見ているとはいえ、夢の世界のことだと納得するようにしている。
目の前に広がった光景に目を見張る。唯が泣きながら身体中を強い力で擦っている。唯が浴びているシャワーのの水が冷たい。まるで、感覚を無くそうとするかの様に、唯は水シャワーを身体中に浴びていた。
「あ、あ、あ……。イヤー、消えない……消えないよ……」
泣き叫ぶ唯の声が耳の奥に木霊する。
榊原はこの状態の唯を知っていたのだろうか?……いや、知らなかったはずだ。知っていたら、あんなメールは送って来なかったはずだ。
三年前、未来がやっていたブログには毎日色々なコメントが付いていた。未来は小説の内容により二種類のブログに分けて掲載をしていた。通常の小説と、書いたはいいが、正直家族や友人には絶対に見せたくない小説だ。唯のことについて書いた小説はそちらの方に掲載をしていた。そっちはコメントを見るのも憂鬱だったので、そこの小説を投稿する時に、簡単に目を通すだけにしていた。だから、そのコメントに気づいたのは、コメントを貰ってから二週間ほど経った頃だったと思う。
そこには一言『メールを見てください』とあった。正直その時まで、メールフォームを設置していた事を綺麗に忘れていた。受け取り用のメールアドレスも普段使わないアドレスで設定していたくらいだ。
そのコメントが差しているメールはすぐに見つかった。サーバーからのお知らせメールの中にポツンと一通だけあった。使わない分、着信しているメールの数が少なかったのが幸いだったのだろう。
メールには、未来が書いた唯の小説へのアドレスと、一枚の写真があった。その顔を見たときの衝撃は今でも忘れられない。実際にいるとは思っていなかった少女が目の前に突如現れたのだ。
『妹は、唯は自殺しました。何故こんな話を書いたのですか?もし、目撃したのなら、こっそり警察に言ってくれればよかったのに。唯の死後にも更新がありました。あなたが唯はではないことはわかっています。唯に恨みでもあるんですか?人を殺して、そんなに楽しいですか?』
さほど長くなかった文面は今でも一字一句間違えずに思い出せる。短い文面に丁寧な口調、それが相手の怒りを表している様に見えた。
未来が人を殺した。未来の文章が人の命を奪った。
未来にはそれに耐えられるだけの強さがなかった。その日から未来は外に出る事が出来なくなった。部屋からすらも、ほとんど出ない生活が続いた。両親にも、姉にも、妹にも散々心配をかけた。
強く願うと、突然夢の世界から弾かれた。気がついたら今見た光景のイラストをスケッチブックに書きなぐっていた。今日、調べるために、榊原にも見せられるように新しいスケッチブックを用意していたが、そのスケッチブックの数ページ埋まっている。
未来は再度スケッチブックを見て、顔を顰めた。
「里中津軽とあの男、安茂里圭が繋がってる?」
あれは、たまたま知人に会って挨拶をしているという雰囲気ではなかった。あの二人組は確実に津軽を待っていた。
「それに……」
過去に書いたスケッチブックを引っ張り出してきて、今日の絵と見比べる。あの時はもう少し近くで見ていたため今回の絵と比べると新たなことがわかる様な気がする。
今回の絵は、唯とその周囲を全体的に描いているため、ハッキリと顔は見えないが唯のすぐ近くにもう一人の男と似たような背格好の男がいる。中学の時に描いた絵には唯の周囲にいる人間の顔が何となくだがわかる。
「この男……」
絵自体は小さいが見間違えようもない。痴漢している男、それは今日津軽や安茂里と共にいた男だった。
「この男……何者……?それに、もし、安茂里圭と里中津軽に繋がりがあるのだとしたら、何で今動いたの……?」
未来は思いついたことを書く為に購入した小さなノートを開いて、一ページ目の頭に「里中津軽」、二ページ目の頭に「安茂里圭」、そして、三ページ目の頭に「第三の男?」と記入をする。
安茂里圭は今どうしてるんだろうか?あの時は無期懲役ではなかったはずだ。彼の罪は集団レイプ。その後唯が自殺しているため、実刑をくらってはいたが、直接手を下したわけではないからか、さほど長くはなかったはずだ。
慌ててパソコンを起動した未来はAriaのデータベースにアクセスした。警察の協力者は解決、未解決に関わらず、過去の事件のデータベースを見ることができる。
安茂里圭の名前はすぐに見つかった。その情報を読むうちに未来の表情が険しくなっていく。
『Aria能力者:催眠』『実刑:五年』『模範囚で、半年前に出所したが、Ariaでの監視を振り切り、一ヶ月前に逃亡した模様。その後の消息は不明』
必要情報を書きなぐると、未来は小さく息をついた。
消息不明。Aria能力での捜索を行っていてそれならば、結界のような能力の封印キーを持っている可能性もある。ただし、人を殺したわけでもないし、能力を使って犯罪を犯したわけでもない、ならば、そこまで本腰を入れていない可能性もある。捜索はしているが、時間が空いた人間がたまに動いているだけ、という気もする。後、探索系能力で力が強いのは弥生や未来だ。それがメインの能力者は多くはない。多分、未来に気を使って未来と親しい弥生を巻き込まなかった可能性もある。弥生を巻き込めば必然的に未来も巻き込まれることになるからだ。弥生が未来に隠し事をするのは難しい。それは逆も言えるが。
真っ暗な闇に包まれながら、未来は軽く嘆息する。今度はどんな真実を、夢を見せてくれるのかわからない。強く願うとその関係の夢が見れることはわかっているが、弥生のように完全にコントロール出来ないのが玉に瑕だ。
ゆっくりと闇が晴れてくると、見知らぬ家の中にいた。どうやらバスルームらしく、隣から絶え間なくシャワーの音が聞こえてくる。
人の入浴を覗く趣味はない、が、夢がこの場から始まることに意味がないとは思えなかった。
はぁ、と小さく息をついた未来は、バスルームの扉を開けた。実際に開けたわけではないが、そこは過去を見ているとはいえ、夢の世界のことだと納得するようにしている。
目の前に広がった光景に目を見張る。唯が泣きながら身体中を強い力で擦っている。唯が浴びているシャワーのの水が冷たい。まるで、感覚を無くそうとするかの様に、唯は水シャワーを身体中に浴びていた。
「あ、あ、あ……。イヤー、消えない……消えないよ……」
泣き叫ぶ唯の声が耳の奥に木霊する。
榊原はこの状態の唯を知っていたのだろうか?……いや、知らなかったはずだ。知っていたら、あんなメールは送って来なかったはずだ。
三年前、未来がやっていたブログには毎日色々なコメントが付いていた。未来は小説の内容により二種類のブログに分けて掲載をしていた。通常の小説と、書いたはいいが、正直家族や友人には絶対に見せたくない小説だ。唯のことについて書いた小説はそちらの方に掲載をしていた。そっちはコメントを見るのも憂鬱だったので、そこの小説を投稿する時に、簡単に目を通すだけにしていた。だから、そのコメントに気づいたのは、コメントを貰ってから二週間ほど経った頃だったと思う。
そこには一言『メールを見てください』とあった。正直その時まで、メールフォームを設置していた事を綺麗に忘れていた。受け取り用のメールアドレスも普段使わないアドレスで設定していたくらいだ。
そのコメントが差しているメールはすぐに見つかった。サーバーからのお知らせメールの中にポツンと一通だけあった。使わない分、着信しているメールの数が少なかったのが幸いだったのだろう。
メールには、未来が書いた唯の小説へのアドレスと、一枚の写真があった。その顔を見たときの衝撃は今でも忘れられない。実際にいるとは思っていなかった少女が目の前に突如現れたのだ。
『妹は、唯は自殺しました。何故こんな話を書いたのですか?もし、目撃したのなら、こっそり警察に言ってくれればよかったのに。唯の死後にも更新がありました。あなたが唯はではないことはわかっています。唯に恨みでもあるんですか?人を殺して、そんなに楽しいですか?』
さほど長くなかった文面は今でも一字一句間違えずに思い出せる。短い文面に丁寧な口調、それが相手の怒りを表している様に見えた。
未来が人を殺した。未来の文章が人の命を奪った。
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