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最終章 事件の連鎖
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暗い闇の先に見える真実を見ることが段々と憂鬱になってくる。次に見るのは学校での唯の姿だろうか?もしそうだとしても、きっとあの写真の様に屈託もなく笑っている彼女を未来が目にすることはない。それとも……。
未来の脳裏に蘇ったのは駅で話していた三人組。痴漢とレイプ、それぞれに関わっていた人たちが知り合いだった。それは、本当に単なる偶然だったのだろうか。
ゆっくりと闇が晴れてくる。
未来は見知らぬ場所に立っていた。頑丈な作りの壁に窓一つない部屋。その中に乱雑に色々なものが置いてある。他、机が幾つかと、パソコンが三台。机の上には模造紙のような大きな紙やノートが載っている。部屋の隅に置いてあるのは小物類だった。小さな女の子が好みそうな物から、妙齢の女性が欲しがりそうな物までが積んである。デザインは様々だが、共通しているのは中に何かを入れられるスペースがあることだろうか。
その括りとは別の場所に幾つかの機械が置いてある。その形は、ドラマとかで見る作りかけの爆弾を思わせた。ここで、爆弾を作っていた?
ざっと部屋の中を見回し、ノートが置いてある机にいく。
パラパラとノートをめくった未来はそこに、榊原唯を使った実験について書いてあるのを見て、軽く目を見張った。
痴漢にあってから、レイプまで、そして、その事実を写真や動画付きで公開したら唯がどういう行動に出るのか、その予想と別のページには唯の観察記録まで書いてある。そこには心理学の観点からの唯の行動の分析までがあった。
「人体実験……みたい」
実際に薬の投与をしているわけでも、切り刻んでいるわけでもないが、唯の自殺の可能性さえ予測した実験にしか見えない。
未来の小説は予想外だったようだが、それを踏まえた上で計画を変更した事も書いてある。知らず知らずに彼らに協力していた自分にヘドが出る。
そのノートを手に取ってみると表紙に書かれた文字が目に入った。
CPSクラブ 実験ノート二十
実験対象者:榊原唯 高校三年 十七歳
里中津軽
安茂里圭
坂上慎二
「CPSクラブ……?」
どういう意味かはわからないが、ろくな組織じゃないことだけは確かだ。本来ならもっと調べたいところだが、それはまた今度、弥生と一緒に調べることにする。その方がもっと細かい情報が手に入るはずだ。少なくともこのCPSクラブは、Aria展での事件にも関わっているだろうし。
「榊原唯さんの件の裏は、大体掴めたし、後は、これを纏めてから……」
ポツリ、と呟いた未来は小さく扉が開く音に視線を転じた。
三人の男性が入ってきた。三人とも見覚えがある。安茂里圭と里中津軽、そして、最後の男が恐らく坂上慎二なのだろう。
三人の姿を目にした瞬間、夢の世界からはじき出された。三人の会話を聞くこともできなかった。
「あれ……は、結界の能力……?」
未来は今見た光景を絵にしたスケッチブックから目を上げ、小さく呟いた。
あの部屋を観察することはできた。でも、三人が入ってきた瞬間に弾かれた。ということは、三人のうち誰かが結界の能力者?もしくは、結界の能力を封印したものを持っている可能性が高い。だが、三人がそれぞれ別々に動いている時には見ることができた。唯一見ていないのは坂上慎二だが、一人が持っている可能性は少ないだろう。三人とも持っているが、あの部屋に入るときに発動させているか、一つしかないため、あの部屋の外あたりに置いておいて、部屋を隠すと同時に、入る時に持って入っている、という可能性が高い気がする。
榊原唯の調査が全て終わったら彼ら三人について、調べよう、と心に誓った。
未来の脳裏に蘇ったのは駅で話していた三人組。痴漢とレイプ、それぞれに関わっていた人たちが知り合いだった。それは、本当に単なる偶然だったのだろうか。
ゆっくりと闇が晴れてくる。
未来は見知らぬ場所に立っていた。頑丈な作りの壁に窓一つない部屋。その中に乱雑に色々なものが置いてある。他、机が幾つかと、パソコンが三台。机の上には模造紙のような大きな紙やノートが載っている。部屋の隅に置いてあるのは小物類だった。小さな女の子が好みそうな物から、妙齢の女性が欲しがりそうな物までが積んである。デザインは様々だが、共通しているのは中に何かを入れられるスペースがあることだろうか。
その括りとは別の場所に幾つかの機械が置いてある。その形は、ドラマとかで見る作りかけの爆弾を思わせた。ここで、爆弾を作っていた?
ざっと部屋の中を見回し、ノートが置いてある机にいく。
パラパラとノートをめくった未来はそこに、榊原唯を使った実験について書いてあるのを見て、軽く目を見張った。
痴漢にあってから、レイプまで、そして、その事実を写真や動画付きで公開したら唯がどういう行動に出るのか、その予想と別のページには唯の観察記録まで書いてある。そこには心理学の観点からの唯の行動の分析までがあった。
「人体実験……みたい」
実際に薬の投与をしているわけでも、切り刻んでいるわけでもないが、唯の自殺の可能性さえ予測した実験にしか見えない。
未来の小説は予想外だったようだが、それを踏まえた上で計画を変更した事も書いてある。知らず知らずに彼らに協力していた自分にヘドが出る。
そのノートを手に取ってみると表紙に書かれた文字が目に入った。
CPSクラブ 実験ノート二十
実験対象者:榊原唯 高校三年 十七歳
里中津軽
安茂里圭
坂上慎二
「CPSクラブ……?」
どういう意味かはわからないが、ろくな組織じゃないことだけは確かだ。本来ならもっと調べたいところだが、それはまた今度、弥生と一緒に調べることにする。その方がもっと細かい情報が手に入るはずだ。少なくともこのCPSクラブは、Aria展での事件にも関わっているだろうし。
「榊原唯さんの件の裏は、大体掴めたし、後は、これを纏めてから……」
ポツリ、と呟いた未来は小さく扉が開く音に視線を転じた。
三人の男性が入ってきた。三人とも見覚えがある。安茂里圭と里中津軽、そして、最後の男が恐らく坂上慎二なのだろう。
三人の姿を目にした瞬間、夢の世界からはじき出された。三人の会話を聞くこともできなかった。
「あれ……は、結界の能力……?」
未来は今見た光景を絵にしたスケッチブックから目を上げ、小さく呟いた。
あの部屋を観察することはできた。でも、三人が入ってきた瞬間に弾かれた。ということは、三人のうち誰かが結界の能力者?もしくは、結界の能力を封印したものを持っている可能性が高い。だが、三人がそれぞれ別々に動いている時には見ることができた。唯一見ていないのは坂上慎二だが、一人が持っている可能性は少ないだろう。三人とも持っているが、あの部屋に入るときに発動させているか、一つしかないため、あの部屋の外あたりに置いておいて、部屋を隠すと同時に、入る時に持って入っている、という可能性が高い気がする。
榊原唯の調査が全て終わったら彼ら三人について、調べよう、と心に誓った。
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