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最終章 事件の連鎖
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目を覚まして、泣きはらした家族の顔を見た未来がまず感じたのは、「ああ、生きているのか」という安堵にも近い思いだった。
久しぶりに夢も見ずに眠ったからなのか、妙に頭がしっかりとしている。あの時、確かに未来は自分で自分の手首を刺したが、明確に死を意識していたわけではなかった。じゃあ、どういうわけだったのか、と聞かれても何も答えることは出来ないが。未来自身、自分が何を考えていたのかわからない、というのが正直な話だ。
「逃げない、って、決めたのにな……」
ポツリ、と呟いた未来の声は誰の耳にも届かなかった。
「ほんっとに気をつけてよ!死ぬところだったのよ!」
泣きはらした顔で訴えた母は、面会時間ギリギリまでいて帰って行った。未来は傷もさほど深くなく、もう大丈夫だが念のため一泊していくことになった。
不思議なことに未来は自分で傷つけたのではなく、手が滑ったという事になっていた。誰がそうしてくれたのかはわからない。多分千鶴か、姉だと思うが。
「お姉ちゃん、ごめんね」
未来は隣で眠る姉に語りかけた。
救急車を呼んでくれた姉は酷く取り乱していたらしく、鎮静剤を打って眠っているらしい。その後で出かけていた両親や妹に連絡をしてくれたのは千鶴だったそうだ。
未だに眠っているように見える姉や、一切姿を見せない千鶴に恐怖を感じる。多分酷く怒っているだろう。特に姉は何も知らなかったのだから、ショックも大きかったと思う。
「お姉ちゃん、ごめんね」
再度呟いた声には、答えがあった。
「なんで……?なんであんなこと……?」
ベッドの上で横になりながらこちらを見る姉の目は寝起きとは思えないくらいしっかりとしていた。もしかしたら、既に起きていたのだろうか。
「……全部、話すよ」
一拍置いて答えた未来に、姉が目を瞬く。
「全部……?」
「中学の時のことも、今日のことも、全部繋がってるから」
中学の時、完全に引きこもりになっていた未来を思い出したのか、姉が軽く息を呑んだ。
未来は不思議と落ち着いていた。一度死を意識したからだろうか。あの時のことを話す事で、姉が浮かべるであろう冷たい表情を思い浮かべても、逃げ出したい、とは思わなかった。
姉の冷たい視線も、榊原の罵倒も、未来が受け入れ、耐えなければならない、罰なのだ。
「その話、俺たちも混ぜて貰えるか?」
未来が口を開きかけたところで、入り口から千鶴と弥生が姿を現した。そんな彼らの表情から怒りは感じないが、同時に一切の感情を感じることもできなかった。それが余計に怒っているように見えて、怖い。
「千鶴!」
奈々子が慌てて起き上がったのを、千鶴が軽く押さえる。
「起きるなって。……さて、未来には聞きたいことがあるが……、その前にひとつ、今ここには結界を張ったから外から会話を聞かれる心配はない。奈々子、今ここで聞いたことは他言無用だ。本来なら奈々子に聞かせていいかわからない。ただ未来が話すと決めた以上止めない。その代わり、誰にも言わない、と約束しなさい」
キッパリとした口調に姉も真剣な表情で頷いた。
未来たち警察の協力者には守秘義務というものが存在する。姉がAria能力者である以上、完全にNGなわけではないが、弥生や千鶴と話す時ほど自由、というわけでもない。どこまで話すのか、考える必要がないのは正直ありがたかった。
姉が頷いたのを見た千鶴が未来に数冊のノートを差し出した。今日、未来が描いていたノートだ。家族に見られないように持っていてくれたらしい。
そのノートに目を落としながら、未来はゆっくりと話し始めた。
「……始まりは、五年前、私が中学に入った頃。……その頃の私は力なんて知らなかったから、夢で見た内容が現実に起こっていたなんて知らなかった……」
久しぶりに夢も見ずに眠ったからなのか、妙に頭がしっかりとしている。あの時、確かに未来は自分で自分の手首を刺したが、明確に死を意識していたわけではなかった。じゃあ、どういうわけだったのか、と聞かれても何も答えることは出来ないが。未来自身、自分が何を考えていたのかわからない、というのが正直な話だ。
「逃げない、って、決めたのにな……」
ポツリ、と呟いた未来の声は誰の耳にも届かなかった。
「ほんっとに気をつけてよ!死ぬところだったのよ!」
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「お姉ちゃん、ごめんね」
未来は隣で眠る姉に語りかけた。
救急車を呼んでくれた姉は酷く取り乱していたらしく、鎮静剤を打って眠っているらしい。その後で出かけていた両親や妹に連絡をしてくれたのは千鶴だったそうだ。
未だに眠っているように見える姉や、一切姿を見せない千鶴に恐怖を感じる。多分酷く怒っているだろう。特に姉は何も知らなかったのだから、ショックも大きかったと思う。
「お姉ちゃん、ごめんね」
再度呟いた声には、答えがあった。
「なんで……?なんであんなこと……?」
ベッドの上で横になりながらこちらを見る姉の目は寝起きとは思えないくらいしっかりとしていた。もしかしたら、既に起きていたのだろうか。
「……全部、話すよ」
一拍置いて答えた未来に、姉が目を瞬く。
「全部……?」
「中学の時のことも、今日のことも、全部繋がってるから」
中学の時、完全に引きこもりになっていた未来を思い出したのか、姉が軽く息を呑んだ。
未来は不思議と落ち着いていた。一度死を意識したからだろうか。あの時のことを話す事で、姉が浮かべるであろう冷たい表情を思い浮かべても、逃げ出したい、とは思わなかった。
姉の冷たい視線も、榊原の罵倒も、未来が受け入れ、耐えなければならない、罰なのだ。
「その話、俺たちも混ぜて貰えるか?」
未来が口を開きかけたところで、入り口から千鶴と弥生が姿を現した。そんな彼らの表情から怒りは感じないが、同時に一切の感情を感じることもできなかった。それが余計に怒っているように見えて、怖い。
「千鶴!」
奈々子が慌てて起き上がったのを、千鶴が軽く押さえる。
「起きるなって。……さて、未来には聞きたいことがあるが……、その前にひとつ、今ここには結界を張ったから外から会話を聞かれる心配はない。奈々子、今ここで聞いたことは他言無用だ。本来なら奈々子に聞かせていいかわからない。ただ未来が話すと決めた以上止めない。その代わり、誰にも言わない、と約束しなさい」
キッパリとした口調に姉も真剣な表情で頷いた。
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