駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

文字の大きさ
22 / 349
1.何処かで聞いた都市国家

21.実習と言う名の(3日目)

しおりを挟む
 日が暮れる前に、辛うじて街道にでた僕達4人は、やはり洞窟の崩れる大音量が響いた事で、標本を運ぶ輸送部隊を先行させて、引き返してきた自警団の有志の方々と共にカルセドニーの村に帰還しました。
 村に着いたときは、日は暮れていたけど、怪我を負った男子二人はイリスによる最低限の治療が施されているだけだったので、そのまま公共区画の病院に運ばれ一晩様子を見ることになり、僕とイリスは宿屋へと戻ってきました。

 宿屋のお姉さんに、身体の怪我がないかあちこち確認されましたが、僕の肩の関節の治療は、病院で簡易的に行われただけで、両手を首から下げた包帯で吊り下げられた状態です。イリスの治癒魔法があれば、直ぐに治るのだけど、魔力消費が激しい彼女は、今日は魔法行使を禁じられています。病院の看護士さんには、今晩だけは諦めて明日治療してもらいなさいとの、ありがたいお言葉を頂いております。
 今日一日の殺戮のあとに、肉料理などを食べる気力はなく、僕はスープとサラダくらいでしたが、イリスは普通に食事を摂っています。彼女いわく、リリーさんの相手を昔からしているのだから、あの位なんでもないとのこと。一体、娘さんの前で何をしているのでしょうか? ある意味恐ろしい気がしますので、聞かなかった事にしてスルーします。ただ、この時点でお分かりでしょうが、僕の両手は吊るされている状態なので、イリスに「アーン」をさせられると言う羞恥プレイです。ええ、連日ですよ。お風呂も同様で、嬉々として宿屋のお姉さんまで付き添いで……
 連日の黒歴史ですね。記憶から抹消したい……

 翌日の朝起きると、イリスが目覚めるのをまって、速攻で治療してもらいましたよ。気のせいか、昨日よりイリスの起きる時間も寝覚めも悪かった気がしますが、気のせいですよね?

 宿屋で朝食を摂って、時間を見計らって病院へと移動します。リアンとワイアットの容態を確認しますが、命に別状もなく、後遺症も残らないとのこと。ただ、怪我のほうは問題ないけど、精神的に憔悴が激しいので、昼の内にアレキサンドリアの病院に移送されるそうです。女の子を怪我をしたということで、女性看護士さんや入院患者さんから転院をかなり惜しまれていた様ですよ。二人とも顔面偏差値は高いですしね。良かったですね?
 彼らを見舞った後は、ギルドに立ち寄って、自警団の方々とドワーフ族の廃坑跡まで、昨日の討伐の確認です。一応、魔石は回収したのですが、崩落した廃坑に巻き込まれた変異種のものは回収できていませんし、村の自警団としても廃坑の状況を知りたいとのことですしね。
 廃坑跡は、崩落により完全に塞がれていました。前日着たときは、廃坑の奥からこちら側に風が吹いていた事を説明し、いまは岩の隙間からも風が吹いてこない事を確認して、自警団の方も安心してくれたようですね。
 その後は皆さんと村に戻って、討伐完了の手続きを行います。今回の村からの報酬は、学院に払われる事になり、学院からの輸送費や護衛費用もこの完了報告で村のギルドを介して、自警団や輸送をお手伝いした人々に支払われます。これで、この村でのお仕事は完了です。

 「これで、今回の実習は完全終了ですね」

 僕の声に、イリスが答えます。

 「そうね。貴女はこれでお終いかな」

 ? その言い方だと、イリスはまだあるようですね。それに何気に言葉遣いがくだけている様な?

 「イリスさんはまだ仕事が残ってるの?」

 僕の問いにイリスは答えてくれます。

 「私とお母様は、送ったサンプルの確認があるもの」

 あ~、僕には無理だなぁ、その作業は……

 「とりあえず、予定より二日早く終わったのですし、帰りの馬車は明日ですから、今日はのんびり出来ますわよ」

 そうは言っても既に夕方が近いですし、遠くにはいけません。どこか良い所があるか、宿屋のお姉さんに聞いてみよう。
 二人で会話をしながら、一度宿屋に戻って、明日魔都(アレクサンドリア上階市街地を指す)に戻ることを伝え、この時間のお勧めな場所はないか聞いてみた。今日は、いつものお姉さんとは、違うみたいですね。

 「そうですね。折角カルセドニーの村に来たのですから、南門からでて直ぐの、ラベンダー畑をご覧になったほうが良いですよ。精油を取るための畑ですが、広大な土地が紫や白に染まるのは一見の価値がありますから」

 そういうお姉さんのお勧めで、やってきた花畑はほんとに広大でした。離れた場所に、少し小高くなった丘があり、東屋が設置してあります。僕とイリスは二人で東屋に向うと、椅子に腰をかけて周囲を見渡します。

 「ほんとに広くて綺麗だね。これなら見る価値があるっていうのはわかるなぁ」

 「そうね。アレキサンドリアの街は、住みやすくて良い所だけど、都市の周囲は河でお花畑とかはないですもんね」

 二人で花畑を見ながら休憩していると、イリスが僕に訪ねたいことがあるといいます。

 「? いいけど、僕に答えられる事ならば」

 「貴女しか答えられないわよ。ギルドや病院に、リアンやワイアットが私達を助ける為に怪我をしたといったのは何故なの? 二人とも、かなり悔しそうな顔をして、貴女をみてたわよ」

 ああ~、その件か。そう、僕は自警団やギルドへの説明で、二人が僕らをかばい怪我をしたと報告しています。別に、情けをかけたとか、恩にきせたわけじゃないんだけどね。

 「ん~、なんていったら判るかなぁ。あの二人は自信家だよね。それに強情というか、意地っ張りな部分もあると思う。」

 「そうね。だから、貴女に情けをかけられたとか思ってると思うわよ」

 「うん、そうかもね。でもそうなったら、イリスさんは彼らがどうすると思う?」

 イリスは僕から視線を外して、ラベンダーの紫色で染まる大地をみて話しました。

 「そうね。ただ悔しがって終わる二人じゃないから、次は絶対見返してやろうって……、あぁ、そういうことね。」

 「そうなってくれたら良いなとは思うけど、どうかな~。ここで奮起できないようじゃ、次はイリスさんを護るなんていわせないよ? 当てにならない味方はいらないもの♪」

 そう、彼らもまだ10歳です。今まで、親の七光りでおだてられていたけど、自分自身にたいした力が無いと判ったあとどうするかは、彼らしだいです。

 「まあ、僕やイリスさんの信用を一度は裏切ったんだから、相当頑張らないと挽回できないけどね」

 イリスは、呆れたように話します。

 「貴女のそういうところ、アレクシア様に似てきてるわよ?」

 「そんなこというなら、イリスだってリリーさんそっくりじゃないか」

 二人の戯言は続きますが、たまにはこういうのが有ってもいいよね。夕焼けに染まるラベンダー畑を僕らは後にします。
 宿への帰り道、二人でラベンダーの精油を、アレクシアさんとリリーさんにお土産に買いました。まあ、あの二人ならラベンダーの精油の効果も知っているだろうけど、家では見かけたこともないしね。
 忙しい二人の心と身体に少しでも安らぎが訪れてくれるといいなぁ~。

 こうして僕達だけの実習兼小旅行は、平穏とはいえないけど無事に終わりました。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

処理中です...