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2.いつか醒める夢
1.異国の少女
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都市歴156年。僕がアリアによってこの地に降り立たされて、2年が経ちました。あれから2年ってやつですね。始祖四家のウィンター家の養子となって以来、同じ始祖四家のエアリー家の息女イリスと一緒に過ごすことが多いのに変わりはありません。
そして、今日も僕たちは一緒にアレクサンドリア上層階を歩いています。河の中に位置する上層街は、東西の両岸に接続する橋と橋をつなぐ長さ500m程のメインの大通りと、その一本裏通りまでは特に制限なく、国民であれば歩くことができますが、他国の人は入ることができません。2年前からは、東岸地域からもエルフ族もやってくるようになりました。今年は魔法学院にもエルフ族から入学する生徒もいるようです。そんなこともあり、多くの人が通りを行きかいます。僕とイリス、そして護衛のエマ、ジェシーの4人もそんな中の一団で、明日から始まる新学期に使うものの買い出しに来ているのです。
「インクや紙とかは買い終わったし、大通りで買えるものはこんなものかなぁ。」
僕が考えながら口にした言葉に、イリスが答えました。
「そうね。私達の受講する内容では、一般品はあまり使わないし。あとは魔道具に使う属性の魔石とかでしょ? それは魔道具街に行かないと取り扱ってないわよ。」
そうだよね。ここは、一般の国民が使う消耗品や食料を扱っている店が中心ですしね。
「折角だから、なにか食べていく? 最近はイリスさんも忙しくて一緒に出掛けることも少なかったしね。」
イリスは少し考えるといいます。
「仕方ないわね。クロエがどうしてもっていうなら、いいわよ?」
気のせいか、イリスはエマとジェシーがきてからというもの、時々ツンが入ります。デレるときが少ないのはちょっと残念。
僕達は通りに面したカフェに、4人ではいりました。テラスにある2階席から通りを見下ろしながら、『かき氷』を注文します。そう、この店には『かき氷』があるのです。
以前、下層街でつくった牛乳アイスは、生卵を使うのでこの世界では難易度が高いのです。魔法があるといっても、4大精霊を基とした魔法が主流であり、細菌や微生物といってものへの知識が少ないため、殺菌や滅菌といった概念がないせいですね。
それでも、暑い夏の時期に食べることのできる冷たい食べ物が欲しいという、イリスとアレクシアさん、リリーさんの要望に僕が簡単に応じることができたものが、この『かき氷』です。シロップは最初はメープルシロップだけでしたが、最近ではいろいろな果物の果汁を加えたものがバリエーションを増やしています。氷魔法を調理や食材の保存に応用することが研究され、今では魔石を利用した簡易の冷蔵庫まであるんですよ。
炭酸水に同じように果汁等で味付けをした『サイダー』と『かき氷』がこの店の夏の人気商品です。この店は、ウィンター家とエアリー家の共同事業で運営され、『サイダー』と『かき氷』は専売品です。その為多くの人が涼を求めて訪れますが、僕たちは顔パスなので平気です。あとは、魔法学院の生徒も優遇されています。
「暑いときは、冷たい食べ物が一番だね」
僕がそういうと、イリスも頷きます。
「少なくても、この冷たい食べ物はあなたの功績として認めてあげるわ。他はトラブルが多すぎるんですもの。」
むぅ、返す言葉がありませんね。実際、細かい騒動は限りありませんでしたからね。エマとジェシーはレモンとメープルシロップの『サイダー』を飲んでいます。
そうして、4人で色々な話をしながら『かき氷』を食べていると、ふと隣のテーブルが目につきます。テーブル同士はゆったりとした空間に配置されている為、あまり隣の席を気にする必要はないのですが、長い黒髪の12歳位の魔法学院の制服をきた少女と、お供の女性に見覚えがある気がしたのです。
二人はたまにこちらを見ながら、メニューをみていますね。メニューに書いてあるものだけではわかりにくいんでしょうね。
「ねえ、イリスさん。隣のテーブルのお姉さんたちってどこかで会ったことあったっけ?」
僕の問いに、ちらりと隣を見たイリスは答えます。
「多分、生卵をくれたお姉さんじゃないかしら。黒髪の人は多くないし、まっすぐサラサラの髪の人はもっと少ないわよ。」
そうなんですね。というか、イリスよく覚えていますね。2年で彼女も成長して容姿も少し大人びてきてはいます。前世の僕の記憶からすると、アレキサンドリアの人達は西欧系の感じで、イリスも10歳だというのに、黒髪の少女と比べるとやや大人びて見えます。僕や黒髪の少女は、もろに東洋系(というか、日本人に近いですね)なのか、どうしても小柄で同年代の子達に比べても子供子供してしまうのですが……
そのせいで、判るんでしょうか。
「なにか、困ってるように見えるんだけど?」
僕がいうと、イリスはそっけなく答えます。
「同じものを注文したいんでしょうけど、どれかわからないんじゃない? ここ、貴女のせいで、普通に聞かない食べ物の名前多いしね。」
なんだろう、機嫌が悪くなってきてる? いたたまれなくなって、ついつい僕は声をかけてしまいます。
「あの、何かお困りでしょうか?」
声を掛けられた二人は、しばらく問答していましたが、黒髪の少女が意を決したように、同じものを注文したいのだけど、どれを頼んでいいかわからないと答えたので、僕は二人に説明しはじめます。
なぜか更に不機嫌になった気のするイリスと、憐れむような眼で僕を見るエマとジェシーの視線が痛いのは気のせいでしょうか?
*****
その後話をしてみると、彼女たちは僕の事は最初から分かっていたようですね。まあ、僕の髪は目立ちますしね。
彼女の名前は、リン・シャオロンといい、アレキサンドリアの人ではありませんでした。東方の『遼寧』という国の出身で、お付きの女性と少人数で留学という形でアレキサンドリアに来ているそうです。そういえば、2年前はお互い名乗っていませんでしたので、この場で僕とイリス、エマとジェシーも名乗ります。リンと名前呼びで良いということなのでそうさせてもらいます。
リンは、最初から魔法学院に入るために来たのですが、魔法学院はアレキサンドリアでも特殊な学校です。国家公務員を育てるための学校と行っても過言ではありませんしね。その為、他国からの入学希望は断ってきましたが、一部の国々からの強力な要請もあり、受講内容を制限した留学生を受け入れることになったのです。
魔法学院への入学には、まず下層街の他国の子女向けの学校に通って、魔法学院の講義についていけると判断される必要があります。その他に問題となる言動や行動がないと確認されたうえで、やっと入学が可能となり、それには五年の修学が必要なのですが、リンはその編入組の一期生なのですね。
さすがにリンと話が始まると、イリスも機嫌が直ったようで、会話に加わります。エマとジェシー、リンのお付きの女性は無言で飲み物を飲んでいますね。
リン達は大通りを一本外れた、北一番通りに面したアパルトマンに先週越してきて、今日は僕達と同じように学用品の買い出しをしてたとのことです。彼女達のアパルトマンは、魔術学院の正門からすぐの区画で、警備の人達もいて治安がいいといっていましたので安心ですね。
その後6人でいろいろな話をして(時々イリスに足を蹴られたり、話に割り込まれたりしましたが)、部屋に置く小物のようなものを見てみたいというリンを、イリスがお気に入りの店に案内したりと和気あいあいに過ごします。
リン達は他国人ということで、上層街では移動制限があるので、あまりいろいろな場所には行けませんでしたが、無事買い物も終わったようで、僕達にお礼をいって別れます。
魔道具街で買い物をして、ファロス島の居住区への帰り道を歩きながら、僕はイリスに先ほど脚を蹴られたり、話に割り込まれた件を問いました。呆れ顔でイリスが答えます。
「貴女ってホントに時々底抜けに鈍感よね。上層街には、他国人に知られちゃいけない事とか、見せちゃいけないものが沢山あるのよ。電動の昇降機とかは、学院に入ると使うから存在は彼女達も知るでしょうけど、動力がなにかとかは話しちゃいけないの。
おそらく授業も、基礎とかが中心で、私達のような上級講座は受けられないわ。それに、銃やショックガンを使った戦闘系の授業もね。」
「えっ、そうなの。それじゃ留学といってもあまり意味はないんじゃないの?」
僕がそう言うと、イリスはまた機嫌が悪くなりつつあります。
「あのね。なんで他国がここに留学生を送ってきてると思うのよ。こちらは何度も断っているの。共和国には身分制度はないから、貴族の子とかきて問題を起こされても困るしね。子供の喧嘩が国際問題になるようじゃ困るでしょ。
それでも、他国はアレキサンドリアの魔法や魔道具、航海術や医術が知りたいわけ。子供はともかく、お付きの人は密偵の可能性は高いわ。だから下層街の学校で選別したわけよ。うちの国は、3歳から基礎教育を始めるでしょ。他国の人はアレキサンドリアの文字の読み書きはできない人が多いから、そもそも勉強についていけるかどうかもあるしね。
交流のある無しを問わず、下層街の学校にきた他国の子供は、10か国30人に及んだそうよ。でも、身分制度の無い事を理解できない子が10人位いて、すぐに帰国。勉強についていけなくて半数が脱落。そもそも、言葉から覚えるのは厳しいでしょ。母国語と違いすぎて、こちらの3歳からの教育内容を7歳の子が混じってやるのよ?
ようやく5年の課程を卒業したのが結局10人かな。その中で、魔術学院の編入試験に合格したのは3名と聞いてるわ。13歳から入学できる中で、12歳のリンがハンデがある中で合格できたのだから、彼女も見た目通りのおとなしいだけの子じゃないわよ。」
それにね、と続けたイリスの言葉が、この国の現実を表します。
「安全なはずの上層街に、なぜ警備の人がいるのか考えなかった? 警備が見ているのは、彼女達よ。今もどこかで彼女達を監視している人がいたはずよ。もちろん、私達と接触したことも報告されているわよ。
それが、彼女たちにとって良い事とは限らないわ。一応、私達は始祖四家という名を背負っているのだから。」
そして、今日も僕たちは一緒にアレクサンドリア上層階を歩いています。河の中に位置する上層街は、東西の両岸に接続する橋と橋をつなぐ長さ500m程のメインの大通りと、その一本裏通りまでは特に制限なく、国民であれば歩くことができますが、他国の人は入ることができません。2年前からは、東岸地域からもエルフ族もやってくるようになりました。今年は魔法学院にもエルフ族から入学する生徒もいるようです。そんなこともあり、多くの人が通りを行きかいます。僕とイリス、そして護衛のエマ、ジェシーの4人もそんな中の一団で、明日から始まる新学期に使うものの買い出しに来ているのです。
「インクや紙とかは買い終わったし、大通りで買えるものはこんなものかなぁ。」
僕が考えながら口にした言葉に、イリスが答えました。
「そうね。私達の受講する内容では、一般品はあまり使わないし。あとは魔道具に使う属性の魔石とかでしょ? それは魔道具街に行かないと取り扱ってないわよ。」
そうだよね。ここは、一般の国民が使う消耗品や食料を扱っている店が中心ですしね。
「折角だから、なにか食べていく? 最近はイリスさんも忙しくて一緒に出掛けることも少なかったしね。」
イリスは少し考えるといいます。
「仕方ないわね。クロエがどうしてもっていうなら、いいわよ?」
気のせいか、イリスはエマとジェシーがきてからというもの、時々ツンが入ります。デレるときが少ないのはちょっと残念。
僕達は通りに面したカフェに、4人ではいりました。テラスにある2階席から通りを見下ろしながら、『かき氷』を注文します。そう、この店には『かき氷』があるのです。
以前、下層街でつくった牛乳アイスは、生卵を使うのでこの世界では難易度が高いのです。魔法があるといっても、4大精霊を基とした魔法が主流であり、細菌や微生物といってものへの知識が少ないため、殺菌や滅菌といった概念がないせいですね。
それでも、暑い夏の時期に食べることのできる冷たい食べ物が欲しいという、イリスとアレクシアさん、リリーさんの要望に僕が簡単に応じることができたものが、この『かき氷』です。シロップは最初はメープルシロップだけでしたが、最近ではいろいろな果物の果汁を加えたものがバリエーションを増やしています。氷魔法を調理や食材の保存に応用することが研究され、今では魔石を利用した簡易の冷蔵庫まであるんですよ。
炭酸水に同じように果汁等で味付けをした『サイダー』と『かき氷』がこの店の夏の人気商品です。この店は、ウィンター家とエアリー家の共同事業で運営され、『サイダー』と『かき氷』は専売品です。その為多くの人が涼を求めて訪れますが、僕たちは顔パスなので平気です。あとは、魔法学院の生徒も優遇されています。
「暑いときは、冷たい食べ物が一番だね」
僕がそういうと、イリスも頷きます。
「少なくても、この冷たい食べ物はあなたの功績として認めてあげるわ。他はトラブルが多すぎるんですもの。」
むぅ、返す言葉がありませんね。実際、細かい騒動は限りありませんでしたからね。エマとジェシーはレモンとメープルシロップの『サイダー』を飲んでいます。
そうして、4人で色々な話をしながら『かき氷』を食べていると、ふと隣のテーブルが目につきます。テーブル同士はゆったりとした空間に配置されている為、あまり隣の席を気にする必要はないのですが、長い黒髪の12歳位の魔法学院の制服をきた少女と、お供の女性に見覚えがある気がしたのです。
二人はたまにこちらを見ながら、メニューをみていますね。メニューに書いてあるものだけではわかりにくいんでしょうね。
「ねえ、イリスさん。隣のテーブルのお姉さんたちってどこかで会ったことあったっけ?」
僕の問いに、ちらりと隣を見たイリスは答えます。
「多分、生卵をくれたお姉さんじゃないかしら。黒髪の人は多くないし、まっすぐサラサラの髪の人はもっと少ないわよ。」
そうなんですね。というか、イリスよく覚えていますね。2年で彼女も成長して容姿も少し大人びてきてはいます。前世の僕の記憶からすると、アレキサンドリアの人達は西欧系の感じで、イリスも10歳だというのに、黒髪の少女と比べるとやや大人びて見えます。僕や黒髪の少女は、もろに東洋系(というか、日本人に近いですね)なのか、どうしても小柄で同年代の子達に比べても子供子供してしまうのですが……
そのせいで、判るんでしょうか。
「なにか、困ってるように見えるんだけど?」
僕がいうと、イリスはそっけなく答えます。
「同じものを注文したいんでしょうけど、どれかわからないんじゃない? ここ、貴女のせいで、普通に聞かない食べ物の名前多いしね。」
なんだろう、機嫌が悪くなってきてる? いたたまれなくなって、ついつい僕は声をかけてしまいます。
「あの、何かお困りでしょうか?」
声を掛けられた二人は、しばらく問答していましたが、黒髪の少女が意を決したように、同じものを注文したいのだけど、どれを頼んでいいかわからないと答えたので、僕は二人に説明しはじめます。
なぜか更に不機嫌になった気のするイリスと、憐れむような眼で僕を見るエマとジェシーの視線が痛いのは気のせいでしょうか?
*****
その後話をしてみると、彼女たちは僕の事は最初から分かっていたようですね。まあ、僕の髪は目立ちますしね。
彼女の名前は、リン・シャオロンといい、アレキサンドリアの人ではありませんでした。東方の『遼寧』という国の出身で、お付きの女性と少人数で留学という形でアレキサンドリアに来ているそうです。そういえば、2年前はお互い名乗っていませんでしたので、この場で僕とイリス、エマとジェシーも名乗ります。リンと名前呼びで良いということなのでそうさせてもらいます。
リンは、最初から魔法学院に入るために来たのですが、魔法学院はアレキサンドリアでも特殊な学校です。国家公務員を育てるための学校と行っても過言ではありませんしね。その為、他国からの入学希望は断ってきましたが、一部の国々からの強力な要請もあり、受講内容を制限した留学生を受け入れることになったのです。
魔法学院への入学には、まず下層街の他国の子女向けの学校に通って、魔法学院の講義についていけると判断される必要があります。その他に問題となる言動や行動がないと確認されたうえで、やっと入学が可能となり、それには五年の修学が必要なのですが、リンはその編入組の一期生なのですね。
さすがにリンと話が始まると、イリスも機嫌が直ったようで、会話に加わります。エマとジェシー、リンのお付きの女性は無言で飲み物を飲んでいますね。
リン達は大通りを一本外れた、北一番通りに面したアパルトマンに先週越してきて、今日は僕達と同じように学用品の買い出しをしてたとのことです。彼女達のアパルトマンは、魔術学院の正門からすぐの区画で、警備の人達もいて治安がいいといっていましたので安心ですね。
その後6人でいろいろな話をして(時々イリスに足を蹴られたり、話に割り込まれたりしましたが)、部屋に置く小物のようなものを見てみたいというリンを、イリスがお気に入りの店に案内したりと和気あいあいに過ごします。
リン達は他国人ということで、上層街では移動制限があるので、あまりいろいろな場所には行けませんでしたが、無事買い物も終わったようで、僕達にお礼をいって別れます。
魔道具街で買い物をして、ファロス島の居住区への帰り道を歩きながら、僕はイリスに先ほど脚を蹴られたり、話に割り込まれた件を問いました。呆れ顔でイリスが答えます。
「貴女ってホントに時々底抜けに鈍感よね。上層街には、他国人に知られちゃいけない事とか、見せちゃいけないものが沢山あるのよ。電動の昇降機とかは、学院に入ると使うから存在は彼女達も知るでしょうけど、動力がなにかとかは話しちゃいけないの。
おそらく授業も、基礎とかが中心で、私達のような上級講座は受けられないわ。それに、銃やショックガンを使った戦闘系の授業もね。」
「えっ、そうなの。それじゃ留学といってもあまり意味はないんじゃないの?」
僕がそう言うと、イリスはまた機嫌が悪くなりつつあります。
「あのね。なんで他国がここに留学生を送ってきてると思うのよ。こちらは何度も断っているの。共和国には身分制度はないから、貴族の子とかきて問題を起こされても困るしね。子供の喧嘩が国際問題になるようじゃ困るでしょ。
それでも、他国はアレキサンドリアの魔法や魔道具、航海術や医術が知りたいわけ。子供はともかく、お付きの人は密偵の可能性は高いわ。だから下層街の学校で選別したわけよ。うちの国は、3歳から基礎教育を始めるでしょ。他国の人はアレキサンドリアの文字の読み書きはできない人が多いから、そもそも勉強についていけるかどうかもあるしね。
交流のある無しを問わず、下層街の学校にきた他国の子供は、10か国30人に及んだそうよ。でも、身分制度の無い事を理解できない子が10人位いて、すぐに帰国。勉強についていけなくて半数が脱落。そもそも、言葉から覚えるのは厳しいでしょ。母国語と違いすぎて、こちらの3歳からの教育内容を7歳の子が混じってやるのよ?
ようやく5年の課程を卒業したのが結局10人かな。その中で、魔術学院の編入試験に合格したのは3名と聞いてるわ。13歳から入学できる中で、12歳のリンがハンデがある中で合格できたのだから、彼女も見た目通りのおとなしいだけの子じゃないわよ。」
それにね、と続けたイリスの言葉が、この国の現実を表します。
「安全なはずの上層街に、なぜ警備の人がいるのか考えなかった? 警備が見ているのは、彼女達よ。今もどこかで彼女達を監視している人がいたはずよ。もちろん、私達と接触したことも報告されているわよ。
それが、彼女たちにとって良い事とは限らないわ。一応、私達は始祖四家という名を背負っているのだから。」
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