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3.帝政エリクシア偵察録
3.ソフィアと……
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ソフィアさんに色々と話を聞いているうちに、日が陰ってきましたね。夏場とはいえ、そろそろ食事の準備等をしなければ行けないでしょう。そういえば、ソフィアさんは此処に一人で居るのでしょうか?
そう考えていたら、教会の正面ドアが少し開いて、数人の子供達が入ってきました。
「ソフィア姉ちゃん、ただいま~」
「あれ、今日は別な人が居るよ。珍しいね~」
口々に騒ぎながらやってきますが、近くまできて更に大騒ぎになりました。
「「「「「わぁ、兎のお兄ちゃんだ~!」」」」」
うんうん、お姉ちゃんとばれなくて良かった……んですよね。ソフィアさんも黙ったまま何も言いません。
「あの、ソフィアさん? この子達は……」
「ああ、この子達はうちの子ですよ。さぁ、みんな夕食を作りますよ~。」
ソフィアさんは立ち上がると、裏の方に皆で歩いていきます。じゃあ、僕はそろそろお暇しようかというと、子供達が騒ぎ出します。結局僕はこの日、この教会に泊まる事になりましたが、なんか微妙ですね。僕もアレクシアさんに拾われなければ、どこかの教会で孤児として暮らしていたのかもしれないと思うと、不思議な感じです。
しばらく待っていると、ソフィアさんに呼ばれたので、礼拝堂の裏の居住区画の一室に案内されました。正直食事は粗末といって良い物でしたが、そこまで極端に酷いわけでもありません。僕は子供達に村で買ったパンを提供すると、大喜びしてくれました。
その後も旅のお話とか、兎人族の事を聞かれますが、スイマセン。僕は兎人族ではないし、旅も今日から始めたばかりです。アレキサンドリアの話をするのは、まずい気がしますので困っていると、ソフィアさんが『今日はお兄ちゃんは疲れているから明日にしてね』という言葉で、みんな諦めておとなしく部屋へと戻っていきました。
ソフィアさんに聞くと、子供達は早朝から牧場で色々お手伝いをしていて、大変らしく直ぐに眠ってしまうとのことです。僕は聞いていいのか悪いのか、悩みながらもソフィアさんに尋ねました。会ってからもソフィアさんは祈りを捧げている訳でもありませんし、食事は子供達がもって帰ってきた食材で作っています。なんか、ソフィアさんが子供に養ってもらっているような……
「……私は修道女の服は着ていますが、正式に修道女ではありません。私は、この子達に育てられた後ここの神父様に拾われましたが、神父様はなくなっています。街の人達は私を怖がっているので、私は村に行くことは出来ないのです。」
ソフィアさんは、この子達と言った時2頭の狼をなでながら言いましたし、いまも2頭の狼を絶賛もふり中です。ってことは、狼少年ならぬ狼少女ですか!
話を聞くと、実際には彼女が5歳の時、両親が盗賊に襲われたのち、2頭の狼と出会い数日一緒に居ただけらしいのです。狼が彼女を襲わない事や、ある程度意思疎通できているような雰囲気もあった為、狼少女にされてしまったらしいのです。
どうやら、彼女の両親が残した遺産目当ての親類もあって、人間としての彼女は死んだ事にしておきたかったようですね。
結局彼女は教会の神父に引き取られ、生活をしていましたが、その間に2頭の狼はこの近辺を縄張りとする狼やコボルト達の頂点に君臨してしまったようです。
彼女達の食事や衣類など(僅かなものですが)を、交代で負担してくれる人の牧場は何故か狼やコボルト族に教われず、それをしない人の牧場だけが襲われる状態に、街の人々は彼女を恐れてしまっているようですね。
深夜になり、ソフィアさんが眠ってしまうと、僕は礼拝堂に移動してみます。そこでは、2頭の狼が座って月を見ていました。
「さて、僕には君達がただの狼に見えないんだけど……」
不思議な事に、僕も彼らに恐怖を感じません。森の中で出会ったコボルト族や灰色小狼には、多少なりと恐怖があったのですがね。
『ふっ、直ぐに気づかんようではまだまだのようだな。』
『意図的に力を抑えているようですからね。そうそう虐めるのはお止めなさいよ。』
ぐふっ、まさか本気で狼でないとは思わなかったですよ。数日とはいえ、狼が子供の傍を離れないでいたなんて、怪しすぎますしたしね。
「……君達は精霊? 聖獣なのかな? ソフィアさんを守っているの?」
これじゃぁ傍からみると、狼相手に独り言を言っている怪しい兎人族という事になりますね。
『質問の多い奴だな。まあ、前半は当たりで、後半はは外れだ。我々は人を守護する者に非ず。強いて言えば、森林の調停者だ。人が必要以上に森を侵さねば、我々も何もせん。今回は偶々我々の意志とあの娘の存在が、かみ合ったに過ぎん。』
はぁ、さすが精霊?様ですね。エルフ族の精霊樹様ではないのですから、特定の人を守護する事はないのでしょうけど。僕は思わず、黒狼をジト目で見てしまいます。
『フフッ、余り苛めると管理神様に叱られますわよ。程々になさいな。』
白狼さんは、幾らか話が通じますね。管理神様って誰と聞こうと思いましたが、心当たりは一人しか居ませんね。
『私達は確かにあの子を見ていますが、それもあと僅かの事でしょう。彼女も十分大きくなりましたし、この森もアレキサンドリアが落ちれば消滅する運命ですもの。』
僕は少し驚きました。ここはエリクシアの属領ですからね。アレキサンドリアの動向がここの森に影響を与えるとは思っていませんでしたよ。驚いている僕を見て、黒狼さんが笑います。
『くくくっ、エリクシアの連中が欲しているのは船の建材だ。敵国近くや属領に最新の造船所など作るわけがあるまい。作るなら完全に制圧した後ということだ。遠方から木材を運ぶ手間を考えれば、この山は奴らには魅力的であろう。そうなる前に、恐らく邪魔な我々とあの娘を狙ってくるだろうな。』
『私達は人間の手で死ぬ事はありませんが、あの子は子供達がいる限り逃げないでしょうね。子供達を人質にとられればあの子はその場に赴くでしょう。そして、その場で捉えられて魔女として死ぬのが運命。あとは山野のコボルト族と灰色小狼との争いです。銃なる武器を使われれば、彼らも勝ち目はありますまい。』
……白狼さんは割りと現実的ですね。ソフィアさんが死ぬ前提の話ですか。
『なにを驚いているのだ? 人など長くて50年程度しか生きられぬ。己と同じ樹齢の樹を平気で殺し、植物・動物・魔物・魔獣を自らの都合で殺すくせに、人が死ぬのは悲しいというのか?』
『それに、ソフィアも所詮エリクシアの民。アレキサンドリアと争う国の国民に過ぎませんよ。この先も、会う人間全ての未来を案じる気ですか? 案じた人間と、戦場で遭遇した時、むざむざ殺されるつもりも無いでしょうに。貴女が大切に思っている者達を殺しに来た人間に。』
……言われている事は事実なんですけどね。なにか釈然としませんよ。確かにそうかもしれませんね。僕は元凶の1つは無茶をいう宗教関係者だと目星はつけていましたし、王族や諸侯も元凶の1つでしょう。頭を潰せば問題は無くなると思っていたのは、少し単純な考え方なのかも知れません。
意味深に僕を見つめる2頭の狼から、僕は視線を逸らすしか有りませんでした。少なくても、現時点で僕は彼らに返す答えを持っていないのですから……
*****
翌日、僕は朝出かける子供達を見送った後、ソフィアさんに今日旅を続ける為に出発すると伝えます。子供達が旅の話を聞きたがるでしょうが、まだ僕はお話できるモノがありませんしね。
幸い、ソフィアさんはアレキサンドリアの言葉は何とか読めるとの事です。両親が商人さんでしたし、この辺の土地はまだアレキサンドリアと個人的に交易を行っている商人さんもいるみたいです。
子供達用に、退屈しのぎ用に何冊か買っておいた絵本をソフィアさんに渡し、持っていた食材で夕飯のおかずを作っておきます。そうそう、ソフィアさんにつまみ食いし過ぎない様に言っておかないとですね。
なんだかんだ言って、ソフィアさんは夕食はあまり食べていませんでしたし、教会裏手の畑で作れるものではお腹が膨れないでしょうしね。
2頭の狼さんには、昨日お店で買った生肉を、夕飯で使った分を除いて提供します。食事を提供した分くらいは、ソフィアさんと子供達を守ってくれるようにお願いした事は言うまでもありません。ああ、FC1に戻ったらウサミミカチューシャはしまっておかないといけませんね。目立たないようにするつもりの道具で、かえって目立ってしまっては意味がありません。そうそう、あのお兄さんのお店で、また食材を仕入れないといけませんね。多少なりと心配していたら申し訳ないですし。買い物が終わったら、夕方には次の街に移動しましょうね。こうして僕のエリクシアでの一日目は、考えさせられる事ばかりで終了しました。
そう考えていたら、教会の正面ドアが少し開いて、数人の子供達が入ってきました。
「ソフィア姉ちゃん、ただいま~」
「あれ、今日は別な人が居るよ。珍しいね~」
口々に騒ぎながらやってきますが、近くまできて更に大騒ぎになりました。
「「「「「わぁ、兎のお兄ちゃんだ~!」」」」」
うんうん、お姉ちゃんとばれなくて良かった……んですよね。ソフィアさんも黙ったまま何も言いません。
「あの、ソフィアさん? この子達は……」
「ああ、この子達はうちの子ですよ。さぁ、みんな夕食を作りますよ~。」
ソフィアさんは立ち上がると、裏の方に皆で歩いていきます。じゃあ、僕はそろそろお暇しようかというと、子供達が騒ぎ出します。結局僕はこの日、この教会に泊まる事になりましたが、なんか微妙ですね。僕もアレクシアさんに拾われなければ、どこかの教会で孤児として暮らしていたのかもしれないと思うと、不思議な感じです。
しばらく待っていると、ソフィアさんに呼ばれたので、礼拝堂の裏の居住区画の一室に案内されました。正直食事は粗末といって良い物でしたが、そこまで極端に酷いわけでもありません。僕は子供達に村で買ったパンを提供すると、大喜びしてくれました。
その後も旅のお話とか、兎人族の事を聞かれますが、スイマセン。僕は兎人族ではないし、旅も今日から始めたばかりです。アレキサンドリアの話をするのは、まずい気がしますので困っていると、ソフィアさんが『今日はお兄ちゃんは疲れているから明日にしてね』という言葉で、みんな諦めておとなしく部屋へと戻っていきました。
ソフィアさんに聞くと、子供達は早朝から牧場で色々お手伝いをしていて、大変らしく直ぐに眠ってしまうとのことです。僕は聞いていいのか悪いのか、悩みながらもソフィアさんに尋ねました。会ってからもソフィアさんは祈りを捧げている訳でもありませんし、食事は子供達がもって帰ってきた食材で作っています。なんか、ソフィアさんが子供に養ってもらっているような……
「……私は修道女の服は着ていますが、正式に修道女ではありません。私は、この子達に育てられた後ここの神父様に拾われましたが、神父様はなくなっています。街の人達は私を怖がっているので、私は村に行くことは出来ないのです。」
ソフィアさんは、この子達と言った時2頭の狼をなでながら言いましたし、いまも2頭の狼を絶賛もふり中です。ってことは、狼少年ならぬ狼少女ですか!
話を聞くと、実際には彼女が5歳の時、両親が盗賊に襲われたのち、2頭の狼と出会い数日一緒に居ただけらしいのです。狼が彼女を襲わない事や、ある程度意思疎通できているような雰囲気もあった為、狼少女にされてしまったらしいのです。
どうやら、彼女の両親が残した遺産目当ての親類もあって、人間としての彼女は死んだ事にしておきたかったようですね。
結局彼女は教会の神父に引き取られ、生活をしていましたが、その間に2頭の狼はこの近辺を縄張りとする狼やコボルト達の頂点に君臨してしまったようです。
彼女達の食事や衣類など(僅かなものですが)を、交代で負担してくれる人の牧場は何故か狼やコボルト族に教われず、それをしない人の牧場だけが襲われる状態に、街の人々は彼女を恐れてしまっているようですね。
深夜になり、ソフィアさんが眠ってしまうと、僕は礼拝堂に移動してみます。そこでは、2頭の狼が座って月を見ていました。
「さて、僕には君達がただの狼に見えないんだけど……」
不思議な事に、僕も彼らに恐怖を感じません。森の中で出会ったコボルト族や灰色小狼には、多少なりと恐怖があったのですがね。
『ふっ、直ぐに気づかんようではまだまだのようだな。』
『意図的に力を抑えているようですからね。そうそう虐めるのはお止めなさいよ。』
ぐふっ、まさか本気で狼でないとは思わなかったですよ。数日とはいえ、狼が子供の傍を離れないでいたなんて、怪しすぎますしたしね。
「……君達は精霊? 聖獣なのかな? ソフィアさんを守っているの?」
これじゃぁ傍からみると、狼相手に独り言を言っている怪しい兎人族という事になりますね。
『質問の多い奴だな。まあ、前半は当たりで、後半はは外れだ。我々は人を守護する者に非ず。強いて言えば、森林の調停者だ。人が必要以上に森を侵さねば、我々も何もせん。今回は偶々我々の意志とあの娘の存在が、かみ合ったに過ぎん。』
はぁ、さすが精霊?様ですね。エルフ族の精霊樹様ではないのですから、特定の人を守護する事はないのでしょうけど。僕は思わず、黒狼をジト目で見てしまいます。
『フフッ、余り苛めると管理神様に叱られますわよ。程々になさいな。』
白狼さんは、幾らか話が通じますね。管理神様って誰と聞こうと思いましたが、心当たりは一人しか居ませんね。
『私達は確かにあの子を見ていますが、それもあと僅かの事でしょう。彼女も十分大きくなりましたし、この森もアレキサンドリアが落ちれば消滅する運命ですもの。』
僕は少し驚きました。ここはエリクシアの属領ですからね。アレキサンドリアの動向がここの森に影響を与えるとは思っていませんでしたよ。驚いている僕を見て、黒狼さんが笑います。
『くくくっ、エリクシアの連中が欲しているのは船の建材だ。敵国近くや属領に最新の造船所など作るわけがあるまい。作るなら完全に制圧した後ということだ。遠方から木材を運ぶ手間を考えれば、この山は奴らには魅力的であろう。そうなる前に、恐らく邪魔な我々とあの娘を狙ってくるだろうな。』
『私達は人間の手で死ぬ事はありませんが、あの子は子供達がいる限り逃げないでしょうね。子供達を人質にとられればあの子はその場に赴くでしょう。そして、その場で捉えられて魔女として死ぬのが運命。あとは山野のコボルト族と灰色小狼との争いです。銃なる武器を使われれば、彼らも勝ち目はありますまい。』
……白狼さんは割りと現実的ですね。ソフィアさんが死ぬ前提の話ですか。
『なにを驚いているのだ? 人など長くて50年程度しか生きられぬ。己と同じ樹齢の樹を平気で殺し、植物・動物・魔物・魔獣を自らの都合で殺すくせに、人が死ぬのは悲しいというのか?』
『それに、ソフィアも所詮エリクシアの民。アレキサンドリアと争う国の国民に過ぎませんよ。この先も、会う人間全ての未来を案じる気ですか? 案じた人間と、戦場で遭遇した時、むざむざ殺されるつもりも無いでしょうに。貴女が大切に思っている者達を殺しに来た人間に。』
……言われている事は事実なんですけどね。なにか釈然としませんよ。確かにそうかもしれませんね。僕は元凶の1つは無茶をいう宗教関係者だと目星はつけていましたし、王族や諸侯も元凶の1つでしょう。頭を潰せば問題は無くなると思っていたのは、少し単純な考え方なのかも知れません。
意味深に僕を見つめる2頭の狼から、僕は視線を逸らすしか有りませんでした。少なくても、現時点で僕は彼らに返す答えを持っていないのですから……
*****
翌日、僕は朝出かける子供達を見送った後、ソフィアさんに今日旅を続ける為に出発すると伝えます。子供達が旅の話を聞きたがるでしょうが、まだ僕はお話できるモノがありませんしね。
幸い、ソフィアさんはアレキサンドリアの言葉は何とか読めるとの事です。両親が商人さんでしたし、この辺の土地はまだアレキサンドリアと個人的に交易を行っている商人さんもいるみたいです。
子供達用に、退屈しのぎ用に何冊か買っておいた絵本をソフィアさんに渡し、持っていた食材で夕飯のおかずを作っておきます。そうそう、ソフィアさんにつまみ食いし過ぎない様に言っておかないとですね。
なんだかんだ言って、ソフィアさんは夕食はあまり食べていませんでしたし、教会裏手の畑で作れるものではお腹が膨れないでしょうしね。
2頭の狼さんには、昨日お店で買った生肉を、夕飯で使った分を除いて提供します。食事を提供した分くらいは、ソフィアさんと子供達を守ってくれるようにお願いした事は言うまでもありません。ああ、FC1に戻ったらウサミミカチューシャはしまっておかないといけませんね。目立たないようにするつもりの道具で、かえって目立ってしまっては意味がありません。そうそう、あのお兄さんのお店で、また食材を仕入れないといけませんね。多少なりと心配していたら申し訳ないですし。買い物が終わったら、夕方には次の街に移動しましょうね。こうして僕のエリクシアでの一日目は、考えさせられる事ばかりで終了しました。
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