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4.アレキサンドライトの輝き
20.珍入者?!
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時刻が15時を過ぎて、春の日差しも僅かに残る冬の残滓に撤退を始めた頃、2台の馬車を先頭に、クラウディウス公爵家の一行が到着しました。
貴族家の馬車は、両脇に貴族家固有の紋章が入っていますので、間違える事はありませんし、貴族家の馬車の通行を妨げるような命知らずはいませんね。
到着の少し前に、宿の女中さんから、「暫くの間、窓を閉め切るように」言われていました。見下ろされたとお怒りになる一部の貴族がいることもありますので、用心にということですね。
暫く後に、フローラ嬢から事前協議に会議室にお集まり下さいとの伝言がありましたので、僕達6人と一匹は案内された応接室に行くことにします。辺境とはいえ、貴族家も宿泊する宿ですので、応接室などは用意されているようですね。
室内に入ると、長方形のテーブルの向こう、部屋の奥側にフローラ嬢が座っています。左手の一番奥の席には、護衛隊長らしき30代の逞しい身体つきをした男性が座っています。その席の両脇には副官さんと副隊長さんかな? それらしい男女が佇んでいます。
僕達は指示通りに、テーブルの右奥から着席していきますが……、イリスさんは何故先頭なのでしょうね? 僕は構いませんが、それならいっそリーダーもお願いしたいなぁと思ってしまいます。
なんとなく釈然としないまま、二番目の席に座りますが、変に落ち着きがいいと思えば、学院での席次の順だからですね。妙に安定感があるのはそのせいで、イリスさんもそれで先頭に座ったのでしょう。
僕達が着席したのを確認すると、副隊長さんらしき人が部屋を出て行きました。聞こえてきた話ですと、明日の朝までの休息と任務に差支えが出るような深酒の禁止などを伝えにいったのでしょう。
長旅のせいか、多少疲れた様子のフローラ嬢は、僕達をみて優しげな表情を浮かべました。
「みなさんのお陰で、漸く復興に向けた活動が出来る事に感謝します。まずは、ご紹介をしましょう」
そういって、傍らの隊長さんらしき人を見て言いました。
「この方は護衛隊長のヴェルンハルト卿です。今回の第一軍の指揮とわたくし達の護衛をお願いしています」
フローラさんの紹介に、僕達を軽く見やりつつ挨拶して下さいます。
「指揮官のヴェルンハルトだ。此度の護衛を任されている」
それだけを言うと黙ってしまいました。フローラさんも苦笑していますから、この方は普段からこうなのでしょうね。
「そして、副官のシュテラ殿です。部隊に用事がある場合は彼女を通すと良いでしょう」
そう紹介されたのが、ヴェルンハルトさんの背後に直立している、茶色い髪を腰まで伸ばしたかわいい感じのお姉さんです。
「シュテラ・ウルバッハなのです。ヴェルンハルト卿の副官を拝命しております。よろしくお願いしますのです。」
えっと、軍人さんっぽいような見た目とかなりギャップが激しいお姉さんですね。ユーリアちゃんも少し怪訝な目で見ています。
フローラさんから引き続き僕達の紹介があり、僕達もそれぞれ名乗り一礼します。パーティー名である『アレキサンドライト』の名前を聞いた時、ヴェルンハルトさんの視線が一瞬険しくなったようですが、特に言葉は有りませんでした。
その後は明日以後の隊列などの実務的なお話でしたが、シュテラさんの提案してきた隊列は、フローラさんの馬車と僕達&聖職者等を中心に護衛部隊を二分して前後につけ、最前列に護衛に雇ったハンターを置くモノでした。通常の護衛任務であればそれで万全でしょうが、今回はそれでは意味がありません。
僕はフローラさんの許可を貰い発言します。
「今回は拠点となる街の確保と、物資を流通させる為の街道の安全と浄化が主目的となります。特に、『ウナ・コリナ』まではその方法を聖職者や魔法使いの方々に学んでいただかねばなりません。」
そうして説明したのは、僕達が先頭に立ち、後続に聖職者・魔法使い組みが続き、後方に馬車と兵士の皆さん、雇ったハンターを配置する案です。ハンターの皆さんに手の内をあかしたくないということもありますしね。
当初は難色を示していたシュテラさんでしたが、街道上ではネズミと蚤の駆除が主となることを伝え、剣や槍では相手に出来ないモノだとわかると、ヴェルンハルトさんの了承を受けて納得していただけました。
しかし、ここでフローラさんから意見があり、僕達の直ぐ後方に、信頼できるハンターさんを2名置く事になりました。エリーゼさんの信頼も有る方々だというので、仕方ありませんね。すでに護衛以外の兵や同行するハンターさんも別な宿に宿泊しているとの事ですので、待つ必要のないようですから、それで決定となりました。
打ち合わせも終り、ヴェルンハルトさん達が兵士達の泊まる宿屋へと引き上げた後に、そのまま応接室での食事となりました。信頼できるというハンターさんも、間も無くこちらに見える予定だというので、7人でお茶を飲みながら待っていると、不意に外が騒がしくなります。
咄嗟に僕達は、エリーゼさんを一番奥にして、左右をイリスさんとユイが固めます。その正面にユーリアちゃんが位置取り、僕とエマ&ジェシーは前方を固めます。もちろん誰もまだ武器は取り出していませんよ?
護衛隊形をとった僕達でしたが、直後入り口の扉が音高く開かれます。
宿の従業員を押しのけて、ずかずかと中に入ってきたのは1人の男でした。男は、僕達の背後にいるフローラさんを確認すると、破顔していいました。
「よう、フローラ嬢、久しいな。俺だ、お前の愛しき『バスティアン』が遠路はるばる会いに来てやったぜ」
……思わず僕達は振り返りフローラさんの顔を見つめてしまいました。エマ&ジェシーは、勿論振り返りませんよ?
「……どなたですの?」
イリスさんがフローラさんに尋ねますが、その表情はなにか面白がってますね? ユイも興味深そうにフローラさんを見ていますし、フローラさんは右手で顔を覆いながらも、親指でこめかみをぐりぐり揉み解していますね。その間もバスティアンと名乗った男は色々話していますが、誰も聞いてません。
「フローラ、今回は頼みがあってきたのさ。明日の西部属領行きに、俺も同行させてくれよ。
なに、西部属領に入れさえすれば、俺ならすぐに豊かな領地運営ができるぜ。そうすれば俺もまた貴族の一員だ。お前も侍女のような気に染まぬ仕事をすることもないんだ。俺がすぐに誰にも負けないような貴婦人にしてやるよ。だから頼むって、なぁ」
バスティアンと名乗った男もそうですが、宿の従業員の方もどうしましょうといった顔でフローラさんを見つめています。
「……そのような方は存じません。外につまみ出して下さい」
ついにフローラさんがその言葉を口に出し、バスティアンと名乗る男を外に連れ出そうと押し合いが始まりました。それにしても、顔はそこそこ良いのに、身体はがっちり系とした感じですが、そんなに鍛えている様子はありませんね。それでも、従業員さん3人と力比べ的なことになっているのだから、そこそこに腕力はあるのでしょうか?
僕達も気が抜けて、エマ&ジェシー意外は呆然とその押し合いを見ていました。そんな押し合い状況の脇を二人の男女がすり抜けてきたのを、僕達は気が付きませんでした。
『ドスッ』っと音がして、バスティアンの身体が前に崩れました。その前に、中肉中背で黒髪の後ろ姿が見えます。どうやら、黒髪の男が手刀で意識を刈り取ったようですね。
その隣には、杖の頭に拳大の水晶球と六芒星をあしらった長大な杖持った、20代前半に見えるローブ姿の細身の女性が立っています。
女性は僕達の背後に居るフローラさんを見つけると、晴れやかな笑顔をみせました。
「お久しぶりやね、フローラちゃん。今日は、えらいかわいい花に囲まれてるなぁ」
……何故に関西弁?! 僕の頭は疑問符で埋め尽くされそうになりましたが、イリスさんが小さく呟いた言葉で納得しました。
「ひどい方言ね。何処の女性なのかしら?」
どうやら、エリクシア語の中でも特殊な方言の様ですね。それが僕の頭の中では、似非関西弁に変換されているようですね。
バスティアンが室外に引き摺り出され、代わりに先程の男女二人が入ってきます。フローラさんは、僕達に席に戻るようにいいながら、言葉を綴ります。
「……えっと、まず暫くは今の事は忘れて下さいね。まずはお二人をご紹介しますね」
そう言って紹介してくださったのですが、男性の名前は『アーネスト』さん、女性の名前は『シャルロット』さんというらしいですね。
「こんにちわ、うちの名前はシャルロットいいます。シャルと呼んでくれて構へんよ。これは、アーネスト言います。無口な奴やさかい、そこは気にせえへんといて」
シャルさんに『これ』呼ばわりされたアーネストさんは、中肉中背で黒髪に茶色の瞳をした、30代半ばの厳つい顔をした叔父様ですね。今は街中だからなのか、腰に短い片刃の剣を佩いています。剣は剣帯を通さず腰帯に挟んでいます。
僕達もそれぞれ挨拶すると、ぽつりと「……宜しく」とだけ呟きます。そんな、アーネストさんを見ながら、シャルさんはけらけら笑いますが、ホントに賑やかな人ですね。
フローラさんのお話では、お二人は『ルース・ダ・ルーア』というパーティー名で活動していて、北部ではかなり有名なレベルBのハンターさんなのだそうです。
時折、クラウディウス公爵家より非合法ではないけれど、余り表ざたにしたくない場合に指名依頼をしているようで、腕前や秘密の厳守は安心していいですよと言われます。
「それで、あんた達が『アレキサンドライト』の面々なのやね。噂は聞いてるけど、こないなかわいいお嬢さん方とは思てまへんやったで」
そう言いながら、シャルさんは僕達に軽くウィンクします。むぅ、所作はいかにも大人の女性なのに、発言が似非関西弁のせいか、良い意味で幼く感じるんですよね。今も右手に持ったワイングラスがとても様になっています。
「私達の噂ですか? 私達はパーティを組んでまだ間もないので、余り噂になるような事は少ないと思いますけど?」
ユイが首を傾げながら呟くと、シャルさんは右手をパタパタ振りながら話します。
「冗談ちゃうで? アレキサンドリアのギルドで、やらかしたやろ。こっちのギルド職員の間でも、語り草になってんで?」
げっ、アレキサンドリアでの事はこちらには伝わらないと思っていたのに、変な所だけ伝わるんですね……
貴族家の馬車は、両脇に貴族家固有の紋章が入っていますので、間違える事はありませんし、貴族家の馬車の通行を妨げるような命知らずはいませんね。
到着の少し前に、宿の女中さんから、「暫くの間、窓を閉め切るように」言われていました。見下ろされたとお怒りになる一部の貴族がいることもありますので、用心にということですね。
暫く後に、フローラ嬢から事前協議に会議室にお集まり下さいとの伝言がありましたので、僕達6人と一匹は案内された応接室に行くことにします。辺境とはいえ、貴族家も宿泊する宿ですので、応接室などは用意されているようですね。
室内に入ると、長方形のテーブルの向こう、部屋の奥側にフローラ嬢が座っています。左手の一番奥の席には、護衛隊長らしき30代の逞しい身体つきをした男性が座っています。その席の両脇には副官さんと副隊長さんかな? それらしい男女が佇んでいます。
僕達は指示通りに、テーブルの右奥から着席していきますが……、イリスさんは何故先頭なのでしょうね? 僕は構いませんが、それならいっそリーダーもお願いしたいなぁと思ってしまいます。
なんとなく釈然としないまま、二番目の席に座りますが、変に落ち着きがいいと思えば、学院での席次の順だからですね。妙に安定感があるのはそのせいで、イリスさんもそれで先頭に座ったのでしょう。
僕達が着席したのを確認すると、副隊長さんらしき人が部屋を出て行きました。聞こえてきた話ですと、明日の朝までの休息と任務に差支えが出るような深酒の禁止などを伝えにいったのでしょう。
長旅のせいか、多少疲れた様子のフローラ嬢は、僕達をみて優しげな表情を浮かべました。
「みなさんのお陰で、漸く復興に向けた活動が出来る事に感謝します。まずは、ご紹介をしましょう」
そういって、傍らの隊長さんらしき人を見て言いました。
「この方は護衛隊長のヴェルンハルト卿です。今回の第一軍の指揮とわたくし達の護衛をお願いしています」
フローラさんの紹介に、僕達を軽く見やりつつ挨拶して下さいます。
「指揮官のヴェルンハルトだ。此度の護衛を任されている」
それだけを言うと黙ってしまいました。フローラさんも苦笑していますから、この方は普段からこうなのでしょうね。
「そして、副官のシュテラ殿です。部隊に用事がある場合は彼女を通すと良いでしょう」
そう紹介されたのが、ヴェルンハルトさんの背後に直立している、茶色い髪を腰まで伸ばしたかわいい感じのお姉さんです。
「シュテラ・ウルバッハなのです。ヴェルンハルト卿の副官を拝命しております。よろしくお願いしますのです。」
えっと、軍人さんっぽいような見た目とかなりギャップが激しいお姉さんですね。ユーリアちゃんも少し怪訝な目で見ています。
フローラさんから引き続き僕達の紹介があり、僕達もそれぞれ名乗り一礼します。パーティー名である『アレキサンドライト』の名前を聞いた時、ヴェルンハルトさんの視線が一瞬険しくなったようですが、特に言葉は有りませんでした。
その後は明日以後の隊列などの実務的なお話でしたが、シュテラさんの提案してきた隊列は、フローラさんの馬車と僕達&聖職者等を中心に護衛部隊を二分して前後につけ、最前列に護衛に雇ったハンターを置くモノでした。通常の護衛任務であればそれで万全でしょうが、今回はそれでは意味がありません。
僕はフローラさんの許可を貰い発言します。
「今回は拠点となる街の確保と、物資を流通させる為の街道の安全と浄化が主目的となります。特に、『ウナ・コリナ』まではその方法を聖職者や魔法使いの方々に学んでいただかねばなりません。」
そうして説明したのは、僕達が先頭に立ち、後続に聖職者・魔法使い組みが続き、後方に馬車と兵士の皆さん、雇ったハンターを配置する案です。ハンターの皆さんに手の内をあかしたくないということもありますしね。
当初は難色を示していたシュテラさんでしたが、街道上ではネズミと蚤の駆除が主となることを伝え、剣や槍では相手に出来ないモノだとわかると、ヴェルンハルトさんの了承を受けて納得していただけました。
しかし、ここでフローラさんから意見があり、僕達の直ぐ後方に、信頼できるハンターさんを2名置く事になりました。エリーゼさんの信頼も有る方々だというので、仕方ありませんね。すでに護衛以外の兵や同行するハンターさんも別な宿に宿泊しているとの事ですので、待つ必要のないようですから、それで決定となりました。
打ち合わせも終り、ヴェルンハルトさん達が兵士達の泊まる宿屋へと引き上げた後に、そのまま応接室での食事となりました。信頼できるというハンターさんも、間も無くこちらに見える予定だというので、7人でお茶を飲みながら待っていると、不意に外が騒がしくなります。
咄嗟に僕達は、エリーゼさんを一番奥にして、左右をイリスさんとユイが固めます。その正面にユーリアちゃんが位置取り、僕とエマ&ジェシーは前方を固めます。もちろん誰もまだ武器は取り出していませんよ?
護衛隊形をとった僕達でしたが、直後入り口の扉が音高く開かれます。
宿の従業員を押しのけて、ずかずかと中に入ってきたのは1人の男でした。男は、僕達の背後にいるフローラさんを確認すると、破顔していいました。
「よう、フローラ嬢、久しいな。俺だ、お前の愛しき『バスティアン』が遠路はるばる会いに来てやったぜ」
……思わず僕達は振り返りフローラさんの顔を見つめてしまいました。エマ&ジェシーは、勿論振り返りませんよ?
「……どなたですの?」
イリスさんがフローラさんに尋ねますが、その表情はなにか面白がってますね? ユイも興味深そうにフローラさんを見ていますし、フローラさんは右手で顔を覆いながらも、親指でこめかみをぐりぐり揉み解していますね。その間もバスティアンと名乗った男は色々話していますが、誰も聞いてません。
「フローラ、今回は頼みがあってきたのさ。明日の西部属領行きに、俺も同行させてくれよ。
なに、西部属領に入れさえすれば、俺ならすぐに豊かな領地運営ができるぜ。そうすれば俺もまた貴族の一員だ。お前も侍女のような気に染まぬ仕事をすることもないんだ。俺がすぐに誰にも負けないような貴婦人にしてやるよ。だから頼むって、なぁ」
バスティアンと名乗った男もそうですが、宿の従業員の方もどうしましょうといった顔でフローラさんを見つめています。
「……そのような方は存じません。外につまみ出して下さい」
ついにフローラさんがその言葉を口に出し、バスティアンと名乗る男を外に連れ出そうと押し合いが始まりました。それにしても、顔はそこそこ良いのに、身体はがっちり系とした感じですが、そんなに鍛えている様子はありませんね。それでも、従業員さん3人と力比べ的なことになっているのだから、そこそこに腕力はあるのでしょうか?
僕達も気が抜けて、エマ&ジェシー意外は呆然とその押し合いを見ていました。そんな押し合い状況の脇を二人の男女がすり抜けてきたのを、僕達は気が付きませんでした。
『ドスッ』っと音がして、バスティアンの身体が前に崩れました。その前に、中肉中背で黒髪の後ろ姿が見えます。どうやら、黒髪の男が手刀で意識を刈り取ったようですね。
その隣には、杖の頭に拳大の水晶球と六芒星をあしらった長大な杖持った、20代前半に見えるローブ姿の細身の女性が立っています。
女性は僕達の背後に居るフローラさんを見つけると、晴れやかな笑顔をみせました。
「お久しぶりやね、フローラちゃん。今日は、えらいかわいい花に囲まれてるなぁ」
……何故に関西弁?! 僕の頭は疑問符で埋め尽くされそうになりましたが、イリスさんが小さく呟いた言葉で納得しました。
「ひどい方言ね。何処の女性なのかしら?」
どうやら、エリクシア語の中でも特殊な方言の様ですね。それが僕の頭の中では、似非関西弁に変換されているようですね。
バスティアンが室外に引き摺り出され、代わりに先程の男女二人が入ってきます。フローラさんは、僕達に席に戻るようにいいながら、言葉を綴ります。
「……えっと、まず暫くは今の事は忘れて下さいね。まずはお二人をご紹介しますね」
そう言って紹介してくださったのですが、男性の名前は『アーネスト』さん、女性の名前は『シャルロット』さんというらしいですね。
「こんにちわ、うちの名前はシャルロットいいます。シャルと呼んでくれて構へんよ。これは、アーネスト言います。無口な奴やさかい、そこは気にせえへんといて」
シャルさんに『これ』呼ばわりされたアーネストさんは、中肉中背で黒髪に茶色の瞳をした、30代半ばの厳つい顔をした叔父様ですね。今は街中だからなのか、腰に短い片刃の剣を佩いています。剣は剣帯を通さず腰帯に挟んでいます。
僕達もそれぞれ挨拶すると、ぽつりと「……宜しく」とだけ呟きます。そんな、アーネストさんを見ながら、シャルさんはけらけら笑いますが、ホントに賑やかな人ですね。
フローラさんのお話では、お二人は『ルース・ダ・ルーア』というパーティー名で活動していて、北部ではかなり有名なレベルBのハンターさんなのだそうです。
時折、クラウディウス公爵家より非合法ではないけれど、余り表ざたにしたくない場合に指名依頼をしているようで、腕前や秘密の厳守は安心していいですよと言われます。
「それで、あんた達が『アレキサンドライト』の面々なのやね。噂は聞いてるけど、こないなかわいいお嬢さん方とは思てまへんやったで」
そう言いながら、シャルさんは僕達に軽くウィンクします。むぅ、所作はいかにも大人の女性なのに、発言が似非関西弁のせいか、良い意味で幼く感じるんですよね。今も右手に持ったワイングラスがとても様になっています。
「私達の噂ですか? 私達はパーティを組んでまだ間もないので、余り噂になるような事は少ないと思いますけど?」
ユイが首を傾げながら呟くと、シャルさんは右手をパタパタ振りながら話します。
「冗談ちゃうで? アレキサンドリアのギルドで、やらかしたやろ。こっちのギルド職員の間でも、語り草になってんで?」
げっ、アレキサンドリアでの事はこちらには伝わらないと思っていたのに、変な所だけ伝わるんですね……
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