駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

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5.南海の秘宝

65.海賊船団との戦い

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「船団、海賊旗を挙げました。黒地に頭蓋骨と交差した2本の大腿骨ジョリー・ロジャーを確認。距離2000m」

「信号旗、シエラ(Sierra)・ノヴェンバー (November)即時停船命令を掲揚」

 アレキサンドリア海軍が使用している信号旗は、周辺国だけでなく交易している国にも伝えています。無線などが有りませんから、マストに掲揚した旗で相互の意思をとる手法ですね。
 シエラ(Sierra)の旗は、単独では『本船は停船準備中』で、ノヴェンバー (November)は『否定』を示しますが、2枚連続で掲揚した場合、相手側への停船命令を意味します。
 これを確認した船は、停船するか ロメオ (Romeo)旗『信号を確認した』を掲揚しない場合は攻撃対象とすることは広く広報しています。もちろん海賊でも幹部クラスは知っているでしょう。どこでも、脳筋ではトップにはなれませんからね。

「船団からの反応なし、交戦の意志ありと認む」

 では、戦闘の開始ですね。砲雷長も航空指令もこちらを見て、戦闘開始の命令を待っています。

「マストに戦闘旗を掲揚。本艦はこれより戦闘態勢に移行します」

 では、ネルソン提督にならって皆さんの士気をあげなければですね。

「船務長、艦内放送。『戦闘開始、アレキサンドリアは各員がその義務を果たすことを期待します』以上」

「「「はっ! 戦闘開始」」」

「機関、両舷全速フルアヘッツー。風上をとったら第1戦速で、敵船団との距離500mを維持」

 即座に航海長の指示により、船脚が早まります。『QAクイーンアレキサンドリア』自体は、海賊船団の有効射程距離外を、風上に向けてかじをとります。

 砲雷長や航空指令の指揮で、即座に戦闘が開始されました。飛空艇も発艦して、攻撃を開始します。十分な安全距離を確保しながら、撃たれる105mmの魔導砲は、メインマスト付近で爆発するだけで、敵の航行能力を奪います。

 ワイアット航空指令から、出撃中の飛空艇・動力艇・潜水艇に指示が飛びます。

「残敵の掃討は後でも出来る。自分の安全を最優先にし、一隻でも多くの船を、航行不能に追い込むことに注力しろ」

「各砲座は接近してくるボートに対しては、警告射撃の後で撃破せよ。本艦に接近させるな」

 防御と攻撃の役割分担もできているようですし、このままいけば順当に倒せるでしょうね。ゲストとして艦橋に招いていた人魚族の『長』も、驚いた表情で情報パネルを見ています。

「恐れ入ったね。空を飛んで、海を走る魔道具なんて初めてみたよ。木製以外の船もね。アレキサンドリアじゃぁこんな船が、今後は主力になるのかい?」

 そんな言葉が聞こえてきましたが、オスカーさんは無言ですね。実際、答えようがないのだと思いますので、僕が代わりに答えておきましょう。

「残念ながら、そうはならないと思います。実際に建造する資材と、運用に必要な人の育成を考えると、割に合わないのが現実です。
 鋼材と魔石をとても消費しますので、運用コストも他の船に比べれば高いのが事実です。従来型の改装に合わせて、技術的なものは流用される予定ですね。
 オスカー副長の船が現在改装されていますが、主に外装に装甲板を張るのと、トイレなどの魔導具化が予定されていたはずです」

 僕の答えを聞いて、人魚族の『長』が笑い出しました。

「それはいいね。ぜひ、陸者おかものの船のトイレをなんとかしておくれよ。海賊だけじゃないんだ、あたしらの頭の上に汚いものを捨てていくのは。その所為で、魔物も寄ってくるんだよ」

 あ~、確かに船のトイレは垂れ流しですしね。人魚族のみなさんというか、海にすむ種族の方々にとっては笑い事じゃないですよね。魔物も寄ってくるって、肥料のようなものなんでしょうか。
もしかして、海賊退治の依頼もそれがあるからかもしれません。

「戦況報告。炎上中4、浸水中4、マスト等の炎上により、航行不能2」

「第一波攻撃は順調に処理できたようです。動力艇から連絡、周辺に海棲肉食魚が集まってきています。シー・カンディル、シー・ピラニアルを確認したそうです」

「船外作業員に注意を喚起」

 シー・カンディルですか……あれはひどいらしいですからね。彼らはアンモニアに反応して寄ってきます。そして、魚のエラなどから体内に侵入して、内部組織を食い破るため、地獄の痛みだといいます。ヒレには釣り針のような返しがあり、引き抜くと傷を大きく広げる事になります。
 ちなみに、人間を襲うこともあり、肛門や尿道から膀胱に侵入されると切開して取り出さなければいけません。切開による手術は、アレキサンドリアでも一般的ではないので、現実には痛みにさいなまれ続けながら、死を待つしかないのです。種類によっては、皮膚を食い破り体内に侵入する種もいるので、カンディルがいる場所で水に入るのはお勧めできません。

「北西、水平線上に新たな船影、数は12」

「予想通りだ。航行不能な船からは距離をとって本艦周囲で待機。各機残存の魔力量を確認し、順次補給と休憩を行え」

 ふ~ん、だいぶ前回の戦闘とは変わりましたね。あえて航行不能の海賊船の射程内に近寄ってもメリットはありません。沈没をまぬがれ、応急措置で航行できるようにするには時間もかかりますからね。
 新たに現れた敵との距離からして、こちらが動かなければ2時間は余裕があります。多少緊張をといて、リラックスしたほうが良いでしょう。

「副長、艦内の体勢をを哨戒第1配備にもどして、交代で休憩させてください。あと、しばらくこの艦をお願いしますね……」

「はっ。えっ、最後はどういう意……」

 副長の声は、転移魔法を発動した僕には、最後まで聞きとれませんでした……

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