駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

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6.楽園での休日

8.水上コテージにて

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「はぁ、やっと寝れますよ……」

 陸から一番遠くて、ラグーンへの出入り口に近いコテージは、いつものメンバー、僕にイリスさん、ユイにユーリアちゃんの4人が使うことになっています。このメンバーなら、お酒を飲み過ぎて桟橋から落ちたりしませんからね。

 僕たちが使うコテージは、円形フロアに二段ベッドが2基設置されて、丸テーブルにラタンで編まれたテーブルとチェアがセットになったものが用意されています。ラタンは南国で使われる素材ではありますが、木に比べて成長が早く、定期的に伐採する必要もある事から環境にも優しい素材なんですよ。家具に加工されてからも、多湿な時は水分を吸収し、乾燥している時期には水分を放出してくれる優れものです。この保養施設でもラタンを使った家具を多用しています。

 コテージのラグーン側の窓はガラス張りで、すぐ外にはテラスと水の中に降りる事ができる階段がついています。
 入口すぐわきから、下に降りる階段があり、地下というか水中部分にお風呂とシャワーブース、トイレが設置されています。水中部分はガラス張りで、椅子も設置されていますから、サンゴ礁を泳ぐ熱帯魚なんかもみる事が出来ます。もちろん、お風呂部分やトイレは窓がありますが、外から中は見る事はできませんからね?

「はぁ、遊び疲れちゃいましたよぉ」

 ユーリアちゃんが情けない声でベッドに倒れこみますので、僕はその隣に座って、頭をなでなでします。

「あはは、バレーの審判やってたら遊ぶ時間は無かったでしょう?」

 ユーリアちゃんは頭を目を細めていますが、こころなしか嬉しそうですね。ユーリアちゃんはまだ『QAクイーンアレキサンドリア』に乗れないので、ここにはこの間初めてきたんでしたし、別行動が多かったですもんね。会話の機会として、有効に使いましょう。

「ユーリアちゃんは、バレーの審判をしてたんですよね。審判終わった後に遊んでたんですか?」

 優待券がかかってるせいか、皆さん結構本気でしたからね。魔力をくわえられたら、ボールが破裂するようになってますので、魔法をつかったルール違反はできませんし、コート上にボールが落ちたら審判の手元にある魔道具が光るようになっていますので、見逃す事はないと思います。とはいえ、誤審をするわけにもいきませんので、神経を使うはずなので、遊んでいる余裕はないと思いますが……

「ちゃんと審判はしてましたよぉ。でも、ボールが床に触れたかとか、ラインを割るかとかが、私の予測・判断と魔道具の判断があってるかをずっと見てたんですぅ。
 時々、プレイヤーの姿でボールが見えなくなる時があるんですけど、ボールとプレイヤーの動きで予測しながらテストを行っていたので、結構楽しめました」

 なるほど、ボールの動きを見るのは動体視力の訓練に、プレイヤーやボールの動きの予測は弓を使う際にも、目標の動きをとらえる事にも役に立ちますしね。さらに、頭をなでなでしてると、不満そうな声が聞こえてきます。

「クロエさん? 私も頑張ったんですよ?」

 ……目の前にユイさんが笑顔で仁王立ちしてますね。もちろんユイが頑張ったのは知ってますよ。でも、一応年上のお姉さんですし……なでなではさすがにためらわれます。

「ユイもありがとうね。ユイは直接戦闘向きじゃないから、チャンバラの審判は大変だったんじゃない?」

 まずは労いの言葉をかけましょう。ユイはバッファーですからね、直接戦闘向きではないのは判りますし、俊敏性やスタミナもそんなにある訳じゃありません。
 とはいえ、ユイは後衛でも敵味方全体を見ていますからね。意外に個人の剣技などを見ているのかもしれません。

 僕の言葉にユイは僕の隣、ユーリアちゃんの反対側にストンと座ります。僕たち全員水着姿に、パーカーを羽織った姿です。皆さん水着姿なので、普段の恰好だと目立っちゃうんですよ。ただ、僕的には視線をなるべく顔に向けるように心がけないといけないのですが……

「そうですね。ただ普段は剣技にしても槍技にしても、じっと見るわけにはいきませんけど、今日はじっくり見れました。この人にはどんなバフ・デバフが効果的かを考えたりしながら見るとやはり違いますね」

 そしてクスリと微笑みます。

「特に今日は皆さん、優待券目当てで結構真剣に勝負してましたので、実戦的な技をお使いでしたし」

 そうなんだ。勉強になったんですね。そうやって、三人で話していると、イリスさんが目の前で水着をぽいぽいっって感じでベッドに脱ぎ捨てます。僕とユイが多少慌てますが、イリスさんは平気な顔です。

「ちょっと、イリスさん何裸になってるんですか!!」

「なによ、これからシャワーを浴びてくるんだから、問題ないでしょ。それに昔は、いっしょにお風呂に入ったんですもの、今更でしょう?」

 いや、子供の頃と一緒にされても困りますよ。昔はみんな僕といっしょでツルペタでしたけど、今はそれなりに育ってるんですから、あちこちが……

「いやいや、女性としてのというか、いろいろあるじゃないですか、ねぇ」

 僕は、同意を求めてユイを見ます。いつまでも全らのイリスさんを見ている訳にはいきませんからね。隣でユイも顔を少し赤らめて、うんうんうなずきます。

「そ、そうですよ。子供の頃とちがうんですから……」

 僕たちの言葉に、イリスさんはふふんと鼻で笑って、階下への階段に向かって歩き出します。

「そう? わたくしは、別に貴女たちなら気にしないわ。じゃあ、先にシャワー浴びちゃうわよ」

 スタスタスタっという感じで、僕らも視線を意に介せずに、イリスさんは階段を下りていきます。はぁ、そういえばエリーゼさんがあっさり着替えしてたの見てましたね、イリスさん。もう、変なところで対抗心を出すんですから……

「……ユイとユーリアちゃんもシャワーは使えないけど、お風呂は使えるので入ってきたら? それなりに疲れてるんだし」

 僕が声をかけると、ユイとユーリアちゃんは顔を見合わせますが、ユーリアちゃんが先に動きます。

「じゃあ、わたしが先にお風呂入っちゃいますよぉ。クロエ様、バスタオルは下にあるんですか?」

「うん、バスルームにもシャワールームにもありますしって、ユーリアちゃんまで……」

 あっという間に水着を脱いだユーリアちゃんは、イリスさんとおなじようにさっさと階下に降りていきます。先ほどの動画で覚えた鼻唄を歌いながら……

 はぁ、思わずため息が出てしまいます。

「「……」」

 ユイと二人で取り残されて、何となく気まずい雰囲気というか、微妙な雰囲気になったので、飲み物を取り出そうと僕は立ち上がって冷蔵庫に向かいます。

「ユイ、なにか飲みますか? ソフトドリンクとお酒がありますが」

 僕とユイとでは羞恥心がイリスさん達より近い感じですのでわかるのですが、微妙に身体が熱を持った感じなんですよね。まだ、ユイの顔も少し赤いですし……

「そ、そうですね。ソフトドリンクをお願いします」

 僕はうなづいて、冷蔵庫からパイナップルジュースを取り出して、グラスに注ぎます。とりあえず2つで良いですね。イリスさんとユーリアちゃんはお風呂から上がってきたら入れてあげましょう。

「はい、どうぞ」

「あ、ありがとうございます」

 ユイに手渡すと、お礼をいって受け取ってくれます。収納からもパイナップルの果実を取り出し、食べられる部分を切り取って皿に盛ります。フォークと小皿を4つ用意しておくのも忘れないようにしないとね。
 夏の日差しに照らされた水上コテージも、室内の空気は温まっていますが、壁は横スリットで隙間の広さを変更できます。最大にすると心地よい風が室内通り抜けます。壁の内側は目の細かい網が張ってあり、コテージ全体も虫除けの忌避剤もありますので、虫が来ないのは助かりますね。
 コテージの間隔がそれなりに空いてますから、のぞかれる心配はありませんが、今日は女性だけしかいませんから、心配は不要だと思います。……そう思った時が僕にもあったのです。
    
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