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6.楽園での休日
11.早朝のラグーンにて
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……はっと目を覚ますと、なぜかコテージの床に毛布が敷き詰められ、その上で僕は横になっていました。どうやらお風呂で寝てしまったようですね。
……そして、左右から軽い寝息が聞こえてきます。
僕は軽くため息を付いて、星明りだけの左右を確認します。予想通り、僕を挟んでユイとユーリアちゃんがすやすやと寝ています。
以前のように抱き着かれていないのは、常夏の国だからくっついて寝ると暑いせいでしょう。これ幸いと身を起こすと、巻かれたタオルがはだけてしまい、危なく声が出そうになります。
「二人ともいくら毛布を敷いたとはいえ、こんな固い床じゃ満足に寝れないのに……」
とりあえず二人を、きちんとしたベッドに寝せてあげないといけませんね。2段ベッド2基を確認すると誰も寝ていないので、そのまま収納して、キングサイズのベッドを二つ並べます。
「これで、重力魔法で二人を浮かせてっと……」
ユイもユーリアちゃんもバスタオル一枚の姿ですからね。慎重に二人の身体を浮かせてベッドに運びベッドに寝かせます。収納から取り出したタオルケットを、二人にかけてあげた時にふと気が付きます。
「あれ? イリスさんは何処に……」
周囲を見渡して、僕は思わず「ヒッ!」っと声を出してしまい、慌てて口を押えます。星明りだけの部屋の中、ソファーに座ってじっと僕を見ているイリスさんに気が付いたから……
早鐘を打つ胸を押さえて、僕は静かにイリスさんに話しかけました。
「なんでそんなところに座ってるんですか……」
僕が声をかけると、イリスさんは口の前に人差し指を立てて、テラスを指さします。確かにここで話していると、ユイやユーリアちゃんを起こしてしまいそうですね。僕はうなづいて、イリスさんの後についてテラスへとでます。
イリスさんはテラスに用意された椅子にすわって、僕が座るのを促しています。幸い、早朝とはいっても、常夏のこの島では肌寒く感じる事はありません。
椅子に座る前に、収納から良く冷えたソーダ水の入った瓶を取り出して、テーブル上に置いた二つのグラスに注ぎます。
「今日もご苦労様でした、お嬢様」
僕がおどけていうと、ちらりと視線を僕になげてグラスを手にします。
「別に私は何もしていませんわ。魚人族の襲来を伝えて、時間稼ぎをしてくれたのは人魚族の皆さんですし、実際に戦ったのは貴女とエマ、ジェシーの二人にユーリアちゃんよ。
戦闘を支援したのはユイだし、私はなにもしていない……だから、今日は貴女を二人に譲ったの……」
……もしかすると、戦いに全く参加できなかった事を悔やんでいるのでしょうか?
ですが、戦闘開始時点では緑髪の人魚さんも消耗していましたし、イリスさんのお風呂に行ってました。
その後も人魚族の人が負傷して逃げてくることも考えられましたから、もしイリスさんがお風呂に行っていなくても、残るようになったはずです。僕がそういうと、イリスさんは拗ねたようにそっぽを向きます。
「いいんですのよ。私は回復役ですから、戦闘に参加するよりも、仲間が危ない時に回復させるのが仕事なのは判ってるの。
それでも、貴女がたが傷つきながら戦っているのに、自分は何もできずに待っているだけなのが不甲斐ないと思っただけですわ……」
イリスさんの言葉に、僕は頭を振ります。違いますよ、何もできないんじゃないんです。
「イリスさんは何もできないわけじゃないですよ。ファロス島での事故の時も、降臨したルキウスと戦った時も、イリスさんは僕たちを助けて、守ってくれたじゃないですか。
イリスさんは必要な時にはきちんと戦ってくれていますよ。だから、そんな顔で何もできないなんて言わないでくださいよ」
アレキサンドリアに来た当時の僕にとって、アレクシアさん以外の味方と言える人は数すくない中で、最初に信用できる友人になってくれたのはイリスさんなんですから……
そんな僕をみて、イリスさんがくすりと笑います。
「そうね、今日はこの辺までにしておいてあげるわ」
へ? イリスさん?
呆けている僕の手をとって、イリスさんは海へと入る階段までやってくると、身体に巻いていたタオルをテラスに投げ出して海に飛び込みました。
しばらくして海面から頭を出して僕を見るイリスさんに、僕は叫びます。
「ちょっと、イリスさん何してるんですか! 裸で泳ぐなんて、淑女らしくありませんよ」
そんな僕をみて、イリスさんが笑みを浮かべたのが、まだ暗いのに何となくわかります。
「いいじゃない、どうせ誰も見てないし、見てたとしても裸かどうかなんて判りはしないわよ。ほら、貴女もさっさと入りなさいよ。気持ちいいわよ?」
あぁ、もう。ほんとに最近のイリスさんは弾けっぱなしですよ。仕方なく、僕もタオルをとって海へと飛び込みます。
先ほど、イリスさんがタオルを投げだした時、一瞬羽の生えた天使のように見えた事を脳裏から追い出します。
僕も日の出間近の礁湖を泳ぎます。途中背後からイリスさんに抱き着かれたりしましたが、それはそれで楽しい思い出ですよね。
そのまま、周囲が明るくなりはじめるまで二人でゆっくりとサンゴ礁を泳ぎましたが、完全に明るくなる前に、再びテラスに戻ってタオルを巻きます。
あ~、そういえば水着は切り裂かれて使いものにならなくなったんでしたっけ。今日は夏服で一日を過ごすしかありませんね。
……そして、左右から軽い寝息が聞こえてきます。
僕は軽くため息を付いて、星明りだけの左右を確認します。予想通り、僕を挟んでユイとユーリアちゃんがすやすやと寝ています。
以前のように抱き着かれていないのは、常夏の国だからくっついて寝ると暑いせいでしょう。これ幸いと身を起こすと、巻かれたタオルがはだけてしまい、危なく声が出そうになります。
「二人ともいくら毛布を敷いたとはいえ、こんな固い床じゃ満足に寝れないのに……」
とりあえず二人を、きちんとしたベッドに寝せてあげないといけませんね。2段ベッド2基を確認すると誰も寝ていないので、そのまま収納して、キングサイズのベッドを二つ並べます。
「これで、重力魔法で二人を浮かせてっと……」
ユイもユーリアちゃんもバスタオル一枚の姿ですからね。慎重に二人の身体を浮かせてベッドに運びベッドに寝かせます。収納から取り出したタオルケットを、二人にかけてあげた時にふと気が付きます。
「あれ? イリスさんは何処に……」
周囲を見渡して、僕は思わず「ヒッ!」っと声を出してしまい、慌てて口を押えます。星明りだけの部屋の中、ソファーに座ってじっと僕を見ているイリスさんに気が付いたから……
早鐘を打つ胸を押さえて、僕は静かにイリスさんに話しかけました。
「なんでそんなところに座ってるんですか……」
僕が声をかけると、イリスさんは口の前に人差し指を立てて、テラスを指さします。確かにここで話していると、ユイやユーリアちゃんを起こしてしまいそうですね。僕はうなづいて、イリスさんの後についてテラスへとでます。
イリスさんはテラスに用意された椅子にすわって、僕が座るのを促しています。幸い、早朝とはいっても、常夏のこの島では肌寒く感じる事はありません。
椅子に座る前に、収納から良く冷えたソーダ水の入った瓶を取り出して、テーブル上に置いた二つのグラスに注ぎます。
「今日もご苦労様でした、お嬢様」
僕がおどけていうと、ちらりと視線を僕になげてグラスを手にします。
「別に私は何もしていませんわ。魚人族の襲来を伝えて、時間稼ぎをしてくれたのは人魚族の皆さんですし、実際に戦ったのは貴女とエマ、ジェシーの二人にユーリアちゃんよ。
戦闘を支援したのはユイだし、私はなにもしていない……だから、今日は貴女を二人に譲ったの……」
……もしかすると、戦いに全く参加できなかった事を悔やんでいるのでしょうか?
ですが、戦闘開始時点では緑髪の人魚さんも消耗していましたし、イリスさんのお風呂に行ってました。
その後も人魚族の人が負傷して逃げてくることも考えられましたから、もしイリスさんがお風呂に行っていなくても、残るようになったはずです。僕がそういうと、イリスさんは拗ねたようにそっぽを向きます。
「いいんですのよ。私は回復役ですから、戦闘に参加するよりも、仲間が危ない時に回復させるのが仕事なのは判ってるの。
それでも、貴女がたが傷つきながら戦っているのに、自分は何もできずに待っているだけなのが不甲斐ないと思っただけですわ……」
イリスさんの言葉に、僕は頭を振ります。違いますよ、何もできないんじゃないんです。
「イリスさんは何もできないわけじゃないですよ。ファロス島での事故の時も、降臨したルキウスと戦った時も、イリスさんは僕たちを助けて、守ってくれたじゃないですか。
イリスさんは必要な時にはきちんと戦ってくれていますよ。だから、そんな顔で何もできないなんて言わないでくださいよ」
アレキサンドリアに来た当時の僕にとって、アレクシアさん以外の味方と言える人は数すくない中で、最初に信用できる友人になってくれたのはイリスさんなんですから……
そんな僕をみて、イリスさんがくすりと笑います。
「そうね、今日はこの辺までにしておいてあげるわ」
へ? イリスさん?
呆けている僕の手をとって、イリスさんは海へと入る階段までやってくると、身体に巻いていたタオルをテラスに投げ出して海に飛び込みました。
しばらくして海面から頭を出して僕を見るイリスさんに、僕は叫びます。
「ちょっと、イリスさん何してるんですか! 裸で泳ぐなんて、淑女らしくありませんよ」
そんな僕をみて、イリスさんが笑みを浮かべたのが、まだ暗いのに何となくわかります。
「いいじゃない、どうせ誰も見てないし、見てたとしても裸かどうかなんて判りはしないわよ。ほら、貴女もさっさと入りなさいよ。気持ちいいわよ?」
あぁ、もう。ほんとに最近のイリスさんは弾けっぱなしですよ。仕方なく、僕もタオルをとって海へと飛び込みます。
先ほど、イリスさんがタオルを投げだした時、一瞬羽の生えた天使のように見えた事を脳裏から追い出します。
僕も日の出間近の礁湖を泳ぎます。途中背後からイリスさんに抱き着かれたりしましたが、それはそれで楽しい思い出ですよね。
そのまま、周囲が明るくなりはじめるまで二人でゆっくりとサンゴ礁を泳ぎましたが、完全に明るくなる前に、再びテラスに戻ってタオルを巻きます。
あ~、そういえば水着は切り裂かれて使いものにならなくなったんでしたっけ。今日は夏服で一日を過ごすしかありませんね。
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