駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

文字の大きさ
224 / 349
6.楽園での休日

12.意外な展開

しおりを挟む
「……そういえば、僕は昨日お風呂で寝ちゃったんですよね? 僕が寝てるのに誰が気が付いたんですか? それにお風呂場は鍵がかかってましたよね。どうやって開けたんです?」

 コテージをでて、僕たちは浜辺近くに設営されていたオープンテラスで朝食を摂っています。イリスさんは僕を横目で見ると、ユイに目線で発言を促します。ユイはにっこり微笑んで答えました。

「バスルームとシャワーブースは同じ水回りだから繋がっているんですよ。水音がしなくなったことに気が付いたので、のぞいてみたら、クロエさんがぐっすり眠ってらしたんですよ」

 ……まあ、本来はどちらも同じ場所にあるのが普通ですし、コテージに泊まる人数が家族とかならそういう造りの方が良いのでしょうけど…… そこまで考えた僕はある事に気づきます。

「……当然僕は裸でしたよね? じゃあ、誰がここまで運んで寝かせてくれたんです?」

 そんな僕の様子をみて、イリスさんがニヤニヤ笑っています。ユイやユーリアちゃんも楽しそうな笑顔を見せていますね。

「聞きたいの?!」

「……イエ、エンリョシテオキマス……」

 知ってしまった方が精神衛生的に悪そうですからね。その後の事も効かない方が身のための様です……

 コホン、気分を変えてコーヒーカップを手に取り、ゆっくりと頂きます。今朝の朝食はこんがり焼けた食パンに、カリカリに焼いたベーコンとスクランブルエッグ、トマトとレタスの野菜サラダに、コーヒーか紅茶のセットメニューが用意されています。
 食パンの焼き具合は選ぶことができて、ふわふわの食パンや他のパンも選ぶことができます。アレキサンドリア共和国では、酵母を利用した発酵パンが主流ですが、他国ではライ麦や小麦粉で作った粉を、水で練って丸めたものを焼くという丸パンが主流です。
 発酵パンは開放都市チッタ・アペルタでも安く提供していますが、銅貨十枚で一個買える丸パンに比べて、銅貨五十枚の価格となっている為にあまり一般的ではありません。帝政エリクシアでもアルべニア王国でも同じですので、この機会に皆さんに味わっていただいて、少し広めてもらいたいという意味合いも含めて、今回の食事に組み込んでいます。

「今日の予定はどうなってるの? チャンバラとビーチバレー?の決勝をやってから帰るってことでいいのかしら?」

 イリスさんの言葉に、僕は考えます。保養施設の箱モノは全て設置してありますので、あとは『四季』や『思い出』以外の出店者を選ぶだけですし、保養地は黒家と白家の共同運営がされるので、アレクシアさんとリリーさんが考えるでしょう。
 となれば、イリスさんの思い出作りがきっかけで始まった今回のイベントですので、この趣旨にそって動けばよいのでしょう。

「……そうですね、僕たちはそれでよいと思いますよ。アレクシアさんやリリーさんは他になにか考えているのかもしれませんが……」

 僕たちは遊び目的で良いかもしれませんが、大人はそれだけではいけないでしょうからね。あの二人が女性だけとはいえエリクシア貴族のエリーゼさんや、アルべニア貴族のサンドラさん、ミッテルベルヌ王国のコリーヌさんの招待を許容するとは思えませんからね。
 そこまで考えて僕は首を振りました。

「まあ、僕たちはそれで良いでしょう。何かあるのであれば、きっとアレクシアさんやリリーさんから何か言ってくるでしょう」

 イリスさんやユイもうなづきますが、ユーリアちゃんはもくもくと食事を続けていますね……、幸せそうな笑みを浮かべているから良いことにしましょう。

*****

 四方を観客席に囲まれた決勝戦を行う会場は、周囲をヤシの木などに囲まれた涼し気な場所ですが、そこで行われている決勝戦は熱気が凄い事になっています。

 決勝は、『四季 本店』チーム対『開放都市チッタ・アペルタ有志連合』です。イリスさんたちのチームを破った有志連合は、リカさんやニトラさんなどの講師と冒険者ギルドの受付嬢パトリシアさんを含めた混成チームです。

「チームワークでは圧倒的に有利なのに……」

 ユイが思わずつぶやきますが、僕も同感ですね。『四季 本店』チームは圧倒的なチームワークでボールを繋げまくり、相手のミスを誘って勝利するスタイルです。実際、ほとんどのチームは疲労によるミスをつけ入れられ敗退しています。
 それに対して、有志連合はニトラさんとリカさんが守備の要で、四季の攻撃を拾いまくっていますが、恐ろしいのはパトリシアさんですね。にっこり微笑んで普通にボールを打つだけなのに、目線とボールの行き先が全くあっていません。

「……すごい、インパクトの瞬間に回転をかけているし、フェイントを織り交ぜて同じモーションから、全く違う軌道でボールが飛んでいくよ……」

 ボールは魔法を使用すると破裂しますから、パトリシアさんは全く魔力を使わずにボールをコントロールしていることになります。技術だけっていうか、ボール遊びなんてしたことないはずなの……
 そうやって見ているうちに、パトリシアさんがツーアタックでネットぎわにちょいっと落としたボールに、四季の店員さんが飛びついたところでボールが破裂します。

「あちゃぁ、つい魔法がでてしまったよぉ」

 そう、たまに組み込まれるトリッキーな動きに、アレキサンドリアの人達はついつい魔法を使ってしまい、ボールを破裂させてしまうのです。

「そこまで! 勝負は有志連合ですぅ」

 ユーリアちゃんの声が響き、喝采の拍手が鳴り響く中、ニトラさんとリカさんがハイタッチしていますね。パトリシアさんは、ただ微笑むだけです。これは予想外の展開でしたね。
 審判をしていたユーリアちゃんに聞いてみます。

「今の試合というか、パトリシアさんの動きによくついていけたね~。昨日もこんな感じだったの?」

 昨日の試合でも、今のパトリシアさんの動きを予測するのはかなりの難易度ではないかと思います。それを楽しかったとか、遊びと言えるユーリアちゃんは凄いと思ってしまいましたが……

「いえいえ、ぎりぎりですし追いきれない事がありましたよぉ。昨日は普通の動きだったのに、今日のパトリシアさんは昨日とは別人ですぅ」

 えっ、昨日は普通だったんだ。これは完全に計画的ですね。

『引き続き、休憩をはさんでチャンバラの上位4名による決勝を行います。尚、飛び入り参加も可能ですので、審判にお申し付けください』

 ユイの声が会場に響きますが、飛び入り参加は甘い期待できそうにありません。人魚族の二人が、むちゃくちゃ強いのです。もともと長命な種族ですし、勝ち残った二人は人魚族の中でも戦闘種族です。実戦経験も豊富ですので、人間は勝てないのではないでしょうか?

 エリーゼさんすら、良いとこまでいって倒されてしまっています。辛うじてエリーゼさんの師匠であるヘルガさんと、コリーネさんが四強に残っていますが、実質人魚族さんの勝利は動かないだろうといわれています。
 とはいえ、実力者揃いの試合ですからね。ヘルガさんはエリーゼさんの師でもあるだけに、一般的な貴族らしい優雅な剣捌きを見せますし、コリーヌさんは武器を選ばない安定した強さを放ちます。最初は相手と同じ武器を使っていたのですが、刀を使う人魚さんに惜敗してからは、相手の武器に対して有利になる武器を使っています。
 それでも人魚族の方には勝てませんでしたが、心なしかコリーヌさんの表情が楽しそうに見えましたよ。そう考えながらボーっと、僕は決勝トーナメント出場者の4名を見ていた時でした。

「さぁ、それでは飛び入り参加しますよ」

 へっ、いきなり右手を掴まれた僕は、焦って腕をつかんだ本人を見上げると、そこには満面の笑みを浮かべたパトリシアさんの姿がありました。

「え、僕は魔法無しではからっきし弱いですから駄目ですよ!」

 そういう僕の言い分を一切聞かずに、ぐいぐいと引っ張られてユイの元へと引っ張ってこられてます。

「みなさん、飛び入り参加二名お願いしますね。私もギルドの代表として、素の皆さんの実力を把握しておくように、ギルマスから言われてますので」

「では、保護者代表ということで、私も参加させて頂こうか。なに、私も体術だけにするから心配するな」

 うげっ、イェンさんまで参加ですか。とてつもなく嫌な予感がひしひしと感じられる僕なのでした。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

処理中です...