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7.女王の奏でるラプソディー
70.戦闘開始
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ドクンッ
心音のような大きな鼓動がして、男のいた場所に崩れ落ちた肉塊が、内側からボコリと泡立つように膨れ上がります。
波打つたびに内側から膨れてはじける肉塊は、得体のしれない肉汁を周囲にまき散らしながらどんどん巨大化していき、やがて白く輝く円錐形の頭部が現れる頃には、既に体長が十メートルを超えています。
当然僕たちも只見ていただけではありません。水槍、炎槍を始めとした4大精霊魔法が空を飛び、肉塊を貫き燃やします。
ユイが攻撃用に呼んだ式による聖属性・闇属性攻撃により、浄化されたり闇に飲み込まれたりと触手単位で消滅するほどの攻撃を加え、僕のガンブレードによる複数属性の連弾は、距離を物ともせず対象をその場に釘づけします。
そして、エマとジェシーが大剣と双剣を使った接近戦を挑みます。青白い輝きを帯びたエマの大剣は水属性の攻撃なのでしょうか? 接近してきたエマを叩き潰そうと、拳を握った腕状の触手がエマを頭上から襲いました。
軽やかに避けたエマは、その拳に頭上に掲げた大剣を一閃させると、振り下ろした大剣とともに凄まじい量の水が拳へと叩きつけられ、拳は切り刻まれたのちに凄まじい水圧で押し潰されたようです。
「……すごい……接近戦で、あんなに多くの触手を全部かわして攻撃してるし、あの水を纏った剣戟は斬る・押し潰すを同時に行っていますね」
何度目かのつぶやきに、なぜかイリスさんが当たり前でしょという表情をしています。
「エマやジェシーも、近距離物理攻撃だけしかできない訳じゃありませんわよ。エリック様が嬉々として作った試作武器に、アレクシア様との演習だってこなしたんですもの」
イリスさんがそう言うと、ユイが苦笑いしていいました。
「アレクシア様が仰ってましたもんね。『クロエちゃん以外の子が、上位魔法の実験た……いえいえ、標て……回避訓練に志願してくれるなんて、とてもうれしいわ』って……」
イリスさんやユイだけでなく、エマやジェシーまで…… リリーさんといい、アレクシアさんといい、エマやジェシーに試作武器を作っちゃうエリックさんといい、なぜうちの大人は大人げないというか、敢えて火種を投下するんでしょうか?
そんな大人たちに鍛えられた成果がでていますね。ジェシーの双剣は普通の剣に比べれば短めですが、切り結んでいた鉤爪に、左の剣を突き刺しました。
左の剣を包んでいた赤い光が剣先に集中し、一瞬の間と輝きを煌めかせて赤い光が破裂。鉤爪ごと触手が光を中心に爆散し、エマは軽々と距離をとります。
「クロエ、一粒弾を私に撃って下さい!」
突然エマがそんな事を言い、僕は面食らいました。一粒弾は僕のガンブレードに通常六発装填されている魔石を、極大の一発だけ装填したもので、シリンダーの改良により威力は十倍以上ある代物です。僕がためらっていると、イリスさんから怒られてしまいます。
「クロエ、エマもジェシーも依然より戦闘力は上がっているのよ! 信頼して撃ちなさい!
」
むぅ、知り合いに銃口を向けるのって、精神的にプレッシャーが大きいんですよ? 僕はどこかの錬成師ではないので、多少なりとためらいがあります。
とはいえ、エマを信頼していないと思われるのも困りますので、撃ちますよ! 右のガンブレードのシリンダーロックを外し、シリンダーごとパーツを一粒弾専用の物に交換します。
再度シリンダーを振って銃に収納後、シリンダーをロック。左ガンブレードをお手玉のように空中に放り投げると、両手でガンブレードを支持してエマを狙って発射しました。
この間、シリンダー交換も含めてほぼ二秒というところです。
両手保持して打った一粒弾は、銃口から加速と精密照準の魔法陣を通過し、さらに威力強化の魔法陣を通過。単純計算でも、通常の二十倍近い威力の巨大な火球が形成され、まっすぐエマに向かいます。以前は両肩を脱臼してしまいましたからね。今は衝撃吸収機構の採用により、以前ほどの反動には襲われることはありません。
「……ハァッ!!」
エマが大きな声で真っ直ぐに大剣を火球に向けて突き出すと、風を巻く凄まじい音と、熱風が一瞬僕たちを襲います。
そして、エマの大剣を炎が纏い………… 大剣を化け物に向かって横薙ぎに大きく振りぬきました。
エマが振りぬいた大剣は、一条の紅蓮の尾を引き、うにうにぐねぐね、ぬちょぬちょぐちゃぐちゃと擬音いっぱいにうねる化け物の下部にあたり、凄まじい爆発音と共にその半数を跡形なく焼き尽くします。
余りの威力と爆風に、空中に投げた左ガンブレードの落下位置がずれて、キャッチしそこなったのは内緒です。
ジェシーも同様に僕を見つめていますので、加熱した右ガンブレードの冷却機構を作動させると、左のガンブレードでも同様に一粒弾に弾倉を交換から射撃へと流れるように行い、ジェシーも同じように双剣に炎を纏わせ振り切った双刃の軌跡は。残ったうねうねうごめくものを十字に斬り付け焼き尽くします。
「すごい……みんな強くなってたんですね」
僕の言葉に、四人は嬉しそうに微笑むのでした。
心音のような大きな鼓動がして、男のいた場所に崩れ落ちた肉塊が、内側からボコリと泡立つように膨れ上がります。
波打つたびに内側から膨れてはじける肉塊は、得体のしれない肉汁を周囲にまき散らしながらどんどん巨大化していき、やがて白く輝く円錐形の頭部が現れる頃には、既に体長が十メートルを超えています。
当然僕たちも只見ていただけではありません。水槍、炎槍を始めとした4大精霊魔法が空を飛び、肉塊を貫き燃やします。
ユイが攻撃用に呼んだ式による聖属性・闇属性攻撃により、浄化されたり闇に飲み込まれたりと触手単位で消滅するほどの攻撃を加え、僕のガンブレードによる複数属性の連弾は、距離を物ともせず対象をその場に釘づけします。
そして、エマとジェシーが大剣と双剣を使った接近戦を挑みます。青白い輝きを帯びたエマの大剣は水属性の攻撃なのでしょうか? 接近してきたエマを叩き潰そうと、拳を握った腕状の触手がエマを頭上から襲いました。
軽やかに避けたエマは、その拳に頭上に掲げた大剣を一閃させると、振り下ろした大剣とともに凄まじい量の水が拳へと叩きつけられ、拳は切り刻まれたのちに凄まじい水圧で押し潰されたようです。
「……すごい……接近戦で、あんなに多くの触手を全部かわして攻撃してるし、あの水を纏った剣戟は斬る・押し潰すを同時に行っていますね」
何度目かのつぶやきに、なぜかイリスさんが当たり前でしょという表情をしています。
「エマやジェシーも、近距離物理攻撃だけしかできない訳じゃありませんわよ。エリック様が嬉々として作った試作武器に、アレクシア様との演習だってこなしたんですもの」
イリスさんがそう言うと、ユイが苦笑いしていいました。
「アレクシア様が仰ってましたもんね。『クロエちゃん以外の子が、上位魔法の実験た……いえいえ、標て……回避訓練に志願してくれるなんて、とてもうれしいわ』って……」
イリスさんやユイだけでなく、エマやジェシーまで…… リリーさんといい、アレクシアさんといい、エマやジェシーに試作武器を作っちゃうエリックさんといい、なぜうちの大人は大人げないというか、敢えて火種を投下するんでしょうか?
そんな大人たちに鍛えられた成果がでていますね。ジェシーの双剣は普通の剣に比べれば短めですが、切り結んでいた鉤爪に、左の剣を突き刺しました。
左の剣を包んでいた赤い光が剣先に集中し、一瞬の間と輝きを煌めかせて赤い光が破裂。鉤爪ごと触手が光を中心に爆散し、エマは軽々と距離をとります。
「クロエ、一粒弾を私に撃って下さい!」
突然エマがそんな事を言い、僕は面食らいました。一粒弾は僕のガンブレードに通常六発装填されている魔石を、極大の一発だけ装填したもので、シリンダーの改良により威力は十倍以上ある代物です。僕がためらっていると、イリスさんから怒られてしまいます。
「クロエ、エマもジェシーも依然より戦闘力は上がっているのよ! 信頼して撃ちなさい!
」
むぅ、知り合いに銃口を向けるのって、精神的にプレッシャーが大きいんですよ? 僕はどこかの錬成師ではないので、多少なりとためらいがあります。
とはいえ、エマを信頼していないと思われるのも困りますので、撃ちますよ! 右のガンブレードのシリンダーロックを外し、シリンダーごとパーツを一粒弾専用の物に交換します。
再度シリンダーを振って銃に収納後、シリンダーをロック。左ガンブレードをお手玉のように空中に放り投げると、両手でガンブレードを支持してエマを狙って発射しました。
この間、シリンダー交換も含めてほぼ二秒というところです。
両手保持して打った一粒弾は、銃口から加速と精密照準の魔法陣を通過し、さらに威力強化の魔法陣を通過。単純計算でも、通常の二十倍近い威力の巨大な火球が形成され、まっすぐエマに向かいます。以前は両肩を脱臼してしまいましたからね。今は衝撃吸収機構の採用により、以前ほどの反動には襲われることはありません。
「……ハァッ!!」
エマが大きな声で真っ直ぐに大剣を火球に向けて突き出すと、風を巻く凄まじい音と、熱風が一瞬僕たちを襲います。
そして、エマの大剣を炎が纏い………… 大剣を化け物に向かって横薙ぎに大きく振りぬきました。
エマが振りぬいた大剣は、一条の紅蓮の尾を引き、うにうにぐねぐね、ぬちょぬちょぐちゃぐちゃと擬音いっぱいにうねる化け物の下部にあたり、凄まじい爆発音と共にその半数を跡形なく焼き尽くします。
余りの威力と爆風に、空中に投げた左ガンブレードの落下位置がずれて、キャッチしそこなったのは内緒です。
ジェシーも同様に僕を見つめていますので、加熱した右ガンブレードの冷却機構を作動させると、左のガンブレードでも同様に一粒弾に弾倉を交換から射撃へと流れるように行い、ジェシーも同じように双剣に炎を纏わせ振り切った双刃の軌跡は。残ったうねうねうごめくものを十字に斬り付け焼き尽くします。
「すごい……みんな強くなってたんですね」
僕の言葉に、四人は嬉しそうに微笑むのでした。
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