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7.女王の奏でるラプソディー
94.エピローグ
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「それは……「その娘のいう事は本当よ」……」
僕の言葉に被せるように響いた、美しい声音。航海が続いている今では、母港へ帰港したときにした聞けない美しくも厳しい声です。まあ、お酒の入った様子が無い状態の声は最近聞けてないのが残念な気もしますが……
そして、扉を開いて尋問室に入ってきたのは、アレクシアさん、リリーさん、エリックさんの三名でした。
尋問室に入室したエリックさんは、痛ましいものを見るような目で、ユージン中佐を見つめています。
「馬鹿な!(二度目ですよ?) なぜ貴女方がここにいるんだ。それに、最初から乗艦していたのなら、本国の状況を知ることができないのは変わりないはず……」
アレクシアさんが僕を横目で見るので、うなづいて尋問室の備え付けの魔道具を操作します。そこには、海軍長官のジャスティン・フィッシャーさんが映ります。
うん、今日はまともな格好ですね。この場にギャグは不要ですからね……
『先ほどから、君たちの会話はリアルタイムで聞かせてもらっている。シエナ嬢の復讐の為とはいえ、あえて悪と分かっている者に力を貸すとは、私個人としては非常に残念に思う。
確かにメイスン氏は狡猾であるのは事実だが、君の所属する青家はそれに対抗できないほど脆弱な勢力だと思われていることや、君が我々に全く相談せずに独断で行動したことも含めてだ。
それと君の質問に答えておくと、このQAは少し異じょ……ゲフンゲフン……特殊な船でね。
艦自体が巨大な魔道具であり、状況に応じて特定の人間だけ距離を無視して本国と艦内の一部を行き来できる機能があるのだよ。
そして、この通信は最近クロエ君が開発してくれた、亜空間通信と言うものがあってね。これは二点間の距離を無視して、映像と音声を相互にやり取りできる魔道具が搭載されているんだ。今、君とこうしてリアルタイムで話ができるのは、そのおかげでもある』
……ユージン中佐……
僕を化け物を見るような目で見ないでほしいですよ。イリスさんとユイがポンポンと肩を叩いて慰めてくれますが、僕は気分的にはOrzですね……
結局、四家現頭首が直接的に尋問に訪れたことで、僕たちはとりあえずその場をアレクシアさん達にまかせ、退出します。
その後は順調に話が進み、メイスン氏が捕縛されたことが真実であることを知ったユージン中佐が、今まで自分が集めていたメイスン氏からの指示書などの様々な証拠資料を提出し、今までの余罪が立証されていったようです。
とはいえ、表沙汰にできない問題もかなりあるのが事実ですね。二十年以上の間、メイスン氏の行為によって、傷ついた女性の多くは、事件が表ざたになるのを嫌うでしょう。
幸いな事に、アレキサンドリアにはマスゴミは存在していないので、被害者の心情を無視してまで取材をする記者さんなどはいないのが幸いですね。
今後は事件を公表するのかしないのかを含めて、軍で検討されることになるようです。
そして、僕たちの長きにわたった東方遠征もお終いの時が近づきました。
「えっ、ネレウスの改修が終わって、下層街を出港したんですか?」
僕の言葉に、アレクシアさんがうなづきます。
「そうよ~、昨日改装が終わって、今頃出港してるんじゃないかしら? 到着までどのくらいかかるかわからないけど、ネレウスの到着と交代でQAは帰港するようにね」
アレクシアさんが右舷展望デッキに設置されたビーチチェアで、ゆったりとくつろぎながら冷えた緑茶を口にしながら話します。
リリーさんはさすがにパラソルの下で、アレクシアさんを非難の目で見ているのは、もちろんアレクシアさんが水着姿だからですね。
「アレクシア、私たちは遊びでここに来たわけじゃありませんのよ? なのに、どうして水着なんて持ってきてるのかしら?」
僕たちの視界の外れには、エリックさんが建築用の工事魔道車両を使って、新しい施設を建造しているのが見えます。その脇でこき使われているのは、リアンですね。
陸上の滑走路では、ワイアットとライラが発着訓練を行っていますし、飛行隊の大半は新人教育に追われています。
そんな中で、アレクシアさんはリリーさんの質問に答えず、洋館の立つ岬の外れに視線を向けました。
岬の先には二人の男女の人影がみえます……
「あれは、ユージン中佐とミリアム少尉ですね。お別れに行ったのでしょうか……」
僕の呟きにアレクシアさんが答えます。
「シエナ先輩ね…… 明るくて、魔法の才能もあった素敵な先輩方の一人だったわね。
『シエナを見習ってもっと励まなければだめよ』と母にもよく言われていただけに、彼女が事件に巻き込まれたのを知って、動揺した記憶があるわ……
リリーは彼女の事情を知っていたのでしょう?」
「……どうだったでしょうね。私たちは患者の怪我や病気を診るのであって、それ以外の事にはとらわれてはいけないと言うのが母の口癖でしたよ。たとえ、患者が犯罪者であろうと被害者であろうが、治療をする上でそれらは何一つ役に立たないと……
ですが私は、彼女が被害にあった事件によって、治癒魔法は身体の傷は癒せても、心の傷は癒せないのだと知りましたわ。病に関しても、魔法は万能とは言えません。
心の傷を癒すのが、時の経過だけというのでは余りにも残酷すぎます。あの当時、クリスティーナやルーシーのような使い手が居れば少しはシエナ先輩の傷を癒せたはずだと思えば、とても残念ですわ……」
珍しく黄昏ているアレクシアさん達に、イリスさんがあっけらかんと口をはさみます。
「お母様方、医療にしても魔法にしても、ゴールと言うモノはありませんわ。
私たちができるのは、先人の技術を継承するだけじゃなく、それを発展させてより多くの知識を後輩に残すことですわよ。
そして、それは武芸にしても、国の統治にしても同じ事でしょう?」
イリスさんの視線の先には、コリーヌさん、エリーゼさんの姿も見えます。彼女たちにはポートパーク事件や今回の一件は深くは教えてはいませんが、情報を隠蔽するようなことはしていません。
アレクシアさんは、ビーチチェアから立ち上がると、みんなを見ながら優しげな声でいいました。
「ここにいる人たちはみんな、何かしらうちのクロエちゃんと親しくしてくれた方々だと思います。
そんな皆さんに、私たちは誓いましょう、所属する国は違えど、貴女方が友である限り、私たちは貴女方に力をお貸しすると。
ただし、なんでもいう事を聞くわけじゃありませんわよ。時には友として、貴女がたを止める場合もあるでしょう。
ですから、あなた方は失敗を恐れずに、自分がしたいことにチャレンジしてみてください。仮に失敗して祖国を追われることになっても、開放都市は貴女方を受け入れるでしょうから」
アレクシアさんの宣言を、うっとりした表情で見つめる人々の中に、何かを決意したような表情を浮かべている人が数名いますね。
「……あんな、煽動するようなこと言っちゃっていいんですか? ロンタノ辺境伯が聞いたら怒るんじゃ……」
僕がつぶやくと、ユイが微笑みながら口に出します。
「ロンタノ辺境伯、アレクシスは最初からそのつもりだったと思いますよ。
彼は貴女方二人を得られなかった時点で、自分の国の事よりも貴女方が動ける場所を広げる事に力を入れ始めましたから。
多分、その為のロンタノ辺境伯領であり、開放都市なんだと思います」
ユイの言葉に、リリーさんはうなづいて補足してくれました。
「彼は学院を卒業して帰国する前に、学院長を通して私たちにある提案をしていったのよ。
学院の知識で、他国に広めることで問題が無いような内容を、国の領域を超えて広めるための機関の設置と、国を超えた領域で幅広く活躍できる冒険者の育成と強化をね」
「まだあるわよ。開放都市の東区に存在する店舗や住民は、アレキサンドリアとアルベニア王国が和平を結んでいる間は、アルベニア国民の義務として納税の義務を負うとしているわ。
これは、万が一アルベニア王国が西進してアレキサンドリアを攻撃する場合、市民はアルベニア王国の国民としての義務を放棄することができるということね」
リリーさんに続けたアレクシアさんの言葉に、僕たちは首をひねります。
頭上にクエスチョンマークを浮かべている僕たちに向かって、コリーヌさんが口をはさみました。
「失礼、それは開放都市の市民は、自分の判断でその場を去ろうが、かまわないということでしょうか?
辺境伯は、領民がいなくなっても良いと……?
いや、まさか辺境伯は、自分自身も含めて、アルベニア王国から離脱して、開放都市を独立させるつもりですか!」
コリーヌさんの言葉に、僕たちは唖然としました。
「辺境伯が領都を捨てるわけはない…… それに、開放都市に住む者は自由市民が多い。しかも、開放都市はアルベニア王国の支援がなくても都市として成り立つことができる……」
「万が一の場合、彼は開放都市を独立都市として、町の防衛や維持を市民に任せるつもりよ。そして、彼も一市民としてそれに参加するようね。
ただし、アルベニア王国が手を出さない限り、莫大な税収が王国には入り続ける。それがわからない馬鹿でもない限り、西進するなんて考えないでしょうね」
……なるほど。そういったことがあって、アレキサンドリアは開放都市に手を貸したということですね。
開放都市に手をだせば、アルベニア王国から独立し、自由市民が街を守ります。そして、独立した彼らはアレキサンドリアの支援が期待できます。都市は一つであり、攻めてくる相手は西区をも手に入れようとするからです。
当然他国の領民や貴族の子女がいる開放都市を攻めれば、周囲の国からもアルベニア王国を攻める理由を与えることになります。
「はぁ、事政治に関しては、食えない相手ですね、ロンタノ辺境伯は……
開かれた町にすることで、自国からも開放都市を守るなんてね」
僕がつぶやくと、イリスさんとユイが笑います。
「ロンタノ辺境伯が何を考えていようが、私たちが気にする必要はないでしょ」
「それに、開放都市を攻めてくる敵がいれば、クロエさんを敵に回すことになりますもんね。四季は東区にありますもの」
二人の言葉に僕も納得します。
「そうですね……そんな相手には手段を択ばず反撃しちゃいますよ。その場合、王都が消し飛んじゃうかもしれませんね~」
「アレキサンドリアの東西で問題を起こすのはやめてくれないかしら? そんな過激な子に育てたつもりはないんだけど……」
僕の言葉に反応したアレクシアさんセリフでしたが、リリーさんをはじめとしたみな団の表情が、ナイナイと言っています。
そんなみんなの顔を、不服気に見ているアレクシアさんをみて、展望デッキは華やかな笑いに包まれたのでした。
◇◆◇◆◇◆
以上で7章が終了いたしました。後半ドタバタした展開になり、うまく書ききれませんでしたが、ここまでこらんいただいた皆様に感謝いたします。
新章は、次週日曜日に公開したいと思います。以後のお付き合い、よろしくお願いいたします。
僕の言葉に被せるように響いた、美しい声音。航海が続いている今では、母港へ帰港したときにした聞けない美しくも厳しい声です。まあ、お酒の入った様子が無い状態の声は最近聞けてないのが残念な気もしますが……
そして、扉を開いて尋問室に入ってきたのは、アレクシアさん、リリーさん、エリックさんの三名でした。
尋問室に入室したエリックさんは、痛ましいものを見るような目で、ユージン中佐を見つめています。
「馬鹿な!(二度目ですよ?) なぜ貴女方がここにいるんだ。それに、最初から乗艦していたのなら、本国の状況を知ることができないのは変わりないはず……」
アレクシアさんが僕を横目で見るので、うなづいて尋問室の備え付けの魔道具を操作します。そこには、海軍長官のジャスティン・フィッシャーさんが映ります。
うん、今日はまともな格好ですね。この場にギャグは不要ですからね……
『先ほどから、君たちの会話はリアルタイムで聞かせてもらっている。シエナ嬢の復讐の為とはいえ、あえて悪と分かっている者に力を貸すとは、私個人としては非常に残念に思う。
確かにメイスン氏は狡猾であるのは事実だが、君の所属する青家はそれに対抗できないほど脆弱な勢力だと思われていることや、君が我々に全く相談せずに独断で行動したことも含めてだ。
それと君の質問に答えておくと、このQAは少し異じょ……ゲフンゲフン……特殊な船でね。
艦自体が巨大な魔道具であり、状況に応じて特定の人間だけ距離を無視して本国と艦内の一部を行き来できる機能があるのだよ。
そして、この通信は最近クロエ君が開発してくれた、亜空間通信と言うものがあってね。これは二点間の距離を無視して、映像と音声を相互にやり取りできる魔道具が搭載されているんだ。今、君とこうしてリアルタイムで話ができるのは、そのおかげでもある』
……ユージン中佐……
僕を化け物を見るような目で見ないでほしいですよ。イリスさんとユイがポンポンと肩を叩いて慰めてくれますが、僕は気分的にはOrzですね……
結局、四家現頭首が直接的に尋問に訪れたことで、僕たちはとりあえずその場をアレクシアさん達にまかせ、退出します。
その後は順調に話が進み、メイスン氏が捕縛されたことが真実であることを知ったユージン中佐が、今まで自分が集めていたメイスン氏からの指示書などの様々な証拠資料を提出し、今までの余罪が立証されていったようです。
とはいえ、表沙汰にできない問題もかなりあるのが事実ですね。二十年以上の間、メイスン氏の行為によって、傷ついた女性の多くは、事件が表ざたになるのを嫌うでしょう。
幸いな事に、アレキサンドリアにはマスゴミは存在していないので、被害者の心情を無視してまで取材をする記者さんなどはいないのが幸いですね。
今後は事件を公表するのかしないのかを含めて、軍で検討されることになるようです。
そして、僕たちの長きにわたった東方遠征もお終いの時が近づきました。
「えっ、ネレウスの改修が終わって、下層街を出港したんですか?」
僕の言葉に、アレクシアさんがうなづきます。
「そうよ~、昨日改装が終わって、今頃出港してるんじゃないかしら? 到着までどのくらいかかるかわからないけど、ネレウスの到着と交代でQAは帰港するようにね」
アレクシアさんが右舷展望デッキに設置されたビーチチェアで、ゆったりとくつろぎながら冷えた緑茶を口にしながら話します。
リリーさんはさすがにパラソルの下で、アレクシアさんを非難の目で見ているのは、もちろんアレクシアさんが水着姿だからですね。
「アレクシア、私たちは遊びでここに来たわけじゃありませんのよ? なのに、どうして水着なんて持ってきてるのかしら?」
僕たちの視界の外れには、エリックさんが建築用の工事魔道車両を使って、新しい施設を建造しているのが見えます。その脇でこき使われているのは、リアンですね。
陸上の滑走路では、ワイアットとライラが発着訓練を行っていますし、飛行隊の大半は新人教育に追われています。
そんな中で、アレクシアさんはリリーさんの質問に答えず、洋館の立つ岬の外れに視線を向けました。
岬の先には二人の男女の人影がみえます……
「あれは、ユージン中佐とミリアム少尉ですね。お別れに行ったのでしょうか……」
僕の呟きにアレクシアさんが答えます。
「シエナ先輩ね…… 明るくて、魔法の才能もあった素敵な先輩方の一人だったわね。
『シエナを見習ってもっと励まなければだめよ』と母にもよく言われていただけに、彼女が事件に巻き込まれたのを知って、動揺した記憶があるわ……
リリーは彼女の事情を知っていたのでしょう?」
「……どうだったでしょうね。私たちは患者の怪我や病気を診るのであって、それ以外の事にはとらわれてはいけないと言うのが母の口癖でしたよ。たとえ、患者が犯罪者であろうと被害者であろうが、治療をする上でそれらは何一つ役に立たないと……
ですが私は、彼女が被害にあった事件によって、治癒魔法は身体の傷は癒せても、心の傷は癒せないのだと知りましたわ。病に関しても、魔法は万能とは言えません。
心の傷を癒すのが、時の経過だけというのでは余りにも残酷すぎます。あの当時、クリスティーナやルーシーのような使い手が居れば少しはシエナ先輩の傷を癒せたはずだと思えば、とても残念ですわ……」
珍しく黄昏ているアレクシアさん達に、イリスさんがあっけらかんと口をはさみます。
「お母様方、医療にしても魔法にしても、ゴールと言うモノはありませんわ。
私たちができるのは、先人の技術を継承するだけじゃなく、それを発展させてより多くの知識を後輩に残すことですわよ。
そして、それは武芸にしても、国の統治にしても同じ事でしょう?」
イリスさんの視線の先には、コリーヌさん、エリーゼさんの姿も見えます。彼女たちにはポートパーク事件や今回の一件は深くは教えてはいませんが、情報を隠蔽するようなことはしていません。
アレクシアさんは、ビーチチェアから立ち上がると、みんなを見ながら優しげな声でいいました。
「ここにいる人たちはみんな、何かしらうちのクロエちゃんと親しくしてくれた方々だと思います。
そんな皆さんに、私たちは誓いましょう、所属する国は違えど、貴女方が友である限り、私たちは貴女方に力をお貸しすると。
ただし、なんでもいう事を聞くわけじゃありませんわよ。時には友として、貴女がたを止める場合もあるでしょう。
ですから、あなた方は失敗を恐れずに、自分がしたいことにチャレンジしてみてください。仮に失敗して祖国を追われることになっても、開放都市は貴女方を受け入れるでしょうから」
アレクシアさんの宣言を、うっとりした表情で見つめる人々の中に、何かを決意したような表情を浮かべている人が数名いますね。
「……あんな、煽動するようなこと言っちゃっていいんですか? ロンタノ辺境伯が聞いたら怒るんじゃ……」
僕がつぶやくと、ユイが微笑みながら口に出します。
「ロンタノ辺境伯、アレクシスは最初からそのつもりだったと思いますよ。
彼は貴女方二人を得られなかった時点で、自分の国の事よりも貴女方が動ける場所を広げる事に力を入れ始めましたから。
多分、その為のロンタノ辺境伯領であり、開放都市なんだと思います」
ユイの言葉に、リリーさんはうなづいて補足してくれました。
「彼は学院を卒業して帰国する前に、学院長を通して私たちにある提案をしていったのよ。
学院の知識で、他国に広めることで問題が無いような内容を、国の領域を超えて広めるための機関の設置と、国を超えた領域で幅広く活躍できる冒険者の育成と強化をね」
「まだあるわよ。開放都市の東区に存在する店舗や住民は、アレキサンドリアとアルベニア王国が和平を結んでいる間は、アルベニア国民の義務として納税の義務を負うとしているわ。
これは、万が一アルベニア王国が西進してアレキサンドリアを攻撃する場合、市民はアルベニア王国の国民としての義務を放棄することができるということね」
リリーさんに続けたアレクシアさんの言葉に、僕たちは首をひねります。
頭上にクエスチョンマークを浮かべている僕たちに向かって、コリーヌさんが口をはさみました。
「失礼、それは開放都市の市民は、自分の判断でその場を去ろうが、かまわないということでしょうか?
辺境伯は、領民がいなくなっても良いと……?
いや、まさか辺境伯は、自分自身も含めて、アルベニア王国から離脱して、開放都市を独立させるつもりですか!」
コリーヌさんの言葉に、僕たちは唖然としました。
「辺境伯が領都を捨てるわけはない…… それに、開放都市に住む者は自由市民が多い。しかも、開放都市はアルベニア王国の支援がなくても都市として成り立つことができる……」
「万が一の場合、彼は開放都市を独立都市として、町の防衛や維持を市民に任せるつもりよ。そして、彼も一市民としてそれに参加するようね。
ただし、アルベニア王国が手を出さない限り、莫大な税収が王国には入り続ける。それがわからない馬鹿でもない限り、西進するなんて考えないでしょうね」
……なるほど。そういったことがあって、アレキサンドリアは開放都市に手を貸したということですね。
開放都市に手をだせば、アルベニア王国から独立し、自由市民が街を守ります。そして、独立した彼らはアレキサンドリアの支援が期待できます。都市は一つであり、攻めてくる相手は西区をも手に入れようとするからです。
当然他国の領民や貴族の子女がいる開放都市を攻めれば、周囲の国からもアルベニア王国を攻める理由を与えることになります。
「はぁ、事政治に関しては、食えない相手ですね、ロンタノ辺境伯は……
開かれた町にすることで、自国からも開放都市を守るなんてね」
僕がつぶやくと、イリスさんとユイが笑います。
「ロンタノ辺境伯が何を考えていようが、私たちが気にする必要はないでしょ」
「それに、開放都市を攻めてくる敵がいれば、クロエさんを敵に回すことになりますもんね。四季は東区にありますもの」
二人の言葉に僕も納得します。
「そうですね……そんな相手には手段を択ばず反撃しちゃいますよ。その場合、王都が消し飛んじゃうかもしれませんね~」
「アレキサンドリアの東西で問題を起こすのはやめてくれないかしら? そんな過激な子に育てたつもりはないんだけど……」
僕の言葉に反応したアレクシアさんセリフでしたが、リリーさんをはじめとしたみな団の表情が、ナイナイと言っています。
そんなみんなの顔を、不服気に見ているアレクシアさんをみて、展望デッキは華やかな笑いに包まれたのでした。
◇◆◇◆◇◆
以上で7章が終了いたしました。後半ドタバタした展開になり、うまく書ききれませんでしたが、ここまでこらんいただいた皆様に感謝いたします。
新章は、次週日曜日に公開したいと思います。以後のお付き合い、よろしくお願いいたします。
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