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8.未来へ……
1.ファイブハウスの最初の議題は……
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くるりくるりと回る白い羽……
形の良い指がつまんでいるのは、白い鳥の羽のように見える。
「ふ~ん、これがクロエちゃんがまとっていた翼についていた羽なのね」
そういうアレクシアの視線の先でうなづくのは、金のショートヘアを揺らすイリスと、長い黒髪を揺らすユイである。
「そうですわ。クロエは背に一対の白い翼を生やして、宙に浮かんだ状態で魔法攻撃をしていたんですわ」
イリスの言葉にユイはうなづき、言葉を続ける。
「それに、空に浮いている状態で、翼を羽ばたいている様子はありませんでしたので、鳥とは空に浮いている原理が違うようですね」
イリスとユイの言葉をうらずけるように、エマやジェシーが投影している記録映像もそれを証明していた。
「鳥が飛ぶためには、翼を下向きに打ち下ろす強力な胸筋が必要ですわね。
クロエさんの身体にはそのような胸筋がついているようには見えませんから、魔法的なモノなのでしょうね」
リリーの言葉に、アレクシアは指先でクルクル回していた羽に魔力を込めてみた。すると、羽の色が根元から徐々に黒色に変色を始め、先端の毛先まで染まったかと思うとふわりと浮き上がる。
「どうやら、魔力を込めると機能するようね。この羽が付いた翼をもてば、空中を飛翔することは容易いでしょうね。でも、この羽にこめられた魔法はこれだけじゃないようね……」
そういって、浮いた羽に指先を向けると、首先の動きに従って、羽は空中を乱舞する。
やがて、アレクシアは指先を勢いよく振り下ろすと、それに合わせて空中を舞っていた羽は一直線にテーブル上へと突き立ったのだ。
イリスが突き立った羽に触れると、あっさりと卓上から羽は抜けたが、テーブル上には丸い穴が穿たれており、穴の周囲には亀裂やめくれた状態は見られなかった。
「……突き立った部分の木材が消滅していますわね。本体から離れた羽は、武器としても使えるようですわ」
今度はユイが、アレクシアと同じように手に持っていた羽に魔力を乗せると、再び羽は色を帯び始まる。
ただし、まとった色は黄色だ。
「……魔力をのせた者の色に染まるようですね」
そして、やはり空中を浮遊させたのちにテーブルへと羽を突き立てると、その場に紫電がはじける。
「今は雷をのせましたが、おそらく火や水といった魔法も載せることが可能なのでしょうね。
しかも本人の意思で空中を思い通りに浮遊し、あらゆる方向から敵を狙うことができる……」
ユイの言葉に黙り込む一同……
「もともとあの子の魔法ってやつは、非常識なものばかりだったけど、これは極まった感があるわね。
先ほどの戦闘記録をみていても、羽を使った攻撃は行っていないのに、羽にはその能力を持っている。
そして、羽を攻撃に使うことができるというなら、翼には羽の再生能力があるはずね。そうでないと、羽を飛ばせば浮力が維持できないでしょうから」
静まり返った中で、アレクシアの言葉がさらに追い打ちをかけると、今までアレクシアたちの対面の席で、右手で顎を覆っていた青家の頭首であるジャスティンが重々しく口にした言葉……
「いくらなんでも、異常すぎる。羽を浮かすことができるのなら、術者自体を浮かせばよいだろう。それなら翼はいらないはずだ。つまり、翼は見せかけでしかないはずなのに、使いもしなかった攻撃機能が備わっている。
本人が意図した機能であれば、戦闘に使用したはずなのに、使いもしなかったということは、術者が知らない機能をもった翼を、この空間に創り出したことになる。
そんな事は魔力が有る無しにかかわらず、人間にできはしまい。できるとすれば……」
「『神』かその眷属、おそらくあの子は『使徒』ということだろうね」
ジャスティンの言葉を遮ったのは、締め切った頭首会議室のドアを音もなく開けて入ってきたケイティーであった。
自分自身に注目が集まったのを知ってか知らずか、ケイティーは言葉を続ける。
「もともとあの子は出現自体が常識を外れていたんだ。もともと人外の者、『使徒』と考えれば、あの子の持つ知識や常識外れの魔力は納得がいくだろう?」
やれやれと傍らの席に座るケイティーを見やって、アレクシアは苦笑した。
「……ケイティー、まずは『使徒』という言葉、存在の意味から説明して頂戴。ここにいる大部分の人間は、あなたのように古文書を見る機会はないのだから」
一同の顔を見やって、アレクシアの言葉の意味に納得がいったケイティーは、肩をすくめて説明をはじめる。
「そもそも、『使徒』ってやつは神の眷属であり、その使いとして人の身体をもってこの世界に現れる者のことをいうのさ。そこまではわかるだろう?」
うなづく一同を見て、さらにケイティーは言葉を続ける。
「『使徒』は神の使い、そこまではいいんだ。これまでも、古文書などに記されている記録からみても、幾度か『使徒』はこの世界を訪れている。
問題なのは、多くの場合『使徒』の出現はそれまで栄えていた文明の崩壊と災厄が記されている直前に記されていることが多い。
おそらく『使徒』と文明の崩壊や災厄とは無関係ではないと思われることなのさ」
口を閉ざしたケイティーは、その視線をアレクシアに向ける。
アレクシアはケイティーの娘であり、現黒家の頭首でもある。アレキサンドリア共和国の有する最大戦力であり、人間としては最大火力をもつといってよい。
「クロエは水竜と対峙し、『這い寄る混沌』とも交戦している。黄家の下女、脳筋娘との交戦で使用した『光魔法』は、わずかな照射時間でも大きなダメージを受けるばかりか、狙われたら避けることはできない」
同じ魔法を使うことができるイリスの言葉に、アレクシアはうなづいた。
「イリスちゃんの新しい魔法攻撃を試しで使ってもらったけどね。とても厄介よね……」
アレクシアは遠い目を虚空にむけてつぶやいた。
「攻撃の威力に対して、詠唱時間が破格といってよいほど短いうえに、射線状に捉えられたら事実上逃げることはできないわね。一瞬で到達する光の帯から逃げることはできないわ……」
アレクシアの言葉に、驚愕する頭首たちであった……
形の良い指がつまんでいるのは、白い鳥の羽のように見える。
「ふ~ん、これがクロエちゃんがまとっていた翼についていた羽なのね」
そういうアレクシアの視線の先でうなづくのは、金のショートヘアを揺らすイリスと、長い黒髪を揺らすユイである。
「そうですわ。クロエは背に一対の白い翼を生やして、宙に浮かんだ状態で魔法攻撃をしていたんですわ」
イリスの言葉にユイはうなづき、言葉を続ける。
「それに、空に浮いている状態で、翼を羽ばたいている様子はありませんでしたので、鳥とは空に浮いている原理が違うようですね」
イリスとユイの言葉をうらずけるように、エマやジェシーが投影している記録映像もそれを証明していた。
「鳥が飛ぶためには、翼を下向きに打ち下ろす強力な胸筋が必要ですわね。
クロエさんの身体にはそのような胸筋がついているようには見えませんから、魔法的なモノなのでしょうね」
リリーの言葉に、アレクシアは指先でクルクル回していた羽に魔力を込めてみた。すると、羽の色が根元から徐々に黒色に変色を始め、先端の毛先まで染まったかと思うとふわりと浮き上がる。
「どうやら、魔力を込めると機能するようね。この羽が付いた翼をもてば、空中を飛翔することは容易いでしょうね。でも、この羽にこめられた魔法はこれだけじゃないようね……」
そういって、浮いた羽に指先を向けると、首先の動きに従って、羽は空中を乱舞する。
やがて、アレクシアは指先を勢いよく振り下ろすと、それに合わせて空中を舞っていた羽は一直線にテーブル上へと突き立ったのだ。
イリスが突き立った羽に触れると、あっさりと卓上から羽は抜けたが、テーブル上には丸い穴が穿たれており、穴の周囲には亀裂やめくれた状態は見られなかった。
「……突き立った部分の木材が消滅していますわね。本体から離れた羽は、武器としても使えるようですわ」
今度はユイが、アレクシアと同じように手に持っていた羽に魔力を乗せると、再び羽は色を帯び始まる。
ただし、まとった色は黄色だ。
「……魔力をのせた者の色に染まるようですね」
そして、やはり空中を浮遊させたのちにテーブルへと羽を突き立てると、その場に紫電がはじける。
「今は雷をのせましたが、おそらく火や水といった魔法も載せることが可能なのでしょうね。
しかも本人の意思で空中を思い通りに浮遊し、あらゆる方向から敵を狙うことができる……」
ユイの言葉に黙り込む一同……
「もともとあの子の魔法ってやつは、非常識なものばかりだったけど、これは極まった感があるわね。
先ほどの戦闘記録をみていても、羽を使った攻撃は行っていないのに、羽にはその能力を持っている。
そして、羽を攻撃に使うことができるというなら、翼には羽の再生能力があるはずね。そうでないと、羽を飛ばせば浮力が維持できないでしょうから」
静まり返った中で、アレクシアの言葉がさらに追い打ちをかけると、今までアレクシアたちの対面の席で、右手で顎を覆っていた青家の頭首であるジャスティンが重々しく口にした言葉……
「いくらなんでも、異常すぎる。羽を浮かすことができるのなら、術者自体を浮かせばよいだろう。それなら翼はいらないはずだ。つまり、翼は見せかけでしかないはずなのに、使いもしなかった攻撃機能が備わっている。
本人が意図した機能であれば、戦闘に使用したはずなのに、使いもしなかったということは、術者が知らない機能をもった翼を、この空間に創り出したことになる。
そんな事は魔力が有る無しにかかわらず、人間にできはしまい。できるとすれば……」
「『神』かその眷属、おそらくあの子は『使徒』ということだろうね」
ジャスティンの言葉を遮ったのは、締め切った頭首会議室のドアを音もなく開けて入ってきたケイティーであった。
自分自身に注目が集まったのを知ってか知らずか、ケイティーは言葉を続ける。
「もともとあの子は出現自体が常識を外れていたんだ。もともと人外の者、『使徒』と考えれば、あの子の持つ知識や常識外れの魔力は納得がいくだろう?」
やれやれと傍らの席に座るケイティーを見やって、アレクシアは苦笑した。
「……ケイティー、まずは『使徒』という言葉、存在の意味から説明して頂戴。ここにいる大部分の人間は、あなたのように古文書を見る機会はないのだから」
一同の顔を見やって、アレクシアの言葉の意味に納得がいったケイティーは、肩をすくめて説明をはじめる。
「そもそも、『使徒』ってやつは神の眷属であり、その使いとして人の身体をもってこの世界に現れる者のことをいうのさ。そこまではわかるだろう?」
うなづく一同を見て、さらにケイティーは言葉を続ける。
「『使徒』は神の使い、そこまではいいんだ。これまでも、古文書などに記されている記録からみても、幾度か『使徒』はこの世界を訪れている。
問題なのは、多くの場合『使徒』の出現はそれまで栄えていた文明の崩壊と災厄が記されている直前に記されていることが多い。
おそらく『使徒』と文明の崩壊や災厄とは無関係ではないと思われることなのさ」
口を閉ざしたケイティーは、その視線をアレクシアに向ける。
アレクシアはケイティーの娘であり、現黒家の頭首でもある。アレキサンドリア共和国の有する最大戦力であり、人間としては最大火力をもつといってよい。
「クロエは水竜と対峙し、『這い寄る混沌』とも交戦している。黄家の下女、脳筋娘との交戦で使用した『光魔法』は、わずかな照射時間でも大きなダメージを受けるばかりか、狙われたら避けることはできない」
同じ魔法を使うことができるイリスの言葉に、アレクシアはうなづいた。
「イリスちゃんの新しい魔法攻撃を試しで使ってもらったけどね。とても厄介よね……」
アレクシアは遠い目を虚空にむけてつぶやいた。
「攻撃の威力に対して、詠唱時間が破格といってよいほど短いうえに、射線状に捉えられたら事実上逃げることはできないわね。一瞬で到達する光の帯から逃げることはできないわ……」
アレクシアの言葉に、驚愕する頭首たちであった……
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