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8.未来へ……
15.依頼主と護衛
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アメリアの初飛行を無事に終えた僕たちは、客館前で遅めの朝食を摂った後に、今後の行動を相談しました。
食後のお茶を給仕してくださる伯爵家のメイドさんもいますが、あえて特に気にせずに話します。
「仮に『魔法の絨毯』が僕たちの旅程の妨害をしようとしても、僕とアメリアの二人で迎撃ができると思いますので、明日には旅を再開しても問題はないと思います」
僕の言葉に、コリーヌさんがあきれ顔で口にします。
「昨日の今日で、よく対抗策をうてるものだな。そして、アレキサンドリアという国の本当の恐ろしさは、その知識の広さと深さなのだとな。
魔法や魔道具というのは、アレキサンドリアの知識の一つに過ぎず、我々は無知ゆえにアレキサンドリアに及ばないのだと……」
僕がコリーヌさんに視線を向けると、彼女は肩をすくめて言葉を続けます。
「刻々と移り行く状況の中で、その時点では自らの力や術が及ばぬ場合もあるだろうが、アレキサンドリアの人々はそれを致命的な状況に陥る前に対抗策を生み出してしまう。
アレキサンドリアが、こと防衛線において不敗なのはそれが最大の要因であり、決して攻勢にでない理由でもあるとおもう。拠点を離れては、取れる対応策は減ってしまうのだからな」
戦姫と名高いコリーヌさんだけあって、少ない情報から本質を見抜く目はさすがとしか言えませんが、今は今後の旅について考えていただくことにしましょう。
「アレキサンドリアについてお褒め頂くのはありがたいことですが、まずは明日以後の旅路について考えましょう。
今後の旅に関しての懸念事項はいくつかありますが、『魔法の絨毯』所有者が空から僕たちを襲う事への対策はとれました。
ですが、その本来の事件である『貴族子息・子女』の誘拐については情報が不足しています。貴族だけの問題であれば、僕たちにはなんの関係もなく、関与すべきことではありません。
しかし昨夜さらわれた貴族子息・子女は、一様に高魔力保持者であり、失われても問題が少ないという共通点があります。
この共通点は、誘拐対象として狙われる人々が貴族だけにとらわれない場合、異国の旅行者である僕たちもその条件に当てはまる、つまり狙われる対象になりうるということです。
その場合、『魔法の絨毯』対策だけでは、安全確保に問題があると思われます。今回の依頼では、僕たちは護衛対象であり依頼主でもあるコリーヌ嬢の意向を優先せねばなりません。依頼主として、どうお考えですか?」
護衛任務という都合上、予定外のことに対しては、護衛対象の意向を踏まえなければなりません。その意向に対して意見をいうことはできますし、場合によってはギルドへ申告して依頼の中断や、新たに護衛を追加するなど対応策を考えることも必要です。
依頼人の意向とは言え、危険度が跳ね上がった依頼を継続するか否かは冒険者しだいですからね。少ない情報ではより安全な対策を考えるためにも、情報を集める必要はあるでしょう。
「確かに現状では情報が少なすぎるか…… 誘拐の実行犯の目的はともかく、規模や活動範囲なども不明では、こちらの戦力の過不足も判断できないしな。
では、冒険者ギルドで魔術師や魔力保持者の失踪事件がないかの確認と、ついでに我々の進む街道や村や町などでの盗賊や誘拐などの被害状況なども合わせて確認しておこう」
そして、隣の円卓に所在投げに座っているデーゲンハルト氏をみて、コリーヌさんが言います。
「デーゲンハルト殿、道案内役としても冒険者としても、貴殿が適任と思う。申し訳ないが、ギルドでの情報収集をお願いできないだろうか?
あぁ、アルバート殿はこちらで待機していてもらいたい。情報が不足している以上、貴殿の自由行動を認めるのは貴殿の安全上も良くないと思われるのでな」
僕が言う前に、コリーヌさんがアルバートに釘を刺しましたね。QAでの彼の行動は、乗組員には有名でしたからね。
アルバートは何か言いたげに、憮然とした表情をしていますが、ここは諦めてもらいましょう。日程が決まっている往路で、彼を無制限に野放しにするのは危険ですからね。
続いてコリーヌさんはサンドラさんを見ます。
「サンドラ嬢、申し訳ないが貴女の姉上から、今回のような誘拐事件に関する貴族の噂話を仕入れてもらえないだろうか? 可能であれば、この領地だけでなく王都まで含めた話をお願いしたい」
「あぁ、それは構わないが、王都の話しとなると父上には聞けないか...... 薮蛇になっても困るから、姉上に尋ねる事にしよう」
「確かに、僕たちや他国の貴族子女であるコリーヌさんには、自国の内情は教えたくない内容ですしね。人選も最適だと思います」
僕がそういうと、サンドラさんも頷いて席を立ちました。デーゲンハルト氏も同様に席を立って、情報収集に出かけます。
「あえて屋敷の人間に、飛行具での戦闘訓練を見せるということは、クロエ孃も内部に協力者がいると思っているんだね」
周囲のメイドさんの動きをみながら、小声で訊ねてきたコリーヌさんに、僕は頷きます。
「四人の男女を即座に無力化させることは可能ですが、短時間で魔法の絨毯に乗せることは出来ないでしょう。
それに昨夜のパーティーに、ターゲットが確実に参加していることを把握していたようですから、内部に協力者がいると考えた方が間違いないでしょう」
僕とコリーヌさんのやり取りを聞いていたアメリア達も、少し驚いたようですがうなずきます。
箒による飛行訓練・戦闘訓練の内容は、すぐに相手にも伝わるでしょうから、仮に高魔力保持者を狙っていたとしても、僕たちをすぐに襲うことは躊躇うでしょう。
「「これも情報戦という奴(だな)」ですね」
頷き合うと、僕はアメリアとの戦闘訓練に、コリーヌさんは今後の旅で必要な食糧や飲み水の調達へと動き始めたのでした。
食後のお茶を給仕してくださる伯爵家のメイドさんもいますが、あえて特に気にせずに話します。
「仮に『魔法の絨毯』が僕たちの旅程の妨害をしようとしても、僕とアメリアの二人で迎撃ができると思いますので、明日には旅を再開しても問題はないと思います」
僕の言葉に、コリーヌさんがあきれ顔で口にします。
「昨日の今日で、よく対抗策をうてるものだな。そして、アレキサンドリアという国の本当の恐ろしさは、その知識の広さと深さなのだとな。
魔法や魔道具というのは、アレキサンドリアの知識の一つに過ぎず、我々は無知ゆえにアレキサンドリアに及ばないのだと……」
僕がコリーヌさんに視線を向けると、彼女は肩をすくめて言葉を続けます。
「刻々と移り行く状況の中で、その時点では自らの力や術が及ばぬ場合もあるだろうが、アレキサンドリアの人々はそれを致命的な状況に陥る前に対抗策を生み出してしまう。
アレキサンドリアが、こと防衛線において不敗なのはそれが最大の要因であり、決して攻勢にでない理由でもあるとおもう。拠点を離れては、取れる対応策は減ってしまうのだからな」
戦姫と名高いコリーヌさんだけあって、少ない情報から本質を見抜く目はさすがとしか言えませんが、今は今後の旅について考えていただくことにしましょう。
「アレキサンドリアについてお褒め頂くのはありがたいことですが、まずは明日以後の旅路について考えましょう。
今後の旅に関しての懸念事項はいくつかありますが、『魔法の絨毯』所有者が空から僕たちを襲う事への対策はとれました。
ですが、その本来の事件である『貴族子息・子女』の誘拐については情報が不足しています。貴族だけの問題であれば、僕たちにはなんの関係もなく、関与すべきことではありません。
しかし昨夜さらわれた貴族子息・子女は、一様に高魔力保持者であり、失われても問題が少ないという共通点があります。
この共通点は、誘拐対象として狙われる人々が貴族だけにとらわれない場合、異国の旅行者である僕たちもその条件に当てはまる、つまり狙われる対象になりうるということです。
その場合、『魔法の絨毯』対策だけでは、安全確保に問題があると思われます。今回の依頼では、僕たちは護衛対象であり依頼主でもあるコリーヌ嬢の意向を優先せねばなりません。依頼主として、どうお考えですか?」
護衛任務という都合上、予定外のことに対しては、護衛対象の意向を踏まえなければなりません。その意向に対して意見をいうことはできますし、場合によってはギルドへ申告して依頼の中断や、新たに護衛を追加するなど対応策を考えることも必要です。
依頼人の意向とは言え、危険度が跳ね上がった依頼を継続するか否かは冒険者しだいですからね。少ない情報ではより安全な対策を考えるためにも、情報を集める必要はあるでしょう。
「確かに現状では情報が少なすぎるか…… 誘拐の実行犯の目的はともかく、規模や活動範囲なども不明では、こちらの戦力の過不足も判断できないしな。
では、冒険者ギルドで魔術師や魔力保持者の失踪事件がないかの確認と、ついでに我々の進む街道や村や町などでの盗賊や誘拐などの被害状況なども合わせて確認しておこう」
そして、隣の円卓に所在投げに座っているデーゲンハルト氏をみて、コリーヌさんが言います。
「デーゲンハルト殿、道案内役としても冒険者としても、貴殿が適任と思う。申し訳ないが、ギルドでの情報収集をお願いできないだろうか?
あぁ、アルバート殿はこちらで待機していてもらいたい。情報が不足している以上、貴殿の自由行動を認めるのは貴殿の安全上も良くないと思われるのでな」
僕が言う前に、コリーヌさんがアルバートに釘を刺しましたね。QAでの彼の行動は、乗組員には有名でしたからね。
アルバートは何か言いたげに、憮然とした表情をしていますが、ここは諦めてもらいましょう。日程が決まっている往路で、彼を無制限に野放しにするのは危険ですからね。
続いてコリーヌさんはサンドラさんを見ます。
「サンドラ嬢、申し訳ないが貴女の姉上から、今回のような誘拐事件に関する貴族の噂話を仕入れてもらえないだろうか? 可能であれば、この領地だけでなく王都まで含めた話をお願いしたい」
「あぁ、それは構わないが、王都の話しとなると父上には聞けないか...... 薮蛇になっても困るから、姉上に尋ねる事にしよう」
「確かに、僕たちや他国の貴族子女であるコリーヌさんには、自国の内情は教えたくない内容ですしね。人選も最適だと思います」
僕がそういうと、サンドラさんも頷いて席を立ちました。デーゲンハルト氏も同様に席を立って、情報収集に出かけます。
「あえて屋敷の人間に、飛行具での戦闘訓練を見せるということは、クロエ孃も内部に協力者がいると思っているんだね」
周囲のメイドさんの動きをみながら、小声で訊ねてきたコリーヌさんに、僕は頷きます。
「四人の男女を即座に無力化させることは可能ですが、短時間で魔法の絨毯に乗せることは出来ないでしょう。
それに昨夜のパーティーに、ターゲットが確実に参加していることを把握していたようですから、内部に協力者がいると考えた方が間違いないでしょう」
僕とコリーヌさんのやり取りを聞いていたアメリア達も、少し驚いたようですがうなずきます。
箒による飛行訓練・戦闘訓練の内容は、すぐに相手にも伝わるでしょうから、仮に高魔力保持者を狙っていたとしても、僕たちをすぐに襲うことは躊躇うでしょう。
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頷き合うと、僕はアメリアとの戦闘訓練に、コリーヌさんは今後の旅で必要な食糧や飲み水の調達へと動き始めたのでした。
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