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第14章

第3話 エンバス side ~ルース~

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 時は遡り十数年前の話しと、今の話しを少しだけ………。

 エンバス商会は、代々ベルガモット家御用達商人として出入りを許されている商会だ。
 私はこの商会の次男だ。


 そもそも、家の商会が生き残れて居るのはベルガモット家のお陰で商いが上手く行っているのだと、よく父が言うのだが本当にその通りだと思う。

 ある日、ベルガモット家のアデス殿のご息女様がお生まれに為ったとの連絡が家に届いたらしい。

 私も幼かったので良くは覚えては居ないが、父と兄上と私の三人で屋敷に赴いたのを少しだけ覚えている。

 とてもお可愛いご息女様で、そのお顔を見て私は顔がポーっとなったのを覚えている。
 子供なからませた子供だった。

 それから数年が経ち、成人した頃には父の仕事を手伝う様に為っていた。

 更に数年が経った頃、兄が結婚をして父の後を継ぎ店を守って行くことに為り。

 次男の私の居場所が無く、居場所を探して部屋を借り家族とは別に暮らし始め家の仕事は手伝うという形に為った。

 私は別の仕事を持っても良かったのだが…。
 商売人の息子に生まれてしまった性なのか、別の職業にも興味が湧かず父の仕事の手伝いをいまだに続けている。

 そんな頃、町で噂に為ったのがベルガモット領主様のご子息アデス様が、王都よりお帰りに為ったという話が広まっていた。

 そして、実際にお帰りに為られてから直ぐに領主邸だった屋敷の直ぐ側に、城が出来上がり町中で騒ぎになり。
 それからまた暫くすると、今度は貴族街が出来上がりそれから直ぐに、ベルガモット領地は公国と成ってしまったのだった。

 これには驚いたが、それでもこの地に暮らす者達は何故か納得するのだった。

 私もその一人だが。

 そんな頃、父がドワーフのモーリス殿と会ったらしく、一緒に城に向かってくれと頼まれ親子三人とモーリス殿と一緒に登城する事に為った。

 その前に少しモーリス殿から不思議な玩具を見せられた。
 それは物珍しい物で二人で遊ぶ玩具だった。

 モーリス殿からは、これを売るのに協力してくれないかと話を持ちかけられ、父がその話しに乗ることにしたのだった。

 何せ、この話を持ち込んだのはパトリシア王女様の案件だったので、直ぐに父上が飛び付いたからだ。

 そうして、今親子三人とモーリス殿と4人で城に向かった。

「父上……近くで城を見るのは始めてですが……。どの国の城より豪華ですねぇ……」
「そうだな、お前達陛下に粗相が無いように頼むぞ!」
「ガハハハ!儂も、始めて来たが見事な建物だわい!流石嬢ちゃんが住む城だせぇ~」
「モーリス殿、その、嬢ちゃんとはまさか!」
「それは、会ってからのお楽しみだぜ!ほれ早くいくぞい!」

 そうして4人で城の中に入るのだった。

 それから、私達は驚く事が一杯で目を白黒させながらパトリシア王女様とお話をさせて貰い、その話しが楽しくつい夢中に話しをする事もあった。

 パトリシア王女様と会うたびに、その魅力に引かれ不敬だとは思いつつ先日遂に自分の思いを手紙に書いてしまったのだが……。

 私のあの手紙で、王女様を困らせてしまったのは確実だろう。
 それに断られるのも分かってはいるのです。
 私は商人の家に生まれただけの肩書の無い平民です。

 王家のお嬢様を私の伴侶に等……夢の又夢です。
 それでも私の気持ちだけは知って欲しかったのですが。
 …あぁ~やはり手紙などださなければ良かった。


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