ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

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新たな町へ

404話 グレドを見送る

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 グレドと話した後、厨房に入って食器棚を覗いた暁彦は、「案の定予想通りというか、殆んどの食器が数枚ずつ足りなてないじゃんか」と愚痴る。

「うっ!これは派手に壊したな……。皆と一緒に食事をする回数が少なかったから、気付かなかった……」

 まったくグレドは早く言ってくれれば良いのに……。
 変なところに気を使ってるから、今夜みたいな事になるんだよ。

「にしても酷ぇ……。まっ、所詮100均だ!また同じ物のを出せば良いか。それに人が増えるからな、多めに出しておくか」

 ネットから皿にコップにカップに後は……?
 あぁーーミルクピッチャーまで壊したの?
 信じられねぇー、どうすりゃこんなもんを壊せるんだ?
 それから小鉢に………あー面倒臭ぇー!

 イリヤ!給料から毎月大銀貨三枚抜いてやる!くそ!

 全部出した食器を洗って拭いて、食器棚に仕舞うと良い時間になる。

「ふぁ………眠い」

《そろそろ12時を過ぎますよ?》

『そうなの? なら、俺も寝るかな……部屋に戻るか』

 厨房を出て自分の部屋に戻った暁彦は、自分の身体にクリーンを掛ける。
 それからパジャマに着替えて………お休みなさい。


**


 そして、朝……時間は6時ピッタリ。

 暁彦は、目覚ましで起こされた。
 だが起きない。
 起きない暁彦に、しびれを利かせたナビが暁彦に声を掛けて起こす。

《おはようございます主、グレドがそろそろこの屋敷から出て行きますよ?》

 見送らないのですか?と声が頭の中で響いた。
 その声を聞いた暁彦は、慌ててベッドから起き上がり声をあげた。

『え!マジもうそんな時間なの?』

《そんな、時間ですよ!》

 分かった支度急ぐ!

 ナビに返事をして、バタバタと支度をし慌てて部屋を飛び出て階段を下りエントランスに向かう。
 すると丁度グレドが、エントランスから出るのが見えた。

「グレド!」

 ま、間に合った。

「旦那!起きたんですかい?」

 ニヤリと笑うグレド。

「すまない、遅くなった」

「構わないぜ? 旦那、夕べ厨房で食器出してたんだろ。朝見て驚いたぜ?」

「まぁね。てか、そこまで送るよ」

 グレドと外に出ると、もう既に馬車がエントランスに横付けしてあって、グレドが御者台に乗り込むだけだった。

「なら、行って来ますよ。戻りは遅くなるかと思うが……」

「構わないぞ!それより、グレド気を付けて向かえよ?結界忘れるなよ?」

「分かってますぜ!なら………」

 御者台に座ったグレドは、パチンと手綱で馬を叩いて、合図をするとゆっくりと馬が歩きだした。
 そして、表の門が開き門番のカシュー達と何かを話しをするのが見えたが、直ぐに門から馬車が出て行ったのを邸の門が閉まったのを見送った。

「行ったな……グレド気を付けろよ」

 誰にも聞こえない小さな声で、ボソッっと呟いて邸の中に入り暁彦は食堂に向かった。

 あ~腹へった……。
 グレドの奴、厨房行ったって言ってたか?
 なら、食事作ったのか……弁当でも作ったのかね。
 それと後は、俺らの飯もついでに作ったかな?全く律儀だよなぁ~。
 それでもこっちは感謝だけど……。
 さて、朝飯食って起きてこない奴らのお説教かな……朝から面倒だ。

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