ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

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新たな町へ

516話 騙された。

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 暁彦とニングス達が新人達を其々の場所を案内している同じ時間に、カシュー達も新しく来た二人に門番の仕事を説明するのだった。

「えっと、今日から宜しくな?門番の仕事はそんなに大変な仕事ではないからな。1日ここに居なくでも済むしな」

「へ、へぇそうなんですね?」

「だったら他の仕事は、何をしてるんだ?」

「まぁ待て、まだ黙って聞けよ」

「そうそう、ちゃんと決まり事があるんだよ」

 ……半日働いて、それからの空き時間もそれなりにやることはあるんだぞ。

「門番はな、二人一組で半日ずつで交代すんだよ!で、門に立っていない時間は他の仕事をするんだ」

「ほかの仕事?」

「ああ、自分の適材適所の場で働くもの良いぞ?」

「例えばどんな?」

「馬の世話に、畑仕事、料理人達の買い出しの護衛。後は仕事ではないけど、寮のトレーニングルームで身体を鍛えたり、訓練所で剣や武術の訓練とかだな」

 鍛えるのが仕事の内でもあるな。

「それから勉強がしたいなら、子供達と読み書きを教わっても良いぞ?」

「まぁ~やることは色々あるが…。偶にあるのは、旦那様がギルドで依頼をこなしたり。ギルマスから、直接依頼を受けたりするからその護衛もあるが…」

 まあ、あれは俺達のレベリング兼ねてだろうけどな。とカシューが思う。
 旦那と行くとレベルが上がるしなぁ~。とモルマンが思う。
 臨時収入も入るしね……美味しい仕事だな。とカナルが思う。
 旦那様と要ると飽きないよな?とゲイルが思う。


「ふぅ~んそうか?なら門番の仕事以外は、好きにしていいのか?」

「好きにしてとは、言わないけどな?それなりに自由だな?」

「なら、俺達は別に仕事なんてしたくないな。他の奴らを手伝う気もないし、ましてや護衛なんて真っ平だしな」

「そうだね……半日でここに立ってれば良いだけだってさ!兄ちゃん。良かったね?楽な仕事でさっ」

「「「「……」」」」

「まあそうだけど……あんたら、旦那様に泣きついた割に図々しいな?」

 言ってた事が全然違うだろ?

「あんたら、旦那様に何でもするって言ってなかったか?(泣いてすがってたろ?)」

「え!そうなのか?それなら門番以外にも仕事をするのが普通だろがよ!おい!」

「言うかよ!そんなこと。まあ、少しは頼んだかも知れねぇがよ?俺らはよ、楽できるならよ楽すんだよ!あんたらだけで働けよ」

「そうだよね?兄ちゃん良かったね?ここなら美味しく暮らせそうだよ!皆さん俺達に構わないで下さい!門番は俺ら二人で、昼から遣りますよ?それと、朝のあれ?下らない点呼?あれも俺達は出ませんから、皆さんでやって下さい」

「「「……」」」

 双子の弟がニコニコ笑って図々しい事をいい放った。
 この言葉を聞いたカシュー達は、絶句してしまいなにも言い出せずにいた。
 でも、一人だけ珍しく双子の言葉に反応した男がいた。

「こいつら図々し過ぎる!旦那様に言ってくる!カシュー、カナル!こいつら縛れ!なんでこんなの連れて来た?」

 おお、ゲイルお前珍しく反応したね?どうした?

「す、すまん俺達は騙されたらしい。旦那は嫌がってたんだよ、こいつらを連れてくるの」

「……そうか、待ってろ」

 待てと言い駆け出していったゲイルには驚いたが……まあ、ここで動いてくれたのは助かった。

 それと、ゲイルの言葉で動いたのはモルマンだった。
 カシューやカナルより早く、詰め所の中に入りロープを取りに行って戻って来た。

「カナル!カシューそら!そっち縛れ!」

「「お!」そうだった…」

「な、何すんだよ!」

「なんだよ、俺ら何にもしてないだろ!」

 ロープを受け取った俺達は、双子を取りあえず縛ったが……別に縛る必要あるか?

「まあ、ほら、旦那様が来てから話そうぜ?それからロープは、旦那様の許可が出たらほどくから少し待ってろよ。それとあんたらよ、面接の時と随分態度が違うよな?あり得ない話しだが、あんたらが旦那様に危害を加える?なんてことも、あり得るからな!このまま縛られててくれや!」

 まぁ…あの旦那様には、危険なんて言葉は要らないし警戒する必要も無いだろうけどな?


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