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新たな町へ
564話 どうすれば?
しおりを挟む貴族二人の突然の訪問に戸惑う俺を横目に、二人の貴族さんたちは二人に出した茶と茶請けに感動した様子だ。
でもなんかわざとらしくて…嫌な感じだ。
「暁彦!この茶は何処で?」
と隊長さんが聞いてくる。
「暁彦君!この菓子、土産に持ち帰りたいのだが…駄目かね?」
お次は領主様ですか。
なんつう…図々しい事をいってますかね?この人は!借りにも…借りなくても貴族だろうに!
ん?まてよ…貴族だから、図々しいのか?
ああ、納得と頭の中でポンと手を打つ。
「ええっと、お二人とも」
「なんだ?」
「なんだね?」
「私は先ほど、突然のお二人のご訪問の訳を伺いませんでしたか?」
「あぁ、そうだったか?」
「……ご用が無いようでしたら、お帰り頂けないでしょうか?私も暇ではないのですが?」
今日はこれから薬を作って、午後は……ええっとあっ!ケイルスと話しがあった様な気がするんだよね。
「ま、まぁ、そう言うな!私が暁彦君の屋敷を見たかった嵩なのだよ!」
はぁ?屋敷を見たいって……何をトチ狂ってんですかねこの人は!本当に貴族って……。
「為らば、領主様!もう見ましたね?お帰り下さい!」
「い、嫌まだリビングに入れて貰った嵩ではないか!他にも色々とあるのだろ?」
色々聞いてるぞ!と仰いますがね、貴族様?あんたの所よりは地味ですし!殆んど使用人の施設の方が……あっ、寮は立入禁止だな。ってか使用人の施設までは見せなくても良いのか。
相手は貴族だったよ!ハハハ!
《どうしたのですか?さっさと追い返せば良いだけなのでは?》
『お前…ナビ!それが出来ないから困ってるんだろうがよ!』
《お気の毒様ですね》
『ありがと…ふん!』
「そんなの、何処にも有りませんよ!ご領主様の、お屋敷より狭いですし。部屋数だって負けてますしね。たぶんですが」
「アハハ、そう謙遜しなくていいぞ?聞けばこの屋敷は二件分の土地だそうじゃないか」
「あの……それは何処から?」
聞かなくても分かるけどな!一応確認の為だがな!
「それはギルマスからだが?」
「ば、馬鹿!ダルタニアお前それを言ったら…」
「あっ、言ってしまったよ。ハハハ。ヒューグ、すまんすまん」
この人たちは馬鹿なのか?
どうせ、ギルマスから、聞き出したんだろうけど…でも口止めされなかったのか?
ってかさっ!ギルマス…何、この人らに喋べってるんだよ!
「だが、暁彦!俺もギルマスから聞いてるぞ?なんか広い風呂があるらしいじゃないか?それに…広げた土地もあるとか?この前に来たときは、色々見れなかったからね。今回は是非見せて貰いたい物だ。それに…妹の縁談を断ったんだ!それくらいの誠意を見せて貰ってもいいのでは?(ニッコリ)」
くぅ……縁談話しを断ったの根に持ってるし!
しかもニッコリ笑いやがって……イケメンめ!
ったく……どうすれば良いのかよく分からん。
「す、すみませんが、少しお待ち頂いても?だいたい風呂は、使用人に解放している場所でして、貴族の貴方方が入れるような場所では…」
「えっ!そうかのかい?きみは使用人に風呂場を使わせてるのかい?」
「ええ、そうですよ?それがなにか?私も偶に使いますがね?」
「……それなら…構わん!是非にも使ってみたい」
「ち、ちょっとお待ち下さい!(何が構わないだよ!こっちが構うんだよ)」
ソファーから立ち上がると、後ろに居たケイルスと目を併せて廊下に出るように合図して、廊下に出ると、俺はすぐにケイルスと話しをし始めた。部屋の中の二人に聞こえないぐらいの、小さな声でね。
「コソ(ケイルス!どうすれば良いかね?)」
「コソ(と、言いますか…旦那様は、あの方たちとお知り合いだったのですか?)」
「コソ(そう、知り合いだったの!でも風呂場を使わせて遣る程、親しくないと思うけど)」
「コソ(では何故?)」
「コソ(それを俺が知る訳ないよ!とっくに縁は切れてるものだと思ってたんだよ!ったくあのギルマスめ!要らんことを喋りやがって!)」
「コソ(ま、お怒りはごもっともですが、落ち着いて下さい。今は、あの方たちをどうするのかが!先です)」
「コソ(……だよな!さてどうするか?)」
「コソ(旦那様のお使いに為ってる三階に御案内するのは?」」
どうでしょうと仰いますがね!ケイルス君!三階は俺のプライベートスペースよ?それに風呂場もそう、広くはない。
3階は誰も入れさせないからね!
見られると不味い物が一杯だ!
《今更そんなに隠す事ですかね?この屋敷の厨房こそが隠す必要があると、私は思いますが?》
でも3階は3階で……結構最先端だぞ?
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