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新たな町へ
565話 目敏い。
しおりを挟む俺のプライベートスペースに招けとな?ケイルス君……結構大胆ね?
まあ、ごり押しされても無理だけどな!
「……それは無理だ、ケイルス。3階の風呂場は広くはないんだ」
…と誤魔化す。
「そう……でしたか。それは失礼しました。では一階の風呂場にですか?」
「そうなるんだけど……良いのかね?」
相手は貴族だぞ?俺の首飛ばない?めっちゃ怖いんだけど?
「…………まぁ、仕方ないのでは?」
「ええ!良いの?」
「良いか悪いかで言えば、悪い!ですけれど…来てしまって、屋敷の案内と風呂場を使わせない限り、あのお二人は帰らないと思いますが?」
「そうなるのか……。しかし俺の屋敷なんて、つまらないのに。なんで見たいかね」
「……それは……私にも良くは分かりません。ですが旦那様のお屋敷は…変わって居りますよ?」
私も市場に買い物に出向けば、よく聞かれますとの事だ……。なに?未だそんなに興味があるの?
そろそろ忘れてくれない?
「……まぁ、そうか…」
好奇心旺盛なんだね?
馬に蹴られろ!ちくしょー!
「なら、ケイルス君、君すまないけど。アンクと一緒に風呂場に行って軽く見て回ってくれない?君たちの私物があると不味い気がするし」
「承知しました…。たぶんですが、子どもたちの玩具ぐらいですよあるの?」
「……それでもだよ。それに、それを片付けてくれよ」
「フフフ、了解です」
廊下でそんな話しをして、リビングに戻ると…。
お貴族様お二人は…マイナを捕まえて、なにやら質問していた様子。
マイナも困り顔をしてるし俺を睨んでるよね?あれ。
で、マイナの口が置いてくな!って言ってるのが分かった……ハハハごめんです。
「お待たせしまして、申し訳ありませんでした。それで?うちのメイドからは、なにか聞けましたか?」
「い、いやぁ…何も話してないぞ?」
あっ!誤魔化したし……口止めでもしたのかな?マイナが困った顔をしてるんだよね。
後で聞けるかな?
「そうでしたか? ですが、うちのメイドを脅かさないで下さいね? 何せ貴重な女手ですので」
「い、嫌だな!本当になにも聞いてないよ?ただね?」
「唯?」
「あのメイドの着ている服が変わった素材だったのでね? 仕立てた店を聞いて居たんだよ。是非家のメイドにも採用したいと思ってね」
はぁ使用人想いな事で…本当に?と疑うけどね。
「そうでしたか? その制服は、私の国の物なので、購入は難しいかと思いますよ」
「そうなのかい? 色と、デザインが可愛くて良いねぇ~」
そう言って俺をちらりと見る……むぅ……。
だから貴族は!これは話をすり替える必要がある!
「ええっと、領主様にヒューグ隊長様。先ほど席を外した際、執事と話しましたが…。そう言えば?ご領主様?」
「なんだい?」
「前にお屋敷に伺った時に、ええっと…もう少しお若い方が、付かれて居たかと記憶してますが?」
「あぁ、あれかい?あれは今回は置いてきたんだよ。それがなにか?」
置いてきたんだ…良かった!俺の魔法はちゃんと通用したんだね良かった…。
「いえ、特になにも。すみませんでした、変な事を伺ってしまい。それで、風呂ですが」
「おや?使わせて貰えるのかい?」
「それは、いいね!着替えを持って来た甲斐があるよ」
よ、用意周到でいらっしゃる。
ってか!持って来たんかい!
入る気満々じゃないか!俺が断れないのに、つけ込みやがって!
「ええと…それがまだ、ご用意が出来て居りませんので、お待ち頂く事に為るかと?その間に庭にでも案内しますか?それとも…」
「出来ればで良いのだが、屋敷の中を案内してくれないかい?」
「はあ?屋敷をですか?特に御案内する場所はありませんが…」
「何をいってるのだ?この部屋に置いてある調度品の数々!どれも素晴らしい物だろ?さぞ屋敷も見る価値はある筈だ!」
「そうだな、前にも来たが本当に素晴らしい。彼処の置物が入る棚も、ガラスでは?それに、あの中に飾ってあるあの数々の品も、目に入る物もだ。あれを見るだけでも、価値があるぞ?いったい君は何処の誰なのか?」
ど、何処の誰かねぇ……説明が難しい…言わないけど。
それに目敏いよなぁ~。
まぁ置物を普通に飾ってるからな、目には付くよね?それに相手は目の肥えた貴族だし……はぁ……。
どうしょうか……。
いっそのこと売り出すか?良い機会だ!
貴族の……まあ、限定だけど売ってもいいかね。
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