ある日仕事帰りに神様の手違いがあったが無事に転移させて貰いました。

いくみ

文字の大きさ
629 / 763
新たな町へ

閑話 ニングスside 2

しおりを挟む


 夜営場所で食事の用意をし、支度が終わると火を消して馬車に戻って食事をする。
 一人の食事も段々慣れましたね。
 最初は屋敷でワイワイ騒ぎながらの食事をするのが無いと寂しくもあったのですが…。
 とぼそりと独り言を謂う。

 そして、馬車の中の空間を広げ風呂に入りゆっくりすると風呂から出てベッドに潜り眠りにつく。

 勿論、結界には人が近付くと気付く警戒音が鳴る仕組みになっているらしいです。
 さすが旦那様です。




見知らぬ冒険者side


「お、おい!あのおっさん!なんか食いもん作ってねぇ?」

 三人の男達が夜営場所に着くと、その中の一人の男が先に居たニングスをおっさんと云い、ニングスの手元を見て食べ物らしき物を作っているのが分かると、そんなことをほざいた。

「おい、止めろよ。いくらこっちが食えるもん無くても、じっと見てんじゃねぇよ。女々しい奴だと思われるだろう!恥ずかしい」

「だってよ!俺らこれ食っちまったら、明日から飯抜きだぜ?」

 手に取り出したのは乾いた干し肉の一欠片だ。

「んなもん、明日角兎でも捕まえれば!」

 今晩くらいは我慢出来る!と一人の男が言う。

「ええ、森に入んの?」

 ニングスをおっさんと言った男が不満を漏らす。

「当たり前だろ!それに、明日から依頼で受けた森に入るんだからな!」

「でもよぉー俺、腹減った! あっ!俺あっちのおっさんに、食いもん分けて貰えるか聞いてくる!」

「「おい、」止めろよ!みっともない」

 と、この冒険者達は一人を覗いて後の二人は行儀の良い方の冒険者だったらしい。

 そうして、ブッカという男がニングスに話仕掛けるが、ニングスは相手にせずだった。
 ブッカというと、仲間のミッドに引きずられ元の場所に戻ったブッカは、残っていたナンバルに怒鳴られ頭に拳骨を落とされた。

「いってぇ!なにすんだよ!」

「みっともない事すんなよ!」

「ええ、だってよぉ~旨そうな飯!持ってそうだったぜ?良い匂いさせてたし」

「人が皆良い奴で、好意を持って物を分けてくれるなんて考えるなよ!世の中、善い奴なんて一握りだぜ?」

「そうだ!見た目が小綺麗だったから、金持ちなんだろよ。金持ちが俺らみたいな冒険者に、なにかを分けて寄越すなんてしねぇんだよ」

「そうだぞ、そもそもあいつがもし貴族だったら、俺ら酷い目にあってるかもしれねぇんだぜ?気を付けろよ」

「でもよぉ~ミッド…」

「もういいそんなのほっとけ!おい、ミッド火を起こせ!んでブッカは、鍋置いて湯を沸かせよ!」

「はいよ!」

「わかった…でも気になる…」

「ブッカ!」

「わ、わかったよ」

 そうして、三人で焚き火を囲み最後の干し肉を齧り白湯をすする。

 だがどうしても気になるのは、隣のおっさんの事だ。ブッカは特に興味が有るようで、チラチラと覗き見をしている。

「あっ!」

「なんだよ!ビックリした大声だすなや!」

「だってよ、あのおっさん!火を消して馬車に入っちまったぜ?」

「はあ?見張りしないのか?」

「……何か、気味が悪いな」

「だな……俺らも寝床作って寝ちまうか。おい!プッカ、お前が先に見張りだ」

「ええ、俺かよ…しかもおっさんは見張りもせずに馬車の中って……図々しい」

「良いんだよ!魔物でも来たらあっちは置いてけば」

「そ、そうか!あっちを、囮にすんのか?」

「そうだよ、見張りもせずに場を離れたんだ。何があっても自業自得だろ?俺らは知らん」

「……よく、分からねぇがそうか!なら気楽に見張ってるぜ!」

「「おう、任せた」」

 それから……三人で夜の火の番をして夜があける。
 最後の番をしていたミッドが、明け方うとうとしているとブッカがおっさんと言っていた男の馬車が動き、夜営場所から去っていった。

「………お早い出立だな……」

 とポツリとミッドが呟いた。

 テントから起き出したブッカは、おっさんが居なかった事に驚いて騒いだがブッカたち三人もその場を離れ、依頼の仕事をするために森に入って行った。
しおりを挟む
感想 124

あなたにおすすめの小説

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

異世界帰りの最強勇者、久しぶりに会ったいじめっ子を泣かせる

枯井戸
ファンタジー
学校でイジメを受けて死んだ〝高橋誠〟は異世界〝カイゼルフィール〟にて転生を果たした。 艱難辛苦、七転八倒、鬼哭啾啾の日々を経てカイゼルフィールの危機を救った誠であったが、事件の元凶であった〝サターン〟が誠の元いた世界へと逃げ果せる。 誠はそれを追って元いた世界へと戻るのだが、そこで待っていたのは自身のトラウマと言うべき存在いじめっ子たちであった。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

前世は最強の宝の持ち腐れ!?二度目の人生は創造神が書き換えた神級スキルで気ままに冒険者します!!

yoshikazu
ファンタジー
主人公クレイは幼い頃に両親を盗賊に殺され物心付いた時には孤児院にいた。このライリー孤児院は子供達に客の依頼仕事をさせ手間賃を稼ぐ商売を生業にしていた。しかしクレイは仕事も遅く何をやっても上手く出来なかった。そしてある日の夜、無実の罪で雪が積もる極寒の夜へと放り出されてしまう。そしてクレイは極寒の中一人寂しく路地裏で生涯を閉じた。 だがクレイの中には創造神アルフェリアが創造した神の称号とスキルが眠っていた。しかし創造神アルフェリアの手違いで神のスキルが使いたくても使えなかったのだ。  創造神アルフェリアはクレイの魂を呼び寄せお詫びに神の称号とスキルを書き換える。それは経験したスキルを自分のものに出来るものであった。  そしてクレイは元居た世界に転生しゼノアとして二度目の人生を始める。ここから前世での惨めな人生を振り払うように神級スキルを引っ提げて冒険者として突き進む少年ゼノアの物語が始まる。

R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~

イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。 半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。 凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。 だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった…… 同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!? 一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!

処理中です...