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新たな町へ
609話 住もうか?
しおりを挟む次の日、時刻は昼の12ごろ。
暁彦は宿を出ると、町を探索し良さげな店で買い物……爆買いしつつその足でギルドへ向かい、ギルドのカウンターの前に立つと目の前の受付嬢に話し掛けた。
「あの~」
「はい? 何でしょうか」
「あの、昨日ここ魔物を売りに来た暁彦と言いますが…話し聞いてませんか?」
「はぁ………? 魔物をですか」
「ええ、解体倉庫に居る……えっと…」
あの人…名前ど忘れしたぞ……なんだっけ………あっ!
「ガンツさんから聞いてませんか? 俺は昨日ギルドに魔物を持ち込んだ暁彦と言いますが」
「魔物……あっ!貴方が暁彦様でしたか。ですが、念のためギルドカードを見せて貰えますか」
「ええ、どうぞ」
ギルドカードの提示をされたので暁彦は素直に目の前の受付嬢に渡す。
「お預りしますね。…し、少々お待ち下さい。カードはお預りしても?」
「ええ、どうぞ。俺はここで待ってても?」
「ええ、此方でお待ち下さい。そう時間は掛からないので」
そう言って受付嬢はカウンターの奥に引っ込んで行った。
まてと言われて受付嬢が戻るのを待っているが…暁彦はその数分の間暁彦は、ギルドの中をキョロキョロ見回す。
『なぁ~ナビさん』
ギルドの中を見回しながらナビに話し掛ける。
《何ですか》
『この町良くない?』
《………よくない?》
『うん、良いよね?ってこと』
《あ~「よくない」とは良いの方を仰ってましたか。あの~ややこしい言い方は少し混乱するので、ちゃんとした言葉を使ってくれませんか?》
『……すみませんね!(曖昧な言葉を使う日本人の癖だよ)で、ナビ。ここ良いよね』
《良い……そうですか?》
『うん、俺ここに住むかな』
《あの、もう少しリサーチするべきでは?》
おっとナビさん「リサーチ」……言葉覚えたの?
『ん~そうだね。気に入ったかも。でも、そろそろ一旦屋敷に戻らないとケイルス君が心配してるよね? それと他の皆もだな』
《まあ、そうでしょうけれど、ここに住むのを即決で決めるのはお勧めしませんが?》
『そう? なら、もう少しここに通うかな。買い物楽しかったしね』
《それが懸命かと》
そんな事をナビと話していると、カウンターの奥から受付嬢が戻って来た。
「お待たせしました。此方ギルドカードをお返ししますね。それから昨日のオークの買取金額です。お受け取り下さい。内訳は……」
「あっ内訳は結構ですよ? 全部で幾らに?」
「そ、そうですか? それは助かります。其では買取の金額は、金貨が20枚と銅貨が15枚になります。お受け取り下さい」
受付嬢がトレーに載る金を出してきたので、その金を数えると暁彦は懐から小銭入れを出し金を仕舞う。で、また小銭入を懐に戻す。
「確かに。どうもありがとう」と受付嬢に礼を言うと暁彦はギルドを出た。
ギルドから出た暁彦はその足で商業ギルドへと向かう。
《どちらへ行かれるのですか?》
『ん? 商業ギルドへね』
《何か売るのですか?》
『うん、回復薬を買い取って貰おうかと。商業ギルドにも顔を出して何か売らないとね』
カード使わないと…また金がかかるし。
《そうでしたか?》
『……うん多分』
き、記憶がないので暫く使ってないはず…あっ使ってた!石鹸売ってたよ。
『ま、とりま行っとくよ』
商業ギルドなら良い物件とか見つかりそうだしね。
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