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新たな町へ
626話 なんか……
しおりを挟むギルマスに土下座の勢いで詫びられ、仕方なくソファーに座り直す暁彦。
「い、今呼んで来るので待ってて」
慌てて部屋から出て行くギルマスを見送るが……
「これって素直に待ってて良いのか? しかし茶が出んな?」とぼやく。
暫く大人しく部屋で座ってギルマスの登場を待つ暁彦。
すると、部屋のドアがノックされて人が入って来た。
【トントン】
「失礼します。ギルマスお茶をお持ち……」
入って来たのはここの職員さんでした。
むぅ…ギルマスではなかった。
職員さんが、わざわざお茶を持って来てくれたんだ。けれど、この人ギルマスが居なくて戸惑ってるみたいで部屋の中でキョロキョロしてるし、なんか頼りない感じ。
「…ああ、ギルマスならサブマスターを呼びに出て行かれてて、俺一人なんですが……その」
「そ、そうでしたか。それでは…あのーーお茶、飲まれます?」
それ聞くのか?
「……えっと…飲んで良いなら?」
「それなら、どうぞ」
「どうも……」
なんだ?この会話は!と突っ込みたいが、わざわざ茶を持って来てくれたのだから黙る。
茶を来た職員さん、二人分の茶をテーブルに置いたら、そのまま部屋を出て行くのかな?と思ったけどなんかまだ部屋に居るよ。
…なんで?
だけど、初めてギルドでちゃんと茶が出たな?多分。
ある意味感動…だけどなぁ~これ飲んでも良良いのかな?
失礼だとは思うけど、一応鑑定……
よしよし、毒判定はなし。
それに、おかしな異物も入ってないみたいでまともな茶だ。
よし!それなら茶に手を出して…飲んで見ても良いのかと思い、カップに手を出して一口飲むのだけれど……おかしいよね?
未だに部屋から出ていかないのかな。
目線が気になるから、職員さんに声を掛けても良いよな?
しかも顔をじぃ~っと見られてるし。
ほんとなに?俺の顔に何か付いてるのか?
まじまじと顔をみられて茶を飲む程肝は座ってないぞ。
「あの…なにか?」
「あっ!すみません。失礼しました。ギルマス……よ、呼んで来ますね?」
「……?」
返事を返す間もなく部屋を出て行ったけど、それなら早めに出て行って欲しかった。
「まあ良いけど。ギルマスを早く呼んでくれるならね」ボソッとぼやいた。
暁彦は折角出して貰った茶を一口飲むと、顔をしかめて手にしたカップをそっとテーブルに戻す。
はぁ~折角出して貰った茶に手を出したけど。
茶、これは茶なんだが……すんません。
一口で結構でした。
……さっきの職員さんごめんなさい。
可愛めの女性だったんだけどねぇ…残念。
にしても、ギルマス遅くない?一体何してるのかな人を待たせてさぁ~。
なんか、イライラしてきたが…ここで怒っても仕方ない。
俺は大人だしな。
《おや主? いつもでしたら、怒ってギルドを出て行くパターンなのに、一体どうしたのです? フフフ、明日は雨でしょうか?》
『…失礼だな君は、俺をなんだと思ってるのだね?』
《えっ? 瞬間湯沸し器では?》
ナビさんそんな言葉を何処で覚えたの?
あっ、俺の記憶からですか。
そうでしたか……なんか頭の中探られてる感じがしてるけど!
記憶を共有とかか?
怖いんですけどーー。
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