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新たな町へ
632話 ニングス親子帰還
しおりを挟む俺はボロ家を出ると屋敷までのんびり歩いて屋敷に戻る。
屋敷の前まで来ると門番のカナルが出迎えてくれた。
「よう、ご主人お帰り」
片手を上げてお帰りと気軽な挨拶…君軽過ぎないかね?カナル。
お前、俺はお前の主だぞ?
その挨拶は些かフレンドリー過ぎねぇか?とは思うも、ちゃんと仕事してくれるから良いけどな。
なのでカナルの挨拶に俺も気軽に挨拶を返す。
「おう!カナル帰った門番ご苦労さん。お前とカシューの二人が、午後の門番だったんだな?」
「そうだけどよ、旦那…冷たいぜ~俺ら置いて出かけるなんてよぉ~」
「アハハ、すまんて。別にたいした用じゃなかったんだよ」
カナルとそんな話しをしながら、門を抜けると詰所から人が出てきて声を掛けられた。
「そうですよ、旦那様!俺たち置いて何処へ行かれてたのですか?」
「おっ、び、びっくりしたぁ~。なんだカシューか」
「アハハ、驚かせました?」
驚くかよ!知ってたしな。
「少しね。二人とも、もう今日の仕事は上がっていいぞぉ~」
「へっ? まだ時間では」
「いいよ。ほら、一緒に屋敷に入ろうぜ」
「は、はぁ?」
「ほら、早く門に鍵して行くよ」
「はぁ、分かりました」
「良いのか?旦那」
俺が良いって言ってるんだから良いのだよ!
カナル君、君変なところで固いよね?
うん真面目だね。
普段は軽いけど。
そうして三人で屋敷に戻った。
それから暫くして……
何ヵ月かぶりにうちの筆頭執事が屋敷に戻って来た。
なんと、ニングスの息子を連れてきたんだ。
そのニングス達を俺はリビングで二人を迎えた。
「ご主人様、遅くなりました」
「お帰りニングス、そちらは…ひょっとしたら、ニングスの息子さん?」
ニングスの後ろに立つ子どもに俺は目を遣る。
「ええ、ご主人様。これは私の息子で、名をレクスと云います。レクス、さあ挨拶するんだ」
「えっと、おと……父が此方でお世話に為ってると聞いてます。僕も父と此方でお世話に成りたいと思ってますので、よろしくお願いします」
おお…頭を下げて挨拶とか、ちゃんとしてるし随分と大人びてるねぇ。
俺のガキの頃よかちゃんとしてるし。
うん、これなら色々任せても良いかも。
ま、先の話しだろうけどな。
「レクス君か、宜しくね? 俺はこの家の主で、暁彦だ」
俺はレクス君に向かって、にこりと笑って挨拶してみた。
レクス君の見た目は、ニングスそっくりで年は俺より下だな。どう見ても。
するとレクスくんは、緊張した面持ちで顔を強ばらせ俺の挨拶に答えた。
おや、案外大人びてる?
「主、その…申し訳無いのですが、暫くの間こいつとお屋敷で暮らせたらと、思っているのですが、よろしいでしょうか?」
そりゃ~そうだろうよ、ってか何処に住むのさっ!ニングス、あんた何言ってんのさ。
「…暫くって…ニングス。良いに決まってるだろ!当たり前だよ。この屋敷には、ニングスの部屋が有るんだから。そんなの全然構わないよ。二人とも、嫌じゃなければここにずっと住んでよ」
「そ、それなら息子と一緒に居ても?」
「良いってば。君は…えっと、レクス君? で良いのかな?」
「は、はい」
「ハハ、なんか緊張してる。長旅で疲れたでしょう? 今日はさ、部屋でお父さんとゆっくりしなよ。なぁニングス」
「は、はい」
「ゆっくり部屋で二人休んでよ。食事の時間には呼ぶし。先に風呂でも入れば?」
「それでしたら、お言葉に甘えます」
「おう、夕食の時間には声かける様にするから。その時改めて皆に挨拶すれば良いよ」
「はい。そうさせて頂きます。ご主人様、ありがとうございます。ご主人のお言葉に甘えさせて頂きます。なら、レクス部屋に行くぞ」
「う、うん」
ニングスは息子を連れて部屋に戻って行った。
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